米国議会の下院は7月27日、ドナルド・トランプ米国大統領による選挙公約の一つであり、各所で大きな論争を呼んでいる米国とメキシコの国境の壁建設に向けた予算費用16億ドル(約1,770億円)を含む、総額7,880億ドル(約87兆円)を歳出する法案を可決した。
同法案の賛成は235票、反対は192票だった。しかし、壁の建設を巡って対立する民主党の反対は必至であり、同法案が上院で通過する可能性はほとんどないという。また、国防費が予算案から大きく増加したこと、歳出上限を定めた予算管理法による制限なども懸念されている。
カリフォルニア州の共和党所属で、下院の院内総務を務めるケビン・マッカーシー氏は、「今回の歳出で最も重要なのは退役軍人に関する健康医療や制度の見直しについてであり、トランプ大統領が計画している国境の壁建設への歳出は全体のほんの一部に過ぎない」と伝えた。
米国とメキシコの国境の壁建設について、依然として不安視している共和党議員が多く存在するほか、世論調査でも反対の意見が多い状況にある。またトランプ大統領は、壁の建設にかかる全ての費用をメキシコ側に負担させると公言してきたが、メキシコは拒否の姿勢を示しているため、この法案により米国内の税金から負担されることになる。
また、国境の縦断は距離が離れすぎている等の環境的な要因や、個人の所有する土地があったりするため現実的ではなく、一部を除き現存の塀で十分だとする専門家もいるという。
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