サボテンを使ったバイオガスを精製する世界初の工場が、メキシコはミチョアカンにあります。このエネルギーを使用した発電は、1Lあたりの発電コストが12ペソとガソリンより33%も安く抑えられる上に、環境にも優しいという特徴を持ちます。
またその性能はガソリンに遜色なく、発酵させてメタンの量を全体の97%まで増加させれば、種類を問わずどのような車にも燃料として使えます。ガソリンとの違いは、「温室効果ガス」を発生させないので環境にとても優しい燃料であるという点です。しかし現状の開発段階では、「バイオガス」を自動車に注入するには車の給油口に変換器を装着する必要があります。これには、別途2万5千〜3万ペソが導入費としてかかります。それでも、「サボテンのバイオガス」の実用化に賛同する自治体はあり、徐々に興味が持たれ始めています。
バイオガスとは。
バイオガスとは、「生物の排泄物、汚水、ゴミを焼却するときに発生するガス」のことをいいます。その主成分はメタンと二酸化炭素で、発生したガスをそのまま使用したり燃焼させたりしてエネルギーを得ます。
なぜ、サボテンなのか。
サボテンは観賞用として親しまれる以外にも、食べられることも薬として用いられることもあります。なかにはサボテンから作られたシャンプーなどまで存在し、非常に様々な利用方法があります。
しかしこれまでサボテンの分厚い表皮は、廃棄物として扱われてきました。その量はサボテンの年間総生産量の20万トンうち、半分にも上る10トンにまで及んでいました。そこで研究者たちは廃棄物と化していたサボテンの表皮を再生可能な資源として、サボテンの表皮から生み出したバイオテクノロジーを活用する装置を開発しました。
実用性
2009年にNopalimexのテクニカル・ディレクターであるミゲル・アケ氏はミチョワカン州でノパル工場とバイオガス精製工場の運営を始め、当初は1日に8トン(象2頭分の重さ)しか精製できませんでした。しかし2010年には、1日に800トンものバイオガスの精製が可能になりました。また政府は、車を走行させるために必要なコンプレッサーに250万ペソ投資し、その結果サボテンで得たエネルギーをガソリンと同レベルの稼働率へと向上させることに成功しました。このようにサボテンから精製するバイオガスは、ガソリンに代替する可能性が大なのです。
最後に。
サボテンは乾燥地帯だけでなく、寒い地域でも生育するため、育成への手間があまり掛からず育てやすいのことが大きな特徴です。現在メキシコで行われているこのサボテンのバイオガス精製プロジェクトは、車社会の未来に大きなインパクトを与えるのではないではないでしょうか。今後の実験、研究から目が離せないですね!