石田ルイスが考える、次なるステージへと向かうSONY MEXICOの展望

SONY MEXICOでマーケティングマネージャーを務める石田ルイスさん。SONY の変革期である現状、今後の展望についてお話をお伺いしました。

バイリンガルとして育った幼少時代

――まず経歴からお願いします。

親の仕事の影響で、様々な都市を転々と移動してきました。

生まれは神奈川県の茅ヶ崎というところで、その後は、北海道、NY、グアムと移り、小学校の途中からは茨城県つくば市で過ごしました。

――小学校高学年の時点ですでにバイリンガルの少年だったんですね。やはり幼少時代から将来は海外に出たいという気持ちはお持ちだったんでしょうか。

この生活のおかげで小学校高学年の時から英語は喋れるようになりましたが、当時は特別に海外への思いはありませんでした。友達と離れる寂しさはありましたが、自分がどこに住んでるかはあまり気にしていなかったですしね。

日本に帰ってきてからは父が筑波大の教授だった影響で茨城県つくば市で過ごしました。

――帰国子女として苦労されたことはありましたか。

特にはありませんでした。つくば市が研究学園都市ということもあり、比較的インターナショナルな環境で、当時の小学校のクラスにも一人か二人は外国人生徒がいたので珍しくなかったですね。

小さいころは活発な性格で、バスケや柔道、サッカーなど日々運動をして過ごしていました。

ソニー入社のきっかけは、兄からのおさがり

――現職のソニーに就職するきっかけは何だったのでしょうか。

もともと兄が大のソニー好きでした。その兄からおさがりでもらったソニーのウォークマンが自分にとって初めての電化製品で、ずっと使っていたこともあり当時からソニーにはいい印象を持っていたんです。

大学時代に就活を意識し、「自分は何をしたいんだろう」と考えたとき、仕事をする上で「自分達が生み出したモノをどうお客さんに届けるか」ということが楽しいそうだと思いました。

企業を選ぶ基準として、ものづくりの会社・自分が好きな製品を持っている会社という軸で考え、好感を抱いていたソニーを選んだという具合ですね。

今の自分をつくった入社当時の地方配属

――入社してからのお話を聞かせてください。

入社当初は辛いこともありました。

初めての配属先は地方の営業、週末は店頭で販売員をしていました。

英語を活かして、グローバルな業務に携わりたい自分がなぜ2年間の地方営業に配属されたのか理解に苦しんだ時期でした。

マーケティング業務に携わりたくて、本を読んだり勉強したりして、念願のものづくりの会社に入り、世界をまたいでお客さんに分かりやすく商品を届けていくんだと思っていたが、現実は地方での泥臭い営業。同年代の仲間達が東京で華やかに過ごしているのを見て、自分は何をやっているんだろうと思っていました。

でも、今になってはその経験が糧になっていると思います。

例えばデスクワークをしている自分が「店頭でこんなことを実現したい」と考えたとします。

過去の経験を元に、店頭でその実現の為に“何をしなければいけないか”をイメージが出来る為、デスクワーク上でも凄く仕事がはかどります。

逆に最初から本社で働いてたとしたら、この感覚は無かったと思います。

今でも週末に店頭で現状確認をしている際には、営業時代を懐かしんだりしています。

ブランドイメージという強み

――現在担当しているマーケティングのお仕事についてお聞かせください

日本にいるときはマーケティング部で、ソニーのカメラビジネスのアジア窓口を一年担当、その後アメリカ窓口、カナダ窓口を担当しました。

業務としては、担当している国から情報を聞き出し、社内でレポート、市場分析、イベントサポートなどを主な業務として行っていました。

本社マーケティングを経た後、ラテンアメリカ本社があるマイアミに赴任、マイアミからラテンアメリカのカメラビジネスを担当していました。

――担当した国、エリアでの特徴は何かあるんでしょうか。

一概には言えませんが、ソニーはフィリピン、マレーシア、インドなどの後進国で非常にブランドイメージが良いんです。

メキシコを始めとしたラテンアメリカでもソニーのブランドイメージは良く、メキシコでは2015年のブランドイメージで総合No.1を取りました。

――おめでとうございます。

ありがとうございます。(笑)

――後進国でのブランドイメージが良いのは何故なんでしょうか。

日本企業の中で早い段階から海外進出をしていたことで「誰もが知っている会社」として根付いているっていう部分があるんだと思います。

原点回帰からの再出発へ向けて

――ラテンアメリカの中でメキシコの市場についてはどのように感じていますか。

エレクトロニックスの市場規模で言うと、メキシコは現在のラテンアメリカでは一、二番に大きく、その中で付加価値の高い商品に対する需要が比較的に多い市場ですね。

昔で言うとラテンアメリカで一番大きい都市はブラジルのサンパウロでしたが、経済環境、輸入規制など様々なファクターの影響が重なり、各国の状況はここ数年で変わってきています。

その中で、今のメキシコはソニーにとって非常に重要な市場に成長しており、メキシコでラテンビジネスの成功例を作ろうと、日々チームのみんなと切磋琢磨しています。

――ソニーが昔に比べてシェアが減っているとお聞きしました。

確かに減っています。

かつてはTV市場において、他社と首位争いをし肩を並べるくらいのシェアを誇りましたが、現在はその半分もありません。

その改善策として行ったのが、主戦場を変える事です。

ソニー商品の強み、その商品の需要がどこにあるか、しっかりと分析をし、商品も販路における選択と集中を行いました。

規模を追うのではなく、量販店のビジネスパートナーと一緒にどう成長していけるかを考え、ビジネスの再構築を行いました。

メキシコに来て感じた他国との違い

――メキシコに赴任されてから感じたアメリカとのギャップはありますか。

アメリカとはもちろん全然違いますね。ただメキシコシティは外国人も多く、色んな国のご飯も食べれ、そういう意味では思ってたよりも大都会でしたね。

ただ、マイアミから異動してきたので、海がないこと、気軽にどこへでも出歩けないことは少し残念です。

――メキシコに来て苦労されたことは何でしょうか。

驚いたことにメキシコのエレキ市場は特殊で、小売店によって価格の値付けが違います。

例えばA店では、15,000円を通常価格にし、セール時20~40%程値を下げることでお客さんに“お得感を与える”というビジネス形態に対し、

B店では、12,000円が通常価格で常にそこそこ安い価格で提供し続けるビジネス形態です。

また、毎週各法人のプロモーションの値下げ幅が変わるので、タイムリーな現状把握とスピーディーな価格対応・調整が市場のプライスマネジメントには必要になります。

そのため僕たちは毎週店頭で価格をチェックを行い、それぞれの小売店が最終的には平等に売れるようにマネジメントしています。

このような価格マネジメントが、他の市場ではあまり見ない、メキシコならではの苦労かと思います。

――今後メキシコに訪れる方にアドバイスが何かあればお願いします。

プライベートな内容にはなりますが、空気清浄器、ノドヌールスプレーは必須ですね。笑

想像以上に大気は悪かったです。あと非常に乾燥してます。

ビジネスの面ではメキシコ人は想像していたより、勤勉な人が多い印象を今のところ受けています。チームを組んで仕事をする上では比較的やりやすいのでは、と思います。

成長と利益の最大化を目指して

――今後の挑戦についてお聞かせください。

ソニーは昔からのブランドな為、どんなにシェアが低くてもソニーのことを知っている人はたくさんいます。

けれども、このメキシコで「テレビのソニー」としてもう一度認知度をあげ、いたずらにビジネス規模を大きくするのではなく、利益が継続してしっかり出せるビジネスを構築、そうしてマーケットシェアを拡大していくことが目標の一つですね。

その他インタビュー記事はこちら
1/1
お気に入り

特集

amigaピックアップ