2015年4月、タコス専門店「タコベル」が日本に再上陸し、大きな話題を呼びました。
その頃メキシコに留学中だった私。みんなでタコスを食べながら語らっているときに、タコベルの話になりました。
私「そういえば、日本にタコベルっていうタコス屋さんができたらしいよ。」
メキシコ人AB「えー!!あのタコベルが日本に!」
私「有名なの?」
メキシコ人A「アメリカンメキシカンのチェーン店で、メキシコでもできたけどすぐ潰れたよ。あれはメキシコ人からしてみればタコスじゃないからね。」
メキシコ人B 「そう、タコベルが世界進出したおかげで、世界中であのタコスがメキシコ料理だと思われてる。でも、タコベルのタコスはメキシコ料理じゃないって、よく日本人に言っておいてね。」
タコスをめぐって、メキシコ人から日本人への大切な伝言を預かってしまいました。
メキシコのタコスは小さく、柔らかいトルティーヤが特徴
ちなみに、そのときメキシコで食べていたタコスはこんな感じ。
手の平に収まる小さなサイズ。いっぱい食べられちゃいます。そしてトウモロコシでできたトルティーヤは、柔らかくて黄色っぽい色です。
数えられない種類の具材がありますが、お肉に、玉ねぎのみじん切りとパクチー、舌が痺れる辛いソース(サルサ)を入れるのが基本。手と口を汚しながら食べるのがメキシカンスタイルです。
日本に帰国後、タコベルに潜入してみた。
さて、帰国から半年が経ちました。
メキシコのタコスvsタコベル。
この戦いに決着をつけるために、タコベルを試さないわけにはいきません。スパイのような気持ちで、足を踏み入れました。
店内はかなり混んでいて、お客さんは外国人が半数。ざっとメニューを見ただけで、種類が多いのがわかります。
並んでいると、ある外国人(仮名:John)に話しかけられました。
John「どうやって選ぶかわかる?」
私「わからない、初めて来たんだ。メキシコに住んでたんだけど、メキシコのタコスと比べに来たの。」
John「そうか、それは多分全然違うと思うよ。」
私「だよね。」
話しているうちに順番が来ました。お肉の種類、トルティーヤの硬さ、ソースの辛さを選びます。
具は鶏肉、パリパリのトルティーヤに、ソースは一番辛いものを増量してもらいました。
タコベルのタコスは「テックスメックス」で「チカーノ」だ!
10分ほど待ったところででてきました。これがタコベルのタコスです。
中身は、鶏肉、レタスにチーズと、濃い色のソース。メキシコのタコスのおよそ2倍、手のひらいっぱいの大きさ。
パクチー好きとしては、パクチーが入っていないのはタコスではないし、サルサを自分でかけられないのはタコスじゃない。この辺りがメキシコ人に不評な原因か?
では、いただきます。さてお味は…
「なるほど…」
メキシコのタコスとは全く違う味です。
これはずばり、「ディズニーシーのロストリバーデルタのレストランで売っているタコスの味」です。
つまり、テキサスやロサンゼルスで広まったアメリカンメキシカン料理「テックスメックス」の味なのです!
いわゆるバーベキューソースが好きな方にはたまらない味ですが、全く辛くはありません。この濃い味はメキシコでは「チカーノ」と呼ばれ、アメリカ料理とみなされます。
結論:タコベルのタコスはメキシカンではないが、テックスメックスとしてはうまかった
ということで伝道師として言いますと、タコベルのタコスはメキシコ料理ではありませんでした。
ただし、タコベルはアメリカ発祥のタコスチェーン店。メキシコの味を求めるのが間違っていますよね。
ですが、タコベルが「これぞタコス」と世界に広めているものはニセモノだぞ!と言いたくなるメキシコ人の気持ちもわかります。
メキシコの、辛くて小さいタコスの味も広まってほしいなぁ…と思いながらも、美味しくいただきました。別に、裏切り者じゃありませんからね!
メキシコにいらっしゃる方は、本場のタコスを存分に楽しんでいただきたいと思います。