「灰の水曜日」とは?
キリスト教(主にカトリック)には「四旬節(しじゅんせつ、スペイン語では40番目という意味のクアレスマ(Cuaresma)」と呼ばれる期間があります。
キリスト教において、「40」という数字は特別な準備期間を示す象徴的な数字です。モーセは40年間荒野をさまよい、ヨナはニネヴェの人々に40日以内に改心しなければ街が滅ぶと予言し、イエスキリストは公生活(人間の子として生まれたイエスが洗礼を受け、神の子としての宣教)を始める前に、40日間を荒野で過ごし、断食しました。
そして、イースターの40日前(6回の日曜日は数えないので正確には46日前)が「灰の水曜日(El Miércoles de Ceniza)」と呼ばれ、この日から四旬節が始まります。
現在の四旬節は「祈り・断食・慈善」を伝統的に行うとされていますが、宗派や地域、解釈によって実際に行う行事は様々です。
では、メキシコの「灰の水曜日」にはどのようなことを行うのでしょうか?
教会のミサ
「灰の水曜日」には教会でミサが行われます。灰の水曜日のミサでは、司祭は紫色のローブやケープをつけて、信徒の額や頭に灰で十字を書きます。灰は祈りを捧げられた花を燃した灰で、信徒は一列に並んで印をつけてもらいます。印を施す時に、司祭は2つの聖句を唱えます。
マルコによる福音書1章15節
「時は滿てり、神の國は近づけり、汝ら悔改めて福音を信ぜよ」
創世記3章19節
「あなたは顔に汗してパンを食べ、ついに土に帰る、あなたは土から取られたのだから。あなたは、ちりだから、ちりに帰る」
灰には、人は誰しもいつか死に、土(灰)に還るということを忘れないように、との意味が込められているといいます。
クアレスマ(Cuaresma)
「灰の水曜日」から「復活祭」までのクアレスマの期間は、敬虔な信徒は節制生活を送ります。
・金曜日には、肉を食べない。
・復活祭の前金曜日は節食を行う。
・大好きなものを断つ。
といった節制生活を送ります。
昔は断食や断酒などの厳しい節制が行われていたようですが、近年ではテレビ番組でかけられる音楽が、賑やかなものから静かなものへと替えられたり、子供たちはゲームをする時間を、大人たちはコーラを飲む量を、いつもより少なくしたりと、各々が現代の生活にマッチした節制生活を送るようです。
今年の「灰の水曜日」は3月6日の水曜日、復活祭は4月21日の日曜日です。3月6日は町に出て、額に灰の十字が描かれている人を是非探してみてはどうでしょうか。