フリーダ
原題:FRIDA
監督:ジュリー・テイモア
〜あらすじ〜
メキシコ人の母とドイツ人の父の間に生まれたフリーダ・カーロは、自由奔放な少女時代を過ごす。しかし18歳の時、乗っていたバスが路面電車との衝突事故に巻き込まれ、大怪我を負ってしまう。なんとか一命は取り留めたものの、この時の後遺症で子どもを産めなくなってしまった上、激しい痛みと重度の障害が彼女を苦しめた。寝たきり生活となった彼女は、父の勧めで絵を描き始める。絵の才能を開花させた彼女は奇跡的な回復を見せた。やがて彼女は元々の知り合いであった壁画の巨匠であるディエゴ・リベラに教えを乞うようになり、いつしか彼女たちは恋に落ちるのだったが…
〜解説〜
言わずと知れたメキシコの有名な女性画家、フリーダ・カーロの波乱万丈な生涯を描いた作品です。第75回アカデミー賞では、作曲賞とメイクアップ賞の2部門の受賞を果たしました。フリーダ・カーロはメキシコの現代絵画を代表する画家であり、民族芸術の第一人者としても知られています。1904年に両親が建てたフリーダの生家である「青い家」は、フリーダ・カーロ記念館としてメキシコシティにその場を残し、今でも観光客を中心に多くの人が訪れています。
グッド・ハーブ
原題:Las buenas hierbas
監督:マリア・ノバロ
〜あらすじ〜
メキシコ先住民が治療に用いた薬草を研究する民族植物学者の母と、幼い息子を育てながらラジオ局で働くシングルマザーである娘。母娘は互いに干渉しないように生活していたが、ある日、母が認知症と診断されてしまう。すでに母と離婚している父から内緒で養育費の援助を受けている娘と、植物の研究を続けながらもアルツハイマー型認知症と診断されてしまった母。二人の関係にハーブが生み出す物語とは…
〜解説〜
こちらはメキシコ先住民の時代から伝承される薬草療法をテーマに、母と娘の絆を描いた作品。ベルリン国際映画祭やサンダンス映画祭での受賞歴を持ち、主に女性を主人公にした作品を撮り続けてきたマリア・ノパロが監督を務めました。彼女は自身の体験をもとに、自然や先住民の叡智と共生し、しなやかに生きる女性たちの姿を描きました。主演は、映画「フリーダ」にも出演した、社会活動家としても知られるオフェリア・メディーナです。
ローマ
原題:ROMA
監督:アルフォンソ・キュアロン
〜あらすじ〜
舞台は1970年代、メキシコシティ近郊のコロニア・ローマ。家政婦のクレオは、比較的裕福な家で住み込みで働き、忙しくも充実した日々を送っていた。住み込みをしていた家庭は医者として働く夫と、妻、彼らの4人の子どもたち、そして祖母の7人。そんな中、クレオは知人の紹介で出会った青年フェルミンと恋に落ち、妊娠してしまう。一方、一家の大黒柱である夫は、長期出張と嘘をついて家を出て…
〜解説〜
こちらはアルフォンソ・キュアロン監督が、政治的混乱に揺れる1970年代のメキシコを舞台に、とある中産階級の家庭に訪れた激動の1年を家政婦の目線で描いた作品。Netflixのオリジナルヒューマンドラマとして配信されただけでなく、世界各国の劇場でも上映されました。「ゼロ・グラビティ」で知られるアルフォンソ・キュアロン監督が脚本と撮影の両方を手がけ、自身の幼少期の体験を交えながら、家族の愛の物語をモノクロ映像で創り上げました。第91回アカデミー賞では10部門でノミネートされ、外国語映画賞、監督賞、撮影賞を受賞しました。その他にも2018年のベネチア国際映画祭や2019年のゴールデングローブ賞でも賞を受け、世界中の注目を浴びました。
母という名の女
原題:Las hijas de Abril
監督:ミシェル・フランコ
〜あらすじ〜
メキシコのリゾート地バジャルタの海沿いの家に二人きりで暮らす姉妹、姉のクララと妹のバレリア。17歳の妹バレリアは同い年の少年との子どもを身ごもっており、臨月を迎える頃に姉のクララが疎遠になっている母親を電話で呼び寄せる。バレリアの子供は無事に生まれるが、若くしての出産ゆえに子育てがうまくいかず、そんな彼女を母親のアブリルが献身的にサポートする。生まれた女の子はカレンと名付けられるが、カレンの世話をするうちにアブリルの中に様々な独占欲が芽生える。最終的に彼女が起こした、信じられない行動とは…?
〜解説〜
こちらはメキシコ人監督のミシェル・フランコが母と娘の確執を題材に描き、第70回カンヌ国際映画祭の「ある視点部門」で審査員賞に輝いたミステリー作品。「母親」に焦点を当てた映画の常識を根底から覆す、衝撃的な作品となっています。「父の秘密」や「或る終焉」など数々のバッドエンディング映画を世に生み出してきたメキシコの鬼才ミシェル・フランコの作品というだけあって、約100分間の物語の中に観る者を惹きつける不気味さと興奮が散りばめられています。
番外編:ザ・マミー
原題:Vuelven
監督:イッサ・ロペス
〜あらすじ〜
11歳の少女エストレヤは、ギャングに連れ去られた母親を探す旅に出る。やがて、いるはずのない母親の声が聞こえたり、何者かに腕を掴まれて引き摺り込まれそうになったり、奇妙な出来事が起こるようになる。ある日、ギャングの一員であるカコが何者かによって殺害され、エストレヤの耳に再び母親の声が聞こえるようになった…
〜解説〜
この作品は脚本家としても名高いイッサ・ロペスが監督を務めたメキシコ製ホラー。行方不明の母を探す娘を待ち受ける、残酷な運命と恐怖の連続に世界中が震撼し、世界各地の映画祭で多数の賞を得た人気作品です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。どれも女性の葛藤や本性について、考えさせられる作品ばかりです。これらの5本の映画を鑑賞し比較してみると、また違った女性像が見えてくるかもしれません。みなさんも是非お気に入りの1本を見つけてみてください!