フリーダ・エスコベド(Frida Escobedo):建築家
1979年メキシコシティ生まれの建築家フリーダ・エスコベドは、メキシコシティのイベロアメリカーナ大学で建築学の学士を修了後、建築やデザインで有名なハーバード大学デザイン大学院(通称:GSD)に進学し学びを深めました。
代表作は2010年に手掛けた「La Tallera」です。
メキシコシティの少し南、モレロス州クエルナバカにあるこちらは、もともとディエゴ・リベラ(Diego Libera)らとともにメキシコ壁画運動を行ったダビッド・アルファロ・シケイロス(David Alfaro Siqueiros)が1965年に建てた彼のスタジオでした。このリノベーションを任されたのが、フリーダ・エスコベドでした。彼女にとって初めての大きなプロジェクトであり、以後彼女を代表する作品となっています。現在は、公共の現代美術館として開放されています。メキシコシティから車で1時間半ほどの場所に位置するので、お休みの日に少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
住所:Calle Venus 52, Jardines de Cuernavaca, 62360 Cuernavaca, Mor.
Google Mapsまた、彼女の名を世界的に有名にした作品がこちら。
ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーで夏に期間限定で開催されるサーペンタイン・パビリオンでの作品。2000年以降毎年行われているこのイベントの設計者に、2018年には彼女が選ばれました。史上最年少かつ、単独女性建築家としてはザハ・ハディド(Zaha Hadid)に続く2人目となる快挙で非常に大きな注目が集まり、日本のメディアにも数多く取り上げられました。
ミネルバ・クエバス(Minerva Cuevas):芸術家(現代アート)
1975年生まれ、メキシコシティ出身の彼女は、メキシコ国立自治大学(UNAM)を卒業後、メキシコシティを拠点に活動している芸術家です。彼女の作品は現代アートのなかでも平等性やフェミニズム、資本主義への反対などの視点を取り入れた、社会的なテーマを用いたものが多く、社会活動家としても知られています。
その活動の場は、メキシコに留まらずアメリカやイギリス、フランスなどさまざまな場所へと広げられています。先日6月9日までは、ドイツのベルリンにある「daadgalerie」で第二次世界大戦後のドイツにおける「遊び場」をテーマにした展示会が開催されていました。
カルラ・フェルナンデス(Carla Fernandez):ファッションデザイナー
コアウイラ州サルティーヨ出身の彼女、カルラ・フェルナンデスは、メキシコの国立人類学歴史研究所(INAH)の館長であった父親の影響を大きく受けて育ちました。幼少期は父親の調査に同行し、国中を旅して原住民と触れ合いながら生活しました。そのなかで彼ら原住民の持つ伝統的な手工芸にも詳しくなっていきました。これはその後の彼女のキャリアに大きく関わることになります。幼少期の経験からファッションと芸術に関心を持ったカルラは、それらを学ぶためイベロアメリカーナ大学へ進学しました。その後、2000年にファッションデザイナーとして自身のブランド「Carla Fernández」を立ち上げました。現在では、メキシコシティに4店舗、メリダに1店舗のショップに加えて、商品を取り扱う場所はプエブラやグアナファト、オアハカ、グアダラハラなどメキシコ国内に9か所、またアメリカとオーストラリアにまで広がっています。
2013年には、その年に社会に大きな影響を与える文化活動を行った11名に与えられる「Prince Clause Award」を受賞したほか、彼女のブランドは人気ファッション雑誌「Vouge」や「Elle」にも取り上げられています。また2016年には日本にも期間限定でショップを出店していました。
Carla Fernándezさいごに
今回は建築、アート、ファッションの業界を舞台に世界で活躍するメキシコ人女性3名をご紹介しました。女性に限らず、世界で活躍するメキシコ人はまだまだたくさんいます。メキシコ人の活躍にも是非、注目してみてください♪
また、1人目で紹介した毎年夏ロンドンで催されるサーペンタイ・パビリオンを今年2019年に担当するのは、なんと日本人!メキシコからも日本からも遠く離れたイギリスはロンドンの地ではありますが、日本人が世界で活躍しているのを知ると、とても嬉しく感じますね。
今後も性別や国籍に関係なく多様な人々が、さまざまな場所で活躍できる世界へと変化が進んでいくことを祈るばかりです。