【LGBTQとは?】
LGBTQは、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)、クエスチョニング(Questioning)などの性的指向や性自認の多様性を包括的に表現する用語で、その個々のアイデンティティと経験を尊重するために使用されます。
「レズビアン」は女性同士、「ゲイ」は男性同士の愛や性的指向を持つ人々を指し、バイセクシュアルは、異性と同性の両方に対して愛や性的魅力を感じる人々を指します。トランスジェンダーは生まれつきの性別とは異なるジェンダーに属する人々を指します。クエスチョニングは、自分自身の性的指向や性自認について疑問を持つ人々を指す用語です。
LGBTQの存在は、性的指向や性自認の多様性を認識し、尊重することの重要性を示しています。これにより、個々の人々が自分らしく生きることができる社会を築くための意識と理解が広まっています。
【メキシコにおけるLGBTQの認識は?】
メキシコは、国土が日本の約5倍も広いため、地域や文化的背景、個人の意識によってLGBTQの認識には大きな違いがあり、メキシコ全体を俯瞰すると、まだまだLGBTQに対する差別や暴力行為、偏見やステレオタイプが根強く残っている現実があります。
特に地方や保守的な地域また、カトリック教会の影響が強い地域では、LGBTQの人々が直面する社会的な壁や差別が非常に深刻であると感じられます。
メキシコの社会全体でLGBTQへの認識が進むことは、より多様で寛容な社会を築くための重要なステップだと考えています。そのためには、地域や文化的な違いを超えて、教育や意識改革が必要不可欠ではないでしょうか?
実際に、都市部を発信源としてメキシコ国内でLGBTQの権利を推進するための活動や組織が盛んに活動しているのも事実で、意識の啓発や法的な変革を促進する取り組みが進行しています。このことから、メキシコではLGBTQの人々がより包括的で平等な社会を実現するための歩を踏み出しているように感じます。
筆者の経験を踏まえてもメキシコで暮らしていると、街中で同性カップルをよく見かけますし、職場などでもLGBTQの人と一緒に働く経験を多くしたりとメキシコは日本よりもLGBTQについてとてもオープンな印象があります。実際に身近に暮らしてみると本当に自然で、未だにメキシコでも差別や偏見があるのかと不思議に思ってしまいます。
【メキシコにおける同性婚】
21世紀初頭の2001年4月、オランダで世界初の同性結婚(異性同士の結婚と同じ法的婚姻制度)が認められ、これをきっかけにヨーロッパを中心に同性婚容認の潮流が広がりました。
メキシコでは、2009年にラテンアメリカで初めて首都メキシコシティで同性婚が承認されました。この歴史的な出来事は、LGBTQの権利と平等への取り組みの重要な一環として位置づけられます。メキシコシティの同性婚合法化は、社会の進歩と変革の象徴となりました。
その後、メキシコの他の州レベルでも同性婚の合法化が進んでいます。2018年には約20の州で同性婚が合法化され、その数は着実に増加しました。
同性婚の合法化は、メキシコ社会における意識の変化を反映しています。LGBTQの権利と平等への理解が広がり、多様性を尊重し包括的な社会の実現に向けた取り組みが進んでいると言えるでしょう。
【メキシコ全州で同性婚が可能に!】
前述の通り、2018年時点で約20の州で同性婚が承認され、同性婚を認めた州で結婚したカップルは、他の州に戻ってもその結婚が有効であるとされ、実質的にメキシコ全土で同性婚が可能となりました。
その後、2022年10月22日にはタマウリパス州が同性婚を承認し、これによりメキシコの32州全てで同性婚が合法化されました。この歴史的な出来事について、最高裁判所のアルトゥーロ・ザルディバル長官は喜びを表明し、Twitterで次のように述べました。
「メキシコ全土が大きなレインボーに輝いている。すべての人々の尊厳と権利万歳。愛は愛だ。」(Todo el país brilla con un enorme arcoíris. Vivan la dignidad y los derechos de todas las personas. Amor es amor.)
同性婚の全国的な合法化は、LGBTQコミュニティとその支持者にとって重要な出来事となりました。メキシコ全土で同性婚が認められることで、LGBTQの人々は平等な結婚の権利を享受し、愛とパートナーシップを自由に育むことができるようになりました。
【LGBTQの権利と社会的認識の向上】
メキシコはILGA(国際LGBTI協会)によって同性婚を承認した国として認識されています。
LGBTQの権利と社会的な認識の向上を促進するために、メキシコでは教育や啓発活動が重要な役割を果たしています。学校、非営利団体、地域コミュニティなどが協力し、性的指向や性自認に関する適切な情報を提供し、偏見や差別を減らす取り組みが行われています。
教育を通じて、若い世代に対してLGBTQの多様性と共存の重要性を理解させることが目指されています。
また、非営利団体や地域コミュニティによるワークショップやセミナーが開催され、LGBTQに関する正しい知識や理解を広めるための活動が展開されています。
メキシコ社会では、LGBTQの権利と平等への意識が着実に向上しています。これは、個々のアイデンティティを尊重し、多様性を受け入れる社会を築くための取り組みの成果です。しかし、まだ差別や偏見が残る地域も存在し、持続的な啓発活動や法的な保護の強化が求められています。
メキシコは、世界的にみてもLGBTQの権利と社会的認識の向上に向けて積極的な取り組みを行っており、国内外で注目されています。今後も包括的で平等な社会を実現するための努力が続けられることでしょう。
【課題と今後の展望】
メキシコにおけるLGBTQの認識向上は進んでいますが、まだ課題も残っています。
LGBTQの人々はまだ社会的な偏見や差別に直面し、安全な環境で生活することができない場合もあります。特にトランスジェンダーの人々にとっても課題が残っており、法的な性別変更の手続きや医療へのアクセスの困難さ、社会的な受容の欠如などに直面しています。
これらの課題に対応するためには、包括的な法的枠組みとサポートの充実が求められます。トランスジェンダーの人々の権利と福祉を守るためには、性別変更手続きの確立や医療へのアクセス改善、社会的な受容を促進する取り組みが重要です。
メキシコではLGBTQの権利を推進するための取り組みには積極的で、NGOや活動団体、個人の努力により、LGBTQの人々の声を上げ、平等な社会を実現するための活動が行われているのは様々な多様性に寛容なメキシコらしいポジティブなことではないでしょうか?
今後の展望としては、LGBTQの権利を守り、社会的な認識を向上させ続けるために、社会全体で取り組む必要があります。包括的な教育や啓発活動の充実、法的な保護の拡充、保守的な地域への対話と理解の促進などが重要な要素となります。
メキシコは多様性を尊重する社会を実現するために前進していますが、より先進的で平等な社会を築くためには、持続的な取り組みと国内外の連携が不可欠です。
【6月はプライド月間! メキシコシティ・プライド・パレード開催!】
6月は「プライド月間(Pride Month)」と呼ばれ、世界中でLGBTQの権利を広める活動・イベントが行われます。
メキシコシティでも毎年6月にはプライド・パレードが開催され、LGBTQの権利と認識を祝う大規模な祭りとなっています。
このパレードではカラフルな衣装や旗を身にまとった人々が参加し、多様性と包括性を称えます。
プライド・パレードはLGBTQの人々の自己表現と権利を訴える場であり、一般の人々にもLGBTQの権利について理解を深める機会を提供します。
【メキシコシティのプライド・パレード】
プライド・パレードは、LGBTQの人々や支持者、団体、企業が集まって多様性と平等を祝うために行われるイベントです。もともとは、1970年にアメリカでLGBTQの権利を求めるデモが行われ、それがパレードの始まりになったと言われています。
メキシコシティのプライド・パレードは、ラテンアメリカで最も盛大なプライドイベントの一つです。
毎年6月に開催されるこのフィエスタは、国内外から多くの人々が集まり、市内を華やかに彩る鮮やかな行列が繰り広げられます。出発点は独立の天使(El Ángel de la Independencia)で、市内中心部の象徴的なソカロ(Zocalo)までパレードは進行します。
パレードのルート沿いにはフードスタンドや露店が立ち並び、音楽ライブやエンターテイメントが楽しめる予定です。メキシコならではのお祭り騒ぎの雰囲気が漂い、一体感と喜びに包まれた空間となります。
このプライド・パレードはLGBTQの権利と認識を促進するだけでなく、社会的な包括性と多様性の大切さを訴える場でもあります。参加者たちは誇りを持って自己表現し、LGBTQの人々が自由に生きることを支持するメッセージを発信します。
メキシコでは、LGBTQにとどまらず、様々な社会の課題もポジティブにとらえているような気がするのは
筆者だけでしょうか?
メキシコシティのプライド・パレードが世界でも有数のイベントとして国内外から沢山の人が参加して、一体感と喜びに満ちたお祭りというのも納得が出来ますね。
皆さんもぜひ、プライド・パレードに参加して、多様性と平等を祝う素晴らしい体験をしてみませんか?
【まとめ】
今回のamigaでは、メキシコにおけるLGBTQ事情と6月に行われるプライド・パレードについて特集しました。筆者もメキシコでの暮らしのなかで、同性婚やLGBTQの権利向上において進んでいる国だと感じます。
メキシコが様々な進歩を遂げつつあるなかで、引き続きLGBTQの権利を守り、多様性が許容される社会を向上させながらどんな未来を作っていくのか目が離せません。