新しく制定された「反たばこ法」について
2023年1月15日から「たばこ規制一般法」(Ley General para el Control del Tabaco)の改正により公共の場所が全て禁煙となりました。改正前はレストラン、バー、オフィスなど仕切られた喫煙可能スペースではたばこを吸うことが可能で、禁煙スペースを必ず確保することが求められていました。
しかし今では屋外も含め公共の場所は全て禁煙となりました。
レストランやバーなどはテラス席であってもたばこを吸うことはできません。
不特定多数が利用するホテル、公園、学校、病院、ショッピングセンター、スタジアム、パーティー会場、教会なども対象です。
もし禁煙スペースで喫煙した場合、1,000ペソから3,112ペソ(2023年4月のレートで7,335円から22,812円)の罰金となります。
また、たばこに関する広告や宣伝をすること、たばこ会社がスポンサーになることも禁止としました。テレビコマーシャルはもちろんSNSでの宣伝やインフルエンサーなどを使ったPRも禁止です。
さらにコンビニ、スーパーなどたばこの販売店はお客さんから見えない場所にたばこを置かなければなりません。たばこのポスターを張ったりすることもできません。
このようにメキシコの反たばこ法は世界的にみても最も厳しい規制といえます。
世間の反応
今回の法改正をメキシコの喫煙者の多くは規制が厳しすぎると考えています。改正後の法律だと多くの人は自宅のみでしか喫煙できないことになります。
またメキシコでは警察の汚職が蔓延しているため、公共の場での喫煙に対して罰金の代わりに賄賂を要求する警察官がいるのではないかと警戒しています。
喫煙者だけでなく経済界もこの法改正に大きく反発しています。たばこの製造会社、コンビニやスーパーなどの販売店は売り上げに影響があることを懸念しています。そして規制を強めることは人々がたばこを止めるのではなく、路上で販売されているような偽のたばこ、ブラックマーケットを拡大させていくことにつながると指摘しています。
喫煙ができなくなったレストランやバー、商業施設やホテルなどの旅行業界の売上にも影響があると言われています。
実際はどうなのか?
店内での喫煙は認められていませんが、路上での喫煙は禁止されていないので店内から出て入口から少し離れたところでたばこを吸っている人たちを見かけることもあります。また一部のバーやクラブなどでは建前上、禁煙とされていますが、実際は喫煙が黙認されている場所もあるようです。
しかしほとんどの喫煙者は自宅や自家用車で喫煙しているのではないでしょうか?
メキシコの喫煙状況
メキシコの喫煙率は19.9%(日本は16.7%)で、世界で117番目と高いわけではありません。
また喫煙率も年々減っています。
しかし問題なのは未成年による喫煙です。喫煙を開始した年齢の平均は14歳、50万人の喫煙者は12歳よりも前からたばこを吸い始めたと答えました。なんとメキシコシティの13歳〜15歳の27%がたばこを吸っているというデータもあります。
成人のたばこ消費量は年々減っていますが、未成年の場合はそうではありません。未成年の喫煙は健康だけの問題ではなく社会的、経済的にも影響を及ぼします。
今回のたばこ法の改正により、10年後たばこによる死者を約5万人減らし、30万件の病気を防ぐことが期待されています。また未成年からたばこの煙だけでなくたばこ自体を遠ざけ、喫煙者になることを抑制することも目的としています。
参照
http://www.scielo.org.mx/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S0026-17422011000500004
たばこが買える場所
販売自体が禁止されたわけではないので今までどおりコンビニやスーパー、小売店、たばこ屋、免税店などで買うことができます。たばこを陳列することは禁止になったのでレジなどで店員に頼んで出してもらう必要があります。しかし最近ではコンビニエンスストアのOXXOなどで以前のようにたばこを陳列していることがあります。
また露店やバーなどで箱ではなく1本ずつたばこを売っているところもあります。改正された法律上は一本ずつの販売は禁止されていますが、実際は一本ずつの煙草を販売している露店も未だに多く見かけます。
メキシコのたばこの価格
Marlboro 70ペソ(約500円) 日本600円
PALL MALL 56ペソ(約400円)
Camel 70ペソ(約500円)
メキシコも日本のようにたばこ代は値上がりしていますがメキシコの方がまだ安いようです。
たばこ税も年々値上げしていますが、2023年たばこ1本あたり0.5911ペソ(約4.2円)です。日本は1本あたり15.2円なのに比べるとだいぶ安く感じますね。
日本から来る際の注意点
アイコスなどの加熱式たばこは日本でも人気で愛用している方も多いと思いますが、メキシコには持ち込みできないので注意が必要です。
2020年3月からメキシコでは電子たばこ・加熱式たばこの輸入が禁止されています。VAPE(ベイプ)などニコチンを含まないものでも同様に禁止されています。個人の消費目的でも税関などで見つかれば没収、場合によっては罰金となる可能性があります。
持ち込みはできませんが、メキシコでも電子たばこやアイコスなどの加熱式たばこを買うことができます。
IQOS MEXICOホームページ普通の紙たばこは持ち込むことができます。18歳以上の旅行者は最大10箱のたばこ、葉巻25本、たばこ粉200gまでを免税でメキシコに持ち込むことが可能です。
どこでたばこが吸えるの?
反たばこ法の改正後、喫煙が可能な場所は喫煙者専用エリア、または個人の住居など私有地(屋内・屋外)になります。
喫煙者専用エリアでは飲食を提供することはできない、出入口など人が多く集まるところから10m以上離れなければならないなどいくつかのルールがあります。
ホテルでも喫煙可能な部屋はなく全室禁煙となるので注意が必要です。同様に以前はレストランなどでも喫煙席がありましたが、今では全席禁煙です。
公共の場所は全て禁煙となるのでビーチや公園はたとえ屋外でも吸うことはできません。
ただ路上での喫煙は今回の法改正で禁止されていないため、実際には路上やレストランなどから少し離れた屋外で喫煙をしている人が多いようです。、ただし、メキシコシティなどでは禁煙になっているエリアや通りもあり、また人混みなど多くの人が受動喫煙する可能性があるところでの喫煙はできないので、注意が必要です。
参考サイト
https://www.eleconomista.com.mx/politica/Todo-lo-que-debes-saber-sobre-las-nuevas-reglas-para-fumar-comprar-cigarros-y-multas-por-incumplir-20230117-0037.html
https://politica.expansion.mx/mexico/2023/01/16/ley-antitabaco-2023-donde-no-se-puede-fumar?utm_source=internal&utm_medium=branded
https://www.elimparcial.com/mexico/IEPS-2023-Cigarros-gasolina-y-sodas-cambiaran-sus-precios-a-partir-del-proximo-ano-20221230-0069.html
まとめ
今回は新しくなったメキシコの「反たばこ法」についてお伝えしました。今回の法改正によりメキシコのたばこ規制はかなり厳しいものになりました。日本では喫煙できる場所でもメキシコでは禁止されている場合もたくさんあるので喫煙者の方は注意が必要ですね。またアイコスなどの加熱式たばこの持ち込みが禁止されていることも、これからメキシコに訪れる際には要注意です。
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