「世界遺産」行くなら今!秘境に眠るマヤの巨大都市:カラクムル(Calakmul)

カラクムルは文化・自然両方を含む複合世界遺産としてユネスコに登録されているメキシコ唯一の遺跡です。ユカタン半島で最も高い45メートルのピラミッドをはじめ、全部で3つものピラミッドに現在でも登頂可能!密林の中に浮かび上がる遺跡の風景は何とも言えず贅沢!「行くなら過度に観光地化されてない今!!」と言えるでしょう。オマキザルなどの野生動物もたくさん見られますよ!

カラクムルとは?

【メキシコ唯一の世界複合遺産!】

カラクムル遺跡はユカタン半島南部のカンペチェ州に位置します。

2002年にユネスコの世界遺産に登録されたうえ、2014年には、文化・自然両方を含む複合遺産として再登録されたました。実はメキシコ唯一の複合遺産登録遺跡となります。カラクムルはマヤ古典期を代表する巨大都市遺跡でもあり、野生動物がたくさん住む自然保全地区でもあるのです。

【カラクムルの歴史的重要性】

カラクムルはその規模と歴史的重要性の割には、あまり知名度のない遺跡なのですが、マヤ古典期に栄えた「ティカル」(グアテマラにある超人気マヤ遺跡)に並ぶ、もしくはそれ以上の勢力を誇った王朝が栄えた都市です。マヤ古典期としては最多の117本もの石碑が見つかっていますが、石灰石で作られており保存状態が良好ではなく、解読は進んでいません。カラクムルは紀元200年~900年ぐらいまで使われた後、衰退したと考えられています。

当時の様々な王朝の石碑解読によれば、カラクムルはティカルの王を捉えてティカルを傘下に入れていた時期もあるそうで、ティカルとカラクムルは古典マヤの二大王朝だったと言えます。

ちなみにカラクムルとはマヤ語で二つの山という意味。「建造物Ⅱ号」「建造物Ⅰ号」と呼ばれる二つのピラミッドが立ち並んでいることからつけられたそうです。カラクムルは本格調査が他の有名遺跡に比べて遅かったため、まだ発掘されていない場所がたくさんあります。今後の新しい調査に期待が寄せられています。

【なぜ今行くべきなのか?】

カラクムルは、そのアクセスの悪さから、訪れる観光客はほんのわずか。だからこそ、非常にのんびり、贅沢に、素晴らしい遺跡を「独り占め」状態で見ることができ、なおかつ、ユカタン半島で最も高いピラミッド(高さ45メートル)にも登ることが出来るのです!かつてのチチェン・イツァやウシュマルのように・・・・。多くの人気遺跡の建造物が立入禁止となる中、この規模の遺跡でピラミッドに登れるのは貴重!だからこそ「今がチャンス!!!」と言えるのです。行くのにちょっと手間がかかりますが、密林に閉ざされた神秘的な雰囲気の中での遺跡探索、サルや七面鳥などの野生動物との出会いは、観光地化されていない今だからこその醍醐味です。

カラクムルの見どころ

カラクムルは30平方キロメートルに及ぶ非常に広い遺跡ですが、観光客が歩ける範囲はそのほんの一部。しかし、そのわずかな範囲ですら、全部をくまなく見るには軽く3時間はかかりますので時間には余裕を持って出かけましょう。

【建造物Ⅱ号】

カラクムル最大のハイライトと言えるのが、建造物Ⅱ号と名前が付けられたピラミッド。二こぶラクダのように頂上部分が、二つに分かれており、手前が少し低く、後ろが少し高くなっています。高さはユカタン半島にあるピラミッドの中で最も高い45メートル。基盤の長さは一辺120メートルにもなります。下の写真は、ピラミッドの基壇をパノラマ撮影したもの。ピラミッドの前には石碑が立ち並んでいます。

下の写真は建造物Ⅱ号の基盤を近くで見たところです。

下の写真は建造物Ⅱ号のピラミッドを上っているところ。かなり急な階段です。上に見えている頂上は本当のピラミッドのてっぺんではなく、手前側の低い頂上になります。

手前の低いピラミッドの頂上まで行ったあと、裏手に回り、もうひとつ奥の建物の頂上を目指します。

下の写真は、奥のピラミッドの頂上から、手前の低いピラミッドの頂上を見下ろしたところ。一つのピラミッドに二つの頂上があるわけです。また写真正面の密林の中に見えている建物は、中央広場を挟んで、建造物Ⅱ号の正面に建っている建造物Ⅶ号になります。

下の写真が、建造物Ⅶ号に焦点を絞ったもの。密林の中からにょっきりと出るピラミッドの姿が幻想的です。

下の写真は、建造物Ⅱ号から建造物Ⅰ号を見たところ。ジャングルの中にある自然の山のように見えますが、実はこれがカラクムルで二番目に高いもう一つのピラミッドなのです。

【建造物Ⅰ号】

建造物Ⅱ号のピラミッドから降りて、10分程度歩くと、カラクムルの名前の由来となるもう一つのピラミッド建造物Ⅰ号にたどり着きます。下の写真は建造物Ⅰ号を下から見上げたところ。建造物Ⅱ号の頂上から見ると木々に覆われた山にしか見えませんが、前面だけはすべてきれいに修復されています。

下の写真は建造物Ⅱ号の階段に絡みつくように生えている木。何百年もの年月、この遺跡がジャングルに埋もれていたことを彷彿とさせます。

下記の写真は、建造物Ⅰ号の頂上から、双子のピラミッドである建造物Ⅱ号を見たところ。前面はあんなにきれいに修復してあるのに、横から見ると、ただの山にしか見えません。向かって右側が少し低く、左側が少し高くなっており、右側がピラミッドの前面であることがわかります。

【プラサ・セントラル 中央広場】

カラクムルで最も高いピラミッドである建造物Ⅱ号が面しているのが、カラクムル遺跡の中心部ともいえる中央広場。下の写真はパノラマで撮影したところです。建造物Ⅱ号の正面に建造物Ⅶ号があり、その左右にもいくつかの建造物が並んでいます。元は広場だったようですが、今は木々に覆われています。

中央広場に面した建造物Ⅱ号とⅦ号以外の建物は、あまり修復されいません。

【建造物Ⅶ】

中央広場に面して、建造物Ⅱ号の正面に建っているのが、建造物Ⅶ号。こちらも登れるようになっていますので、建造物Ⅰ号、Ⅱ号と弐つのピラミッドに上った後も、まだ余裕のある方はぜひ上ってみてください。

下の写真は建造物Ⅶ号の頂上から、正面の建造物Ⅱ号の頂上を見たところ。前後に重なり合っている双子の建物がよくわかります。

建造物Ⅱ号のピラミッドと、建造物Ⅶ号の間は木々に覆われていますが、当時は中央広場として、切り開かれていたと思われます。きっと美しい都市だったのでしょう。

これまで紹介した4つの見どころ以外にもアクロポリスなどもありますので、ぜひともゆっくり時間をかけて周ってみてください。サル、リス、七面鳥などの動物は、この遺跡の中にしょっちゅう出てきますので、注意深く観察してみてください。

カラクムルへのアクセス

【カラクムル遺跡地区への車入場制限について】

カラクムルは非常に行きにくい場所にあり、なおかつ入場までのシステムがちょっと複雑です。自然保全地区になっているため、遺跡に直結する駐車場まで行かれる車は制限されているのです。大型バス、観光バスなどは通ることが出来ません。従って遺跡に近づくには許可のある専用車に乗り換える必要があるのです。これが、カラクムルへのアクセスを難しくしている要因です。

どの方面からやってきたとしても、最初にたどり着くカラクムル遺跡地区の入口は、州道186号の95キロ地点を少し南に入ったところにあります。ここまではどんな車でもはいることが出来ます。そして、自家用車/レンタカー/許可を得た車は、車と人の通行税を払えば、車を乗り換えることなく、ゲートを入ることが出来ます。そこから遺跡の入口までは舗装されていない砂利道で60kmあり、慣れた人の運転で1時間強かかります。

もし観光車両、ツアーバス、大型バス、許可のない車に乗ってきた場合は、そのゲートの駐車場に車を置き、専用車に分乗して遺跡に向かうことになります。この時も通行税を払います(ツアー料金に含まれている場合は別途払う必要はない)

ローカルバスなどで行くと、ゲート入り口に許可のある車がおらず、待たされる場合などもありますので、ツアーを使わず自力で行く場合には、時間に余裕をもっていくようにしましょう。

【カラクムル遺跡に行く方法】

カラクムル遺跡に行く方法には以下のものがあります。

1) カンペチェやチェトマルといった大都市から日帰りする。

2) ユカタン半島周遊の旅の途中に立ち寄る。

以下二つの方法を詳しく説明していきます。

≪≪1. 大都市からカラクムルへの日帰りアクセス≫≫

近隣の大きな町から日帰りしたい場合には、ツアーを使うことをオススメします。ただし日本語のツアーはなく、スペイン語もしくは英語になります。車の運転と語学に自信がある方はレンタカーを使うのも便利です。

●カンペチェ(Campeche)

カンペチェ州の州都であるカンペチェは、国際空港もある大きな都市。カンペチェから、カラクムルの最初の遺跡入口(車を乗り換える所)までは約290km、車で片道約4時間。そこから南へさらに60kmを1時間強で走り、本当の遺跡の入口に到着。見学時間等も入れると日帰りするには14~15時間が必要となる。カンペチェからはカラクムルの日帰りツアーが出ているが英語もしくはスペイン語のみ。朝5時に出発し夜遅くに戻ってくる強行ツアーになる。

●チェトマル(Chetumal)

キンタナロー州の州都であるチェトマルは、ベリーズとの国境に位置する大きな都市(国際空港もあるがほとんどは国内線の離発着)。チェトマルからカラクムルの最初の遺跡入口(車を乗り換える所)までは約190km、車で片道約3時間。そこから南へさらに60kmを1時間強で走り、本当の遺跡の入口に到着。見学時間等も入れると日帰りするには12~13時間が必要となる。チェトマルからもカラクムルの日帰りツアーが出ているが英語もしくはスペイン語のみ。

≪≪2. ユカタン半島周遊の旅の途中に立ち寄る≫≫

カラクムル遺跡は、カリブ海側の大都市チェトマルと、メキシコ湾側の大都市カンペチェのちょうど間に位置する。また、チアパス高原にある人気遺跡「パレンケ」から、カンペチェに向かう道の途中で立ち寄ることも可能。したがって、どこかの大都市を起点にして無理やり日帰りするのではなく、周遊の旅の途中に立ち寄ると効率よく回れる。その場合はレンタカーをするのが最も便利。また無理して長距離を走らず、カラクムル遺跡の近くの町で宿泊するのも面白みがある。

※宿泊施設のあるカラクムル遺跡近隣の村には以下のものがあります。トリップアドバイザーやbooking.comなどで宿を調べてみてください。

・シュプヒル Xpujil

・チカナ Chicanna

・コンワス Conhas

【せっかく宿泊するなら行ってみたい近隣の遺跡】

カラクムル近隣の村に宿泊し、もし時間があれば、近隣の遺跡にもぜひ立ち寄ってみましょう。とくにシュプヒルの町周辺に小さな遺跡が集まっています。

・シュプヒルXpujil

・ベカンBecan

・チカナChicanna

・オルミゲーロHormiguero

・リオベックRio bec

・オコルウィッOkolhuitz

・バラムクBalamku

トリップアドバイザーbooking.com

カラクムルの観光情報

カラクムル遺跡地区

ZONA ARQUEOLÓGICA DE CALAKMUL

【開園時間】

年中無休 朝8時~夕方5時まで

【入園料】

カラクムルは遺跡入場料以外に環境税や通行税がかかります。遺跡に入るまでに3回支払いをすることになります(2015年1月現在)。

1)第一回目の支払い(通行税 車の大きさや通過する人数によって値段が違う) 

カラクムル自然保護地区に入る最初の入口で、車両の大きさ事に決められた金額を支払います。自家用車やレンタカーはお金を払えばそのまま車ごと入ることが出来ますが(車の通行料金以外に人間の通行料が発生する場合もある)、観光バスやチャータータクシー(入場許可を得ている以外のタクシーという意味。許可のあるタクシーの場合は乗り換えの必要はない)の場合は、そのままその車で入ることはできませんので、遺跡に入る専用の許可を持った車に乗り換える必要があります。荷物は全部持って乗り換えてください。チェトマルやカンペチェから出ているツアーバスの場合も、基本的には乗り換えが必要です。

2)第二回目の支払い(環境税 1名あたり40ペソ)

遺跡の入口に到着する前に、もう一つゲートがあり、ここで1名あたり40ペソを支払います(金額は2015年1月現在)。

3)三回目の支払い (遺跡入場料 65ペソ)

どの遺跡でも同じ金額となっているINAHに支払う入場料で2016年7月現在65ペソ です。

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このように、どのような交通手段で行くかによって、入園にかかる費用が変わってきますので注意してください。チェトマルもしくは、カンペチェからでるツアーで回る場合にはこれらの費用が含まれている場合が多いようです。

Google Map

下の写真は、1番目の支払いが生じる入口。観光バスで到着した場合には、ここにバスを置き、村が準備する専用タクシーに乗り換えなければいけません。

カラクムル遺跡観光の注意点

・トイレ

カラクムルの最初の入口(車を乗り換える場所)と遺跡の入口にあります。トイレットペーパーはないものと覚悟しましょう。

・カラクムル観光の所要時間。

カラクムルの観光には、最低でも4.5~5時間かかります。

カラクムルの最初の入口(通行税を払い、車を乗り換える場所)から実際の遺跡の入口までは約60キロあり、車で約1時間かかります。そのあと、遺跡入口から実際に遺跡がある場所までは約1キロで20分程度歩きます。そのあと、中を見て回るのに最低でも約2時間。全部のピラミッドに登ったり写真を撮ったり、野生動物と戯れたりすれば、3時間ぐらいかかることも予想されます。したがって全体をトータルすると、カラクムルの最初の入口に戻ってくるまでに、最低でも4時間半、一般的には5時間かかることになります。その間、売店もレストランも何もありませんので、飲料水と食料は持っていくのが賢明です

・飲み物と食料

カラクムルの最初の入口にも、遺跡の中にも売店は一切ありません。カラクムルの最初の入口に到着する前の村やガソリンスタンド等で、飲み物や食料はかならず準備しておきましょう。

・虫除け

雨の多い日には蚊がたくさん出ますので、虫除けは必ず持参してください。

カラクムルのビデオ

あいにく日本語ではありませんが、見ているだけでも面白いので、ぜひご覧ください。

注目すべきなのは、現時点では一般には公開されていないピラミッド内部にある壁画。当時のマヤの庶民の生活が生き生きと描かれているのはとても珍しいのです!

マヤ文字で、タマレス(トウモロコシ蒸しパン)とかアトーレ(トウモロコシドリンク)と書かれており今、私たちが食べているメキシコ料理がこの時代から受け継がれていることがわかります。

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著者情報

紹介文: カリブ海に面したおしゃれな街・トゥルムの小さなブティックホテルで働いています。ここ数年でトゥルムはヨガのメッカとなり、美と健康に興味のある方々が世界中から集まります。「マヤ遺跡のある田舎町」から「キュートでヘルシーな町」へと、トゥルムは急激に進化中♪トゥルムのいろんな表情をお伝えできたらと思います。

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