メキシコと言えば「テキーラ」
メキシコに来たことがある人なら一度は飲んだことがある、メキシコを代表するお酒「テキーラ」。日本では「一気飲み」や「罰ゲーム」として飲まれるアルコール度数の強いお酒というイメージでしょうか。でもせっかくメキシコに来たなら、テキーラの基礎知識を知り、お気に入りの1本を見つけて日本にお土産として持って帰ると喜ばれますよ。今回はそんな「テキーラ」にまつわる5つの基礎知識をまとめました。前半はテキーラの定義や歴史、種類についてまとめました。
テキーラとは
まず、そもそも「テキーラ」の定義とは一体何でしょうか?
テキーラとは、メキシコのハリスコ州とその周辺で作られる蒸留酒のことを指します。写真のリュウゼツラン又はアガベと呼ばれる見た目はアロエのような植物から作られるんです。リュウゼツランが並ぶ広大なハリスコ州の栽培地の景観は世界遺産にも登録されているんです。
テキーラを作るには、このリュウゼツランを絞って糖液を取り出しアルコール発酵させ蒸留します。ここで知っておきたいのは、テキーラは「メスカル」の一種であり、テキーラはメスカルのうちの特定の原産地呼称なんです。つまり、ハリスコ州とその周辺で作られるメスカルをテキーラと呼ぶのです。メキシコには通称CRTと呼ばれるテキーラ規制委員会なるものが存在し、CRTが定める基準をパスしたメスカルのみが「テキーラ」を名乗ることが許されるのです。CRTが定めるテキーラの基準が以下になります。
①ハリスコ州・グアナファート州・タマウリパス州・ナヤリ州・ミチョアカン州で育成されたアガベ・アスールを使用すること
②ハリスコ州・グアナファート州・タマウリパス州・ナヤリ州・ミチョアカン州とその周辺で蒸留されたものであること
③原材料にアガベ・アスールを 51%以上使用すること
④最低2回以上蒸留すること
⑤最終アルコール度数が35%~55%の間であること
⑥人体に有害なメタノールが3mg/ml以下であること
⑦水以外に加える「メローイング」は1%以下であること
実際にCRTに認定されたテキレロ(テキーラを製造するところ)にはNOMと呼ばれる製造者番号が発行されます。これはテキーラのボトルには必ず表記されておりますのでチェックしてみて下さいね。
テキーラの歴史
テキーラの歴史は今から400年以上も前に遡ります。およそ3500年前にはこのハリスコの地にリュウゼツランがあったと言われています。16世紀になるとメキシコに入植して来たスペイン人の手によって、リュウゼツランをおもな原料とする特産蒸留酒が作られるようになりました。これが「テキーラ」製造の始まりと言われています。テキーラを造るための最初の工場が1600年に建てられ、1873年にはヨーロッパに出荷されているという記録も残っています。そして、1968年のメキシコオリンピックが開催されたことを機に、世界でテキーラが広く知れ渡るようになりました。現在では「メキシコと言えばテキーラ」というくらい、国の一大産業にまで発展していることは言うまでもありません。
テキーラの種類
ここまで見てきたように、メスカルの中でも一定の基準を満たしたものだけをテキーラと呼びますが、そのテキーラも「原料」と「熟成期間」によって種類を分類することが出来ます。まず「原料」、つまりテキーラの中に含まれるアガベの使用率によって2種類に分類されます。
《テキーラ100%・デ・アガベ》
その名の通りアガベ以外の原料を用いないテキーラです。別名「プレミアムテキーラ」とも呼ばれており、その深い味わいから近年注目を集めるテキーラでもあります。ボトルには必ず「100%アガベ」の表記がされています。
《テキーラ・ミクスト》
プレミアムテキーラと異なり51%以上アガベを使用しているものの、アガベ以外の副原料も使用したテキーラです。主に砂糖やブドウ糖が用いられますが、その比率は49%以下と限られています。私たちが普段口にすることが多い、一般的なテキーラとなります。
またテキーラはオーク樽で熟成されることによって香りや味に深みが生まれると言われています。その「熟成期間」でも以下の5つに分類されます。
《ブランコ》
オーク樽による熟成をしないもの、または熟成しても60日未満の短期熟成のテキーラを指します。無色透明なその見た目から、シルバーやクリスタルと呼ばれることもあります。ハーブ系の味が強く、フルーティーで爽やかな味が特徴です。
《ホベン》
先に紹介したブランコに熟成させたテキーラを混ぜた、もしくはカラメルで着色したものを指します。まろやかなフルーティーさと、ほんのりとしたオーク樽から出る木の香りが特徴です。
《レポサド》
2ヶ月間以上1年間未満、オーク樽の中で中期熟成させたものを指します。ゴールドと呼ばれることもあります。オーク樽による木の香りと熟成させたアガベのフルーティさとスパイスの効いた味が特徴です。
《アニェホ》
1年間以上3年間未満、オーク樽で中長期熟成させたものを指します。更に、そのオーク樽は600L以下のサイズであることが定められています。ちなみにこの「añejo」はスペイン語で「熟成した」を意味します。バニラの芳香とオーク樽の燻製されたような香りが特徴です。
《エクストラ・アニェホ》
最低3年間以上、オーク樽で長期熟成させたものを指します。アニェホと同様にオーク樽は600L以下のサイズであることが定められています。こちらはテキーラの中でも最高級品に分類され、高いもので数十万円するものもあります。味はより深みのあるアニェホといったところでしょうか。公式には分類されておりません。
後半に続く
いかがでしたか?普段何気なく飲んでいるテキーラに関する知識が増えたのではないでしょうか?次回公開の後半では、本場メキシコ流のテキーラの飲み方とお気に入りの1本を見つけるための代表的な銘柄についてご紹介したいと思います。お楽しみに!