実は自転車に乗った客引きだった
今年1月最後の土曜日、小生にとって30年ぶりのソチミルコ観光で、胸をワクワクさせながら船着場へ車でむかった時のことである。
ソチミルコのセントラルへ向かう手前約500mで、我々の車が信号待ちをしているときに、CD MXのロゴの入ったベストを着用し、同じロゴの入ったIDプラカードを首からぶら下げた自転車に乗った若い誘導係が、寄り添ってきて「ソチミルコへいくのであればナビゲートしますので付いてきてください」と声をかけてきたので、素直に誘導されるままついて行き、無事にSALITREという船着き場へ到着したのだ。30年前に利用した船着き場と比べると随分と小さな船着き場といった印象だった。
船1艇のチャーター代金が何と2,200ペソ!
そこで中年女性の係員が我々を待ち構えていたので、早速、船チャーター代金を交渉したのだ。しかし何と船チャーター代金は10名のパーティーで1時間$2,500MNとのことだ。「かなり高くない?ディスカウントしてもらえないなら乗らない」と帰る素振りを見せたら、その女性は、「ボスに聞いてくる」と言いながらその場を離れ、5分もしたら戻ってきた。「$2,200MNならどうか」との回答だった。小生、恥ずかしながらボート組合の協定価格の存在さへ知らなかったのだ。船に早く乗りたい気持ちが先走り、面々の笑みでOKしてしまった。
長閑な遊覧でメキシカンスタイルを存分に満喫
船上ではビール片手に皆が大いに盛り上がり、マリアッチを聴きながら長閑な遊覧でメキシカンスタイルを存分に満喫した。途中、人形島ブームに肖り、人形島を模したアトラクションがあり、今度は絶対に人形島へ行くぞと決心したものだ。
数日後、騙されたことに気がつき大慌て
数日後に、偶然にも、小生が、ある旅行社のサイトに目を通した時に、ソチミルコでのボッタクリ注意の喚起の文字が目に飛び込んできたのだ。
慌ててソチミルコ観光局に電話で確認をすると、2時間コースの船チャーター代が1000ペソとなっているではないか!代金は一人当たりではなく、船1艇につきの代金(昨年の2月より料金が改訂された)なので、何と協定料金の倍以上の代金をボッタクラれたことになるのだ。
早速、そのついでで苦情を出したところ、現地で自転車に乗った誘導係はただの客引きであることが分かり、彼らは組織的な犯行を繰り返していることが分かった。
小生、話を聞けば聞くほど腹立たしくなり、観光局職員に同行をお願いし現地に赴き、悪人相手に返金請求することとなった。写真やビデオなど、ありとあらゆる証拠品を掻き集め交渉に挑んだが、結果として1200ペソの損失に対して700ペソしか戻らなかった。
もし相手が返金に応じなければ、ペナルティーとして週末1日間だけの営業停止処分となるそうだが、生温い処分では再発防止策にはならないだろうと感じた。また、観光局職員とオカミが友人のように接して親しい間柄の様子を見ていると、観光局の悪に対するお目付け役機能が働いていないのではと疑問が残る。
実際に感じたのは、観光局職員がオカミと会ったときにはハグしてキスして、にこやかな顔で挨拶していた。オカミだけでなく、現地に居合わせた皆に良き友人のような態度で接していたのだ。どう見ても犯罪者に接する態度ではない。
相手は詐欺組織集団で危険
我々がオカミと交渉している間にも、何組かの旅行者が餌食になっている姿をまざまざと見せつけられた。
観光局職員に、我々同様に騙されている旅行者に知らせたほうが良いのではと呟いたが、観光局職員はオカミの前で相手の感情を逆なでるような行為は危険なので謹んだほうが良いと注意したのだ。
実は、観光局職員が同席する場合は、交渉の一部始終を職員に任せること、相手が理不尽なことを言っても腹を立てて大声を出したり、感情的になったりしないことを約束させられていたのだ。
相手は組織的な詐欺集団なので、ぶち切れたときには何をするか分からないと予め説明を受けていたのだ。
観光局職員が相手と交渉している間、小生は観光客の動きを横目でチラリチラリと見ていたのだが、船着き場に向かって右側に観光局の駐在所(小屋)があるのだが、誰ひとりとして立ち寄る旅行者がいなかった。というより、むしろ、客引きが船乗り場へ彼らを誘導して、観光局の駐在所へ立ち寄らさせないと言ったほうが正解だろう。なぜならば、観光局の駐在所の窓には協定料金表が張り出されているので、観光客がそれを見てしまえば悪行がバレてしまうからだ。
観光局の駐在所の周りは若者が屯していて近寄り難い雰囲気でもある。
観光局が推奨するまともな船着き場には、協定料金表示した大きな看板が掲げられている。SALITREもかつてはこのような看板があったらしいが、詐欺集団によって撤去されたらしい。
纏めとして
こうした詐欺の被害に遭わないために、事前に情報収集した上で現地へ行くことがベストだが、残念ながら、現時点で観光局が推奨出来る船着き場は全部で11ヶ所ある内の以下の3ヶ所でしかない。こうした健全な船着き場も悪の手に染まるのは時間の問題であるような気がする。 ( )の数字は地図の中の番号。
1.NUEVO NATIVITAS (1)
2.FERNAND CELADA (10)
3.CUEMANCO (11)
詐欺集団の手口に引っかからないためにも
1.自転車に乗った係りの誘導は当局に認められていないので、絶対に付いて行かないこと(自転車に乗っていない誘導係も同様)。
2.看板に大きな字で協定料金が明記されていない船着き場は利用しないこと。船のチャーター代は1艇あたりの料金で1人あたりの料金ではない。
また、不幸にもボッタクリ被害に遭ってしまった場合は、すみやかに各船着き場にある観光局の駐在所へ行き被害を届け出ること。駐在所の担当者が不在の場合はソチミルコのセントラルにある観光局事務所でも届け出ることは可能。
【トラブルに遭ったときの連絡先】
Departoment de Turismo
Pino No.36, Barrio San Juan, C.P. 16070 Centro Historico Xochimilco, CD MX
TEL:5489-1292
ソチミルコ オフィシャルウェブサイト