ノーカーデーは、環境省主導でメキシコシティーで1989年に始まりました。1000万人以上が住むこの大都市では、排気ガス排出による大気汚染が深刻化。特に雨や風の吹きにくい3月から6月の乾季にかけ、光化学スモッグが発生しやすくなります。
大気汚染を防ぎ、環境配慮の意識を高めるため、このキャンペーン期間は、車検のランクと車のナンバーの末尾の数字で分けたカレンダーを使用して、曜日ごとに(走行年数9年以上の)車両の使用を禁止するのです。過去には大気汚染を大幅に改善させた実績もあります。
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しかし、今年度、再びの大気汚染悪化を受けて規制を強化した結果、運送業者やタクシー運転手など反発を招きました。現在キャンペーン期間の只中で、メキシコシティーでは労働者らによる、ノーカーデーに反対する大規模なデモが起こっています。
市の商工会議所(CANACO)のウンベルト・ロサーノ所長は、道路上でのデモがさらなる渋滞を生むことで、大気汚染を悪化させている、という懸念を表明し、デモを行う団体との、道路上でのデモを制約する協定の締結を望んでいます。「デモを行う自由は制約したくないが、少なくとも大気汚染の危険が強まる3ヶ月の間は、他の方法を取って欲しい。」と述べています。
デモの主催団体は、ノーカーデーによる自らの業界への経済損失に異議を唱えています。しかしウンベルト氏は、デモによって被る社会全体の経済損失はそれ以上に甚大で、路上での3時間以上のデモは、そこにある商業施設にとって200万ペソ(1.6億円)の経済損失を生むと計算しています。
ノーカーデーの政策が、まわりまわって更なる大気汚染や経済損失を生んでいるという、なんとも皮肉な状況です。メキシコシティー、メキシコ州にお住まい、もしくは通行される皆さんは、デモに伴う渋滞情報に注意してください。
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