メキシコで日本食の普及に貢献してきた九本和さんが農林水産大臣賞を受賞！

出典：Photo Kishimoto

今回の受賞について

第17回日本食海外普及功労者として、農林水産大臣賞を受賞された九本和（くもとかず）さん。日本食海外普及功労者には、海外での日本食・食文化又は日本の農林水産物・食品の紹介、普及等に多大に貢献してきた方々が任命されます。

世界で年間5人しか選出されず、今年度はメキシコで活躍される九本さんを含め、カナダ・中国・ベネズエラ・オランダなど世界各国から日本食の普及において素晴らしい功績を残されてきた方々が受賞されました。

出典：農林水産省　https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_award/

出典：Photo Kishimoto

2023年12月に行われた農林水産物等輸出促進全国協議会総会の中で、日本食海外普及功労に対する大臣賞の表彰が行われました。総会には宮下農林水産大臣をはじめとする多くの政府関係者や、同様の認定を受ける農林水産物・食品輸出関連の企業や団体が出席。総会中には、当日出席の叶わなかった、岸田内閣総理大臣からのビデオメッセージも放映されました。

出典：Photo Kishimoto

九本和さんのプロフィール

1969年にメキシコに渡航された九本さん。もともとは嫌々ながらメキシコに来たと、当時の思い出を振り返ります。当初は家族に帯同して「２年間だけ」と決めて渡航をしましたが、メキシコで生活をするうちに、その環境が肌に合っていると感じ、できるだけ長く滞在したいと思うようになりました。

もとより料理は身近な存在で、料理教室に通ったりと、趣味として料理を続けてきましたが、メキシコでフランスやドイツなどのヨーロッパ諸国出身の友人に囲まれ、その人たちと交流をする中で、日本食をはじめとする料理を作ることに更に没頭していきます。

1995年に日本食レストラン「Tori Tori」を開業した後に、「Torobi」や「Kazu’s Kitchen」「Murasaki」のオーナーシェフを歴任。メキシコのフラッグ・キャリアであるアエロメヒコ航空が日本便を就航した2007年からの10年間は同便の日本食機内食監修者も務めるなど、数々の経験を積まれてきた九本さん。「常に何かしていないと落ち着かないんでしょうね」と振り返る姿にとてもエネルギッシュな印象を受けました。

また、新型コロナウイルス感染症が拡大した時期には、コロナ感染者を受け入れていた医療機関に対し、４カ月間日本食弁当を無償提供をしたり、JETROメキシコ事務所と協力しメキシコへの輸入が解禁された日本産精米のワークショップ講師を勤めたりと日本食を通じてメキシコに多くの貢献をしてきました。

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今回の受賞についてインタビュー

メキシコで長きにわたり日本食の普及に取り組んできた九本さんに今回の受賞についてお話をお伺いしました。

ー受賞の感想を教えてください。

実は選考の段階では、受賞候補に上がっていることも知らなくて、突然受賞のお知らせをいただいて驚いたと同時にとても嬉しかったです。授賞式で色んな方々とお会いして賞についてお話を伺う中で、どれだけ重要な賞なのか実感していきました。授賞式でお会いした選考委員会の中に女性の方が一人いらっしゃって、その方が私の受賞をとても喜んでくださりました。今回やこれまで受賞された方は男性が多い中で、女性である私がこの賞を受賞できたことも、とても意味があると思っています。

ーメキシコで日本食を提供する上で心掛けていることはありますか？

私がメキシコに来た当初と比べると、輸出入がスムーズになったことで食材の入手という面では、かなり環境がよくなっています。そういった状況も相まって日本食はメキシコだけでなく世界中で広まってきて、より身近な存在になりつつあると思います。だからこそ、質という点には拘り続けていくべきだと感じています。せっかく日本食を提供するのであれば、よりよいものを提供したいという思いが常にあり、食材の質などにもずっと拘りを持っています。

ー今後取り組んでいきたいことを教えてください。

日本人である私がメキシコでお店をするなら日本料理だ、と思って日本食に関わり続けてきました。自分としては、他の人と同じことをしてきたつもりだったのですが、今回のこの賞を頂けたことで、日々取り組んでいることをより一層大切にしようと感じました。今年で77歳ですが、まだまだ元気なので、今までやってきたことをこれからもずっと続けていきたいと思っています。