※出典 メキシコ日本商工会議所発行「MEX LIFE」
世界遺産が多く観光都市としても、新たな市場としても世界的に注目されているメキシコ。
そんなメキシコは、実は犯罪が多い国としても有名です。新しくメキシコで生活を始めた方、メキシコでの生活に慣れつつある方、既にメキシコで生活して数年経つ方、大丈夫ですか?しっかり防犯対策は出来ていますか?そんなあなたに、メキシコでの犯罪の例とそれの対策方法に関して紹介していきます。
1、 最も多い犯罪、誘拐
メキシコでは以前から身代金目的の誘拐事件が多発しています。
被害者は主に高級車や高価な貴金属などを身につけている人が多く、最近では首からデジタルカメラをぶら下げている観光客も狙われています。誘拐事件の中で特に多い例は「短時間誘拐」です。これは、メキシコ連邦区及び周辺都市を中心に多く発生し、短期旅行者や駐在員にとって高いリスクとなっています。
犯行手口
犯人グループ(6~9人)が2~3台の車に分乗し、ターゲットの車の後をつけ、その車が信号などで一時停車した際に無理矢理乗り込みます。その後、運転手を拳銃で脅し、殴りつけて顔を見られないようにして、被害者の所持品の要求、キャッシュカードの暗証番号の聞きだし、被害者の携帯電話を使い被害者の家族に連絡した後、身代金や高価な品物を要求します。その後解放される例が多いそうです。
防犯対策
・三原則の徹底。
(用心を怠らない・行動を予知されない・目立たない)
・複数人による行動。
・誘拐の予兆を感じたらすぐに人を呼ぶ。
・屋外では、人通りの多い場所を選んで行動する。
・キャッシュカードやクレジットカードを必要時以外持ち歩かない。
・万一拘束されたら、命の危険性もあるため犯人の指示に従い、むやみに抵抗しない。
2、 タクシー利用時の強盗事件
被害者の多くは旅行者で、犯行地域は主にメキシコ市の国際空港及び市内の観光地や、タポ(メキシコシティ東ターミナル)、中央や北の各バスターミナルです。
事件の発生時間は昼間から夕方にかけてが多く、日本人の短期滞在者が被害に遭っています。リブレ(流しのタクシー)を安易に利用することは避けた方が良いでしょう。
犯行手口
リブレ(流しのタクシー)の運転手が、急に速度を落とし運転手と組んだ2~3人の強盗が乗り込みます。その後拳銃を突き付け、所持金等を強奪、小一時間程連れ回し、郊外等の見知らぬ場所へ被害者を置き去りにします。
防犯対策
・タクシーを利用する際は、予約制のタクシー(シティオ・ラジオタクシー等)やホテル専属のタクシー(トゥリスモ)、あるいはチケット制の空港タクシーのみとし、リブレや白タク(無認可タクシー)には基本的に乗らない。
・安全なタクシーを利用する場合でも、タクシー会社のオペレーターに運転手の氏名とプレートナンバーをあらかじめ確認する。
・乗車する前にプレートナンバーを控える。
・運転者証と運転者の顔が一致しているか確認する。不審に思ったらすぐに車から降りる。
・必要以上の金銭・クレジットカードは携帯しない。
・観光地に行く場合は、観光ガイドと共に行くことが賢明。
3、 銃器犯罪
メキシコでは、家の安全や正当防衛のため許可を得てピストルなどの銃器を自宅内に保有することが認められています。しかし、実際には許可なく銃器を保有し、携帯している人が多く、ほとんどの犯罪に使用されます。窃盗犯であっても拳銃を持っているので、犯罪に巻き込まれた際はむやみに抵抗しないように注意してください。また、歩行中だけでなく自動車の運転中にも被害にあう可能性があるので、停車中はいつでも逃げることができるように車間距離をとるか、速度を調整しなるべく停車しないように運転を心がけてください。
4、 長距離バスにおける強盗・窃盗事件
メキシコの長距離バスは、定まった路線、定まった運行であるため、特に夜行バスは強盗の襲撃対象になりやすいです。また、強盗被害のほか仮眠中に荷物から貴重品を盗まれることや、荷物室に預けた荷物から現金や貴重品が盗まれる事件も毎年発生しています。
防犯対策
・単独行動や夜間の移動は避ける。
・出発地から目的地までの途中で他の乗客が乗り込まない一等バスを利用する。
・仮眠する際は貴重品を肌身につけ、決して座席などに放置しない。
5、 地下鉄での集団窃盗
メキシコ市内の地下鉄において、旅行者が集団窃盗事件にあう事件が多発しています。中でもソカロ周辺のイダルゴ駅における被害が一番多く発生しており、デジタルカメラを首にかけている旅行者などがターゲットとなっています。また時間帯は朝夕のラッシュ時及び昼間帯に多く発生しています。
犯行手口
旅行者が市内の地下鉄に乗車しようとしているところを狙い、5~6人のグループが急に背後から押し入り、旅行者を取り囲んでバックなどを引きちぎって強奪する。
防犯対策
・地下鉄を利用する際は、貴重品はバック等に入れず肌身に着けて携帯する。
・デジタルカメラは見えないところに入れておく。
6、 空港での盗難事件
メキシコ市国際空港における強窃盗事件は、過去に比べ減少しましたが、不特定多数が出入りする場所なので「置き引き」などには特に注意が必要です。過去には、空港内両替所を利用した旅行者が襲われる事件、空港の手荷物検査所において警察官や空港職員に別室での検査を要求され金銭を要求される事案、その他、航空機に預けた荷物の鍵を壊され貴重品が窃盗される事件などが発生しました。
防犯対策
・警察官や空港職員に関わるケースについては、自らに非がなく先方の言動が不審な場合は「日本大使館に連絡する」と伝え、毅然とした態度で拒否する。
・貴重品は預け荷物ではなく、手荷物として機内に持ち込む。
まとめ
メキシコでは日常的に犯罪が起こりやすいので、常に周囲に気を配り危機感をもって行動することが大切です。とくに三原則(用心を怠らない・行動を予知されない・目立たない)に関しては徹底しましょう。しかし、親日家が多い国としても知られるメキシコでもあるため状況をしっかり判断してメキシコでの生活を楽しんでください。