冬のこれからの季節のメキシコでは、様々な行事があり、1年の中でも華やかで楽しい季節だと私たちを思わせてしまう、メキシコ人にとって待ち遠しいばかりの季節です。しかし、華やかな季節の裏側には、多くのメキシコ人が感じない、またはいつも気づくことができない問題があるのです。それは、エネルギーを大量に消費することによる大気汚染、プレゼントや食事を消費する際に出てくるごみ、打ち上げられた花火や物(タイヤなど)を無責任に燃やした後に出る残骸・悪臭です。
この国の12月の祝祭期間中に、人々が一番苦しめられているものの1つに、大気汚染があげられます。なぜなら、この時期、木、ドア、バルコニーに大量の電飾が括り付けられていることを見受けられますがこの結果、メキシコの家庭では電力消費量が憂慮すべきレベルに急激に増加する傾向にあります。環境天然資源省(SEMARNAT)の調査によると、この時期消費量が約35%増加します。これにより結果的に二酸化炭素の排出量も増加するのです。
そしてこれに加え、この時期には家を暖めるために暖炉の中で木材や炭を燃やします。また、家を暖めない人でも、道で暖をとるため、既に使えなくなったもの、例えばタイヤなどを燃やすのです。ただし、こういったものを燃やすと、通常の汚染物質よりも、各段に早く空気中に高い毒物性を持った汚染物質が拡散するのです。空気だけがこうした影響を受けるばかりでなく、この時期自動車を使う機会が増加し、大気の清浄度に影響を与えていきます。車は二酸化炭素や一酸化炭素、窒素化合物、未燃焼炭化水素、そして個体粒子といった汚染物質を生み出すからです。
花火や「ケマ・デ・カスティージョ」も、年末のフェスティバルには欠かせないもので、寒い冬の夜を華やかにします。これは昔から続けられてきた伝統なのですが、残念ながら空気汚染を助長させる深刻な原因をつくっています。これらの年末のフェスティバルで空気汚染は70%も悪化するとされています。特に12月25日、1月1日は、空気汚染指数が一番高くなる日だそうです。
12月はプレゼントをサンタクロース、そして東方の三博士がやってきて、プレゼントを渡していく楽しいシーズンですが、ただ、プレゼントのラッピングには一体どうするのでしょうか?どこにいくのでしょうか。答えは簡単です。ごみとなるのです。SEMARNATによると、12月と1月、ラッピングのごみが30%も増えるとされています。土、水、空気などの環境に影響を与えるだけでなく、その処理費用はメキシコ経済にも大きく影響を与えるのです。また、SEMARNATによると、使い捨て食器類などのごみが、35%も増加するのです。既に国民に対して、年末にこうした製品の消費を減らすよう呼びかけられていますが、大きな変化は現れていません。ポリスチレン製の製品はよく使われるものですが、自然に帰るまでには100年~1000年かかるとされ、プラスティック製のラッピングと同じように、土、川、海を汚染していくのです。そしてこの生態系に住む多くの生物に大きな影響を与えます。
12月の祝祭シーズンは、家庭に幸せをもたらすだけでなく、私たちが残念なことに直視していない、気づいていない問題も起こしています。メキシコはこの問題に目を背けるのではなく、注意深く、責任感を持って「フィエスタ」を楽しむことが必要なのではないでしょうか。
メキシコ新聞HP