メキシコの国旗
メキシコの国旗は自由・正義・国民性の象徴とされ、緑・白・赤の3色で構成されています。この3色はそれぞれに意味を持ち、緑は「民族の運命における国民の希望」、白は「カトリックや宗教的な純粋さ」、赤は「国に殉じた愛国者の血」を表しているといいます。また、国旗の中央には国章が施されています。この国章のデザインは1821年11月2日の制定以来何度か変更はされていますが、「湖の中央の岩に生えるサボテンに蛇をくわえた鷲がとまっている」図を描いています。これはアステカ神話に登場する「そこに首都を創設せよ」という予言であり、1325年のアステカの首都「テノチティトラン(現在のメキシコシティ)」の創設を示しています。
(参照:Wikipedia メキシコの国旗)
メキシコの国旗の色遣いはトリコロールカラーで有名なイタリアの国旗に非常に似ていて、一見するとメキシコの国旗から国章を取り除けばイタリアの国旗が完成、となりそうです。しかしメキシコとイタリアの国旗に用いられている緑と赤の色は違い、イタリアの色の方がいずれも淡い色が使用されています。また縦横の比も異なっており、イタリアの国旗は2:3、メキシコの国旗は4:7と規定されています。
メキシコ各地でみられる大きな国旗
メキシコを訪れたことがある方でしたらどこかでは、巨大な国旗を見たことがあるのではないでしょうか。これらの国旗はメキシコ国内にいくつあるのかというと…。なんと、55か所に設置されています。メキシコは32州によって構成されている国なので、1州に1か所以上あるという計算になります。ここまでメキシコに国旗が多いのには実は理由があります。
その理由とは「国の政策」です。1999年7月1日に当時の大統領エルネスト・セディージョによって、遺跡や大都市の中心地に国旗を建てるという政策が行われました。サイズまで法律で規定され、支柱の高さは50m以上、旗の大きさは14.3×25mとされ設置が進められました。しかし実際には都市ごとに予算などの都合により、規定より小さくなったり、逆に大きなものが作られたりとしました。
大きく作られたものの代表例としてはメキシコシティのソカロ広場にある国旗が挙げられます。また日本人にも有名なリゾート地カンクンにも、非常に大きな国旗が建てられています。
旗の日(Día de la Bandera)
メキシコでは現行の国旗が制定された2月24日が「旗の日(Día de la Bandera)」とされています。国旗が制定されたのは1969年のことで、今年2019年に50周年を迎えました。現在の国旗に至るまでにメキシコの国旗は何度も変更されていますが、これまでの国旗の歩みを一度に目にできる場所があります。それはヌエボ・レオン州モンテレイにある「オビスパド展望台(Mirador del Obispado)」です。写真にあるように巨大な国旗があります。実はこちらがメキシコ最大の国旗です!全長100.6 メートル、総重量120トンの掲揚台に、縦28.6メートル、横50メートル、230キログラムの旗がはためく姿は圧巻です。是非一度、生でご覧になってみてはいかがでしょうか。
豆知識:国によって国旗の縦横比が違う?
図鑑や本で見かける世界の国旗は正方形の国旗を持つスイスとバチカン市国や世界で唯一四角形でない国旗を持つネパールを除き、概ね全て「2:3」の比率に統一され描かれています。しかし、先ほどメキシコの国旗の比率は「4:7」であるとご紹介したように、実は各国が独自の縦横比を規定しているのです。確かに、最も多い縦横比は「2:3」であり、日本もこの比率を適用していますが、世界にはさまざまな比率を用いた国旗が作成されています。上記に挙げたスイス・バチカン市国・ネパール以外の国は横長の比率を設けていますが、世界で最も横に長い国旗を持つ国は「カタール」で、その比率はなんと「11:28」です!
最後に
以上、メキシコの国旗についてでした。国内に大きな旗が55か所も設置されているとは驚きですね。日本では国旗を街中でいくつも見かけるなんてことは少ないかもしれませんが、メキシコでは様々なところで国旗を見受けます。それだけ国旗が身近に親しまれているのでしょう。皆さまもメキシコシティのソカロ広場や、モンテレイのオビスパド展望台などを訪れて、メキシコの大きな国旗を実際にご覧になってみてはいかがでしょうか。