チチェン・イツァの見どころ
マヤの時代には車輪も鉄も家畜すら存在しませんでしたが、ピラミッドに象徴される石を使った大きな建造物や、ドーム型の屋根、マヤ文字が彫刻された石碑などが、人々の手によって作られていました。
チチェン・イツァは、様々な建物が立ち並ぶ都市遺跡です。ぜひとも見ていただきたい建物がいくつかありますので、ご紹介します。
【ククルカンのピラミッド】
チチェン・イツァを代表する巨大建築です。正方形の基底の一辺は55.3mですが、高さは24メートルしかなく、マヤのピラミッドの中ではそれほど高くありません。
(例えば、コバ遺跡のピラミッドは42メートル)
しかしながら4面に階段のある荘厳な姿は非常に印象深いものです。
ククルカン神殿のすばらしさは見た目だけではありません。このピラミッドには、天文学の知識にたけていたマヤの人たちの英知が込められているのです。
一つはこのピラミッドの階段の段数が表すもの。91段の階段が4面にあって合計364段。そして頂上の神殿に一段だけ階段がり、全部合わせると365段。つまり、マヤの太陽暦であるハアブ歴の1年365日を表しているのです。
また春分と秋分の日にはこのピラミッドに特別なことが起こります。ククルカンというのは羽の生えた蛇のことを意味するのですが、春分・秋分の日にだけ、蛇の頭がついている階段の側壁に、ピラミッドの影ができて、蛇の頭に胴体がつながったかのように見えるのです。これはククルカンの降臨と呼ばれ、春分・秋分の日には、大変な数の観光客が訪れ、年に2回のククルカンの降臨を見物します。
ククルカンの降臨に関しては、こちらのブログで写真等を参照ください。ククルカン神殿は、以前は上まで登ることができたのですが、現在では禁止されており、周りからしか見ることができません。このピラミッドは、古いピラミッドの上に新しいピラミッドを重ねるようにして作られており、以前は、下に隠されているピラミッドの中に入ることができました。
しかしながら現在は、階段脇にあるその入り口も封鎖されており、中を見ることはできません。
ククルカン神殿は、チチェン・イツァの遺跡公園の入口を入ってすぐ正面に現れます。そして表側はとてもきれいに修復されているのですが、裏に回ると、全く修復されておらず、発見当時をしのばせるような状態になっています。なぜ修復されないままかというと、まだ遺跡として保全されていなかったころ、ホテルや個人の家を建てるためにたくさんのピラミッドの石が持ち去られてしまったからなんだそうです。