1.ハードタコス
「いやいや。」と思われた方、お待ちください!もちろんタコスはメキシコ発祥です。ですが、多くの日本人がタコスと聞いてイメージするような硬い皮のものはメキシコのものではないんです。そもそもタコスの本場メキシコでは、このU字に揚げられた硬い皮(タコシェル)のタコスは基本的に売っていないんです。
ハードタコスは、1914年にカリフォルニアのメキシコ・スペイン料理に関するレシピ本で初めて紹介されています。このタコスがアメリカで普及した大きなきっかけが、実はあの「タコベル」。カリフォルニアでグレン・ベルがオープンした「タコベル」で、ファスト・フードとしてこのタコスが売られたことが、ハードタコスが広がったきっかけだと言われています。メキシコでは柔らかいタコスの生地を注文を受けてから温めて提供する一方、タコベルではタコシェルを既に揚げて作っておくことで、タコスをすぐに提供することを可能にしました。日本に進出しているタコベルでも、この硬い皮のものを「(クランチ)タコス」として売っているので、多くの人がメキシコのタコスと聞いてこのハードタコスを想像するのではないでしょうか。
2.オルチャ―タ
メキシコのタコス屋さんに行くとほとんどのお店で飲むことができる「オルチャータ」。メキシコに住んでいると、メキシコの伝統的な飲み物なのかと思いますが、この飲み物はヨーロッパが起源なんです。そこから派生したスペインのものはオルチャータ・デ・チュファと呼ばれ、近年日本でスーパーフードとして注目されているタイガーナッツ(スペインでは「チュファ」)の絞り汁にはちみつや砂糖を加えて作られます。特にスペインのバレンシア地方はチュファの産地であるため、オルチャータが名物となっています。先程書いたように、メキシコでもオルチャータは一般的な飲み物ですが、スペインと異なりチュファが入手しにくいので、お米が原料となっています。
さらに、オルチャータはメキシコでよく飲まれているアグア・フレスカと呼ばれる種類の飲み物の1つとされています。アグア・フレスカにはオルチャータの他に、ハイビスカスで作られる「ハマイカ」というものや「タマリンド」と呼ばれる飲み物があります。これらはメキシコではとても有名な飲み物なので、メキシコを訪れた際にはぜひお試しください♪
3.ピニャータ
お菓子やピーナッツを入れて棒でたたいて割る日本のくす玉のようなものをメキシコでは「ピニャータ(piñata)」と呼んでいます。これは主にメキシコのポサダやクリスマスで使われるため、毎年12月になるとメキシコのあらゆる場所で売られ、店先に飾られます。こんなにも浸透しているピニャータなのですが、実は中国が発祥の風習なんです!中国では、雄牛を模ったものに農業の収穫などを表した色紙を張り付けていたようです。中国で始まったこの風習は、ヨーロッパ、スペインへと広がり、スペイン人によってメキシコにもたらされました。
メキシコの伝統的なピニャータには7つのとんがりがあり、星のような形をしています。これらは7つの大罪を表すとされ、それを美徳・意志である棒で叩き壊すと、天国から褒美(ピニャータの中のお菓子など)が得られるというとても宗教的意味の強い風習でした。今ではメキシコの様々なお祝い事で子供たちがピニャータの歌を歌いながら行うゲームになっていて、世界中に広がっています。
おまけ:ナチョス
トルティーヤ・チップスに牛肉や鶏肉やチーズをかけたり、ワカモレやソースとともに食べたりするナチョス。もちろんこれはメキシコ生まれの料理なのですが、その生まれの由来にアメリカ人が関わっているって知っていますか?
ナチョスが広がるきっかけとなった出来事は1940年頃のこと。ある日、アメリカ、テキサス州からメキシコを訪れていた航空兵の夫人たちが、偶然コアウイラ州のレストランを訪れます。しかし調理長が不在だったため、ウェイターがたまたまあったトルティーヤを揚げ、そこにチーズを加えて調理した即興の料理を提供しました。するとそれが大評判!その後その料理がメニューに加えられたことで、ナチョスは広まっていったとされています。つまり、ナチョスはメキシコ発祥ですが、このとき来店したアメリカ人女性たちがいなかったら発明されなかったかもしれない料理なんですよ♪