メキシコの最低賃金2019
メキシコの全国最賃評議会(CONASAMI)は、前年12月17日に2019年の最低賃金を発表しました。最低賃金は前年の日給88.36ペソから102.68ペソに増額しました。これは16%の引き上げで、1996年以来の大幅な引き上げです。以前からメキシコシティ行政府などが、最低賃金引上げの必要性を強く訴えていましが、昨年まではメキシコ中央銀行によるインフレの懸念や、CONASAMIの中立的態度によって大幅な増額は止められていました。しかし新政府の発足に伴い、CONASAMI会長の座を27年間務めた守旧派バシリオ・ゴンサレスが解任され、ペニャロサ・メンデスが会長になると、最低賃金の大幅引き上げが行われました。
今回の引き上げによる最低賃金は、都市部の最低生活費などを参考にして決められています。前年の最低賃金は月額で2,650.8ペソでしたが、これは都市部の最低生活費に達していませんでした。今回の引き上げによって初めて、都市部の最低賃金が最低生活費を上回りました。
また、ロペス・オブラドール大統領がアメリカとの賃金差によるアメリカへの流入を防ぐために、アメリカ国境付近の最低賃金をさらに引き上げることを要求しました。そして、全国の最低賃金より70ペソ以上高い176.72ペソの「国境最低賃金」が定められました。
世界の最低賃金
日本を含む35か国が加盟している経済協力開発機構(OECD)の発表によると、メキシコの最低賃金(時給)は、コスタリカやコロンビア、チリよりも少なく、統計が取られた32か国のうち最下位となっています。
またメキシコとは関係ないですが、日本の最低賃金はアジアでは最も高額ながら、先進国の中では最低レベルなことをご存知でしたか?
職種別月額賃金の比較(中南米)
今回大幅な引き上げがあったメキシコの最低賃金ですが、これまでのメキシコの賃金は中南米内でみるとどうだったのでしょうか。2017年~2018年の中南米各国の賃金水準を、日本貿易振興機構(JETRO)の資料をもとに一般公職・エンジニア・管理職の3種類で比べてみましょう!
一般工職(ワーカー)の月額賃金
一般工職の月額賃金が最も高いのはウルグアイのモンテビデオで、次にアルゼンチンのブエノスアイレスが続きます。中南米でみてもメキシコの各都市は、賃金水準が低いことがわかります。
エンジニアの月額賃金
いずれの国でも、エンジニアの月額賃金は一般工職と比べかなり高額なのがわかります。ブラジルのサンパウロの月額賃金が最も高く、メキシコの各都市はこれらの都市に比べるとかなり低い賃金になっていて、その差は月に約4,000USドルと大きく開いてしまっています。
中間管理職(課長クラス)の月額賃金
今回比較している3種類の職のうち、最も賃金の高い中間管理職では、ブラジルのサンパウロでの月額賃金が最も高く、その他の職と同じくブラジルやアルゼンチンの賃金が高い傾向にあります。また、その他の職と違い、チリのサンティアゴの賃金が高いことは特徴的です。それに比べキューバのハバナは、南米諸国の中で中間管理職の賃金が低い国と言えます。エンジニアの月額賃金よりも中間管理職の賃金が低いのは、他国と違う特徴ですね。
最後に
今回はメキシコの最低賃金をご紹介しました。メキシコはブラジルに次ぎ中南米第2位の大国との呼び声が高いにもかかわらず、賃金の低さが目立ちました。しかし、2050年には日本のGDPを抜くとも言われていて、メキシコの今後の成長に注目です!