北米3カ国のみならず、日本の経済の行く先を大きく左右するNAFTAの再交渉が8月中旬から開始されることになった。
米国通商代表部(United States Trade Representative;USTR)の代表を務めるロバート・ライトハイザー氏は6月21日、上院金融委員会に出席した際、北米自由貿易協定(North American Free Trade Agreement;NAFTA)の近代化に向けた再交渉を、8月16日からメキシコとカナダと開始する予定であると伝えた。加えて、再交渉はすぐにでも開始可能な状態であることも強調し、NAFTAの近代化に向けて前向きな姿勢を示した。
NAFTAの発効は1994年。IT技術やデジタル製品の貿易に関する規定が定められていないなど、当時の合意内容では発効以降の時代に対応していなかった。知的財産権の保護強化などと合わせて、米国は近代化に向けたNAFTAの再交渉を宣言。メキシコも北米地域の競争力拡大に繋がるとして再交渉に前向きな姿勢をみせている。その一方でメキシコからの輸入品に対して関税を導入するといった米国の提案には警戒感を示している。
ライトハイザー氏によると、NAFTAの再交渉は早期完了が望ましいとしながらも、その期限は設けないと表明。加えて、高い水準での合意に達するまで交渉を続ける用意があると述べ、交渉が完全に行き詰まった場合は議員らと次のステップに向けて再度交渉するとも語った。
またライトハイザー氏はNAFTAの再交渉に向けて、現在までに国民から1万2,000件以上の意見を受け取っていることも明らかにした。USTRでは、NAFTAについて再交渉を行う意向を5月18日に議会へ通知した後、国内の一般市民や企業・産業関係者、議員などから意見を募っている。
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