引っ越しをする際には付きものな住民票の移動ですが、海外へ引っ越し時も例外ではありません。特に海外へ出る場合には、住民票の扱いが他の制度にも大きく関わるためとても重要なんです。そんな海外滞在中の住民票の扱いについて解説します。
住民票を抜くって?
「住民票を移す」は聞くけど「住民票を抜く」ってどうゆうこと?となる人もいるのではないでしょうか。住民票を抜くというのは、海外転居手続きを行い「日本のどこにも住んでいない」という状態にすることを指します。もともと住民票とは「誰がどこにいつから住んでいる」ということを公的に証明するための書類です。そのため、海外滞在が1年を超える場合は海外転出届を出すことになります。この届には明確に何か月以上の場合は出さなければいけないと決められた期間ははなく、出していなかったからと罰則はありませんが、原則として1年以上日本国外に滞在する場合は届け出を提出する必要があります。
海外転居届を出すとどうなる?
「住民票を抜く」つまり海外転居届けを出すことで起きる変化には大きく3つあります。
その1、住民税の支払いが無くなる。
住民税はその年の1月1日時点で日本国内に住所を持っている場合に課税されます。そのため、4月に出国する場合はその年の1月1日には日本国内に住んでいたことになり、その一年分の住民税に対して支払い義務が発生します。同様の原理で、1月2日以降に日本に帰国した場合は、その年の住民税は課税されません。これはもちろん転出届を提出した場合のみに適用されるため、転出届を出し忘れて出国した場合には日本国外に住んでいる場合でも日本の住民税を納める必要があります。
(参照:https://juuminzei.com/html/kaigai.html)
その2、国民健康保険が解約される。
国民健康保険は、基本的に日本国内に居住する人向けの保険であるため海外転出届を提出した時点で、保険は解約されます。保険に入っていない状態って大丈夫なのかと心配になる方も居るかもしれませんが、海外に出る場合には民間の海外用保険に入ることが多く、海外での処置に対して国民健康保険を適用することはあまりありません。海外での処置に対する国民健康保険の適用は可能ですが、これは実際に支払った額に対しての保険金が支払われるわけではなく、「その処置を日本で行った場合に必要とされる費用」に対しての保険金が支払われるため注意が必要です。以上の条件からは、国民健康保険は解約した方がいいと思われるかもしれません。しかし日本への一時帰国中、国民健康保険がない状態で日本の医療機関で受診すると医療費を100%負担しなければならず、必ずしも解約することが最善であるとは言い切れません。一時帰国の際のみ住民票を戻すことも可能ですが、その期間や役所の判断によっては短期間のみでの移動は受け入れられない場合もあるため、住民票の扱いについてはしっかりと検討することをおすすめします。
その3、国民年金が解約される。
国民健康保険と同様に、国民年金も海外転出届を提出すると自動的に解約されます。しかし国民年金は任意加入として、海外滞在中も加入し続けることが可能です。任意加入をしない場合にはその期間は「カラ期間」と呼ばれ、その期間は国民年金加入期間には計上されません。国民年金は受給するには10年以上の加入期間が必要であるほか、加入期間の長さにより受給額にも差が生じるため、必ずしも払わないことが得であるとは言えません。滞在国によっては社会保障協定によってその国の年金に加入することで、日本の年金に加入していることと同等の扱いになったり、滞在国の年金を受けられたりすることもありますが、残念ながら現状ではメキシコと日本の間ではこの協定は結ばれていません。
そのほかに、日本におらずとも給付要件を満たしている場合には年金を受給することも可能です。詳しくは日本年金機構のホームページをご覧ください。
(参照:https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/kaigai/nenkin_hoken/index.html)
日本年金機構ホームページまとめ
海外に長期滞在する場合の住民票の扱いについて解説いたしました。住民票を抜いた場合に起こる変化は、
住民税が課税されなくなる。
国民健康保険が解約される
国民年金が解約される(任意加入可)
以上の3つです。
大きな会社からの駐在となれば、周りから得られる情報も多いかもしれません。しかし現地採用などとなれば自力でやらなければならない部分も多いのではないでしょうか。是非参考にしていただければ幸いです。