レオン・León
日系企業の進出数も多く、今や日本人にとって馴染み深いメキシコの都市のひとつであるグアナファト州「レオン」。そのレオンという街は実は、スペインにも存在します。スペインのレオンは、スペイン北東に位置するカスティーリャ・イ・レオン州(Castilla y León)に位置します。
ちなみに、いわゆるスペインのスペイン語では、Castillaにあるような子音の「ll」は「ジャ・ジュ・ジョ…」ではなく「リャ・リュ・リョ…」に近い発音がされます。
そんなスペインのレオンはとても長い歴史を持ち、その名は古典ラテン語でローマ軍を意味した「レギーオ(Legio)」に由来するとされています。現在のレオンの大元になったのは、910年に建国されたレオン王国だといいます。
一方メキシコのレオンはというと、1576年に当時のメキシコ、ヌエバ・エスパーニャの副王であったマルティン・エンリケス・デ・アルマンサによって命名され、1月26日に「ビジャ・デ・レオン(Villa de León)」レオン村として設置されました。
それぞれの歴史を持つスペインとメキシコのレオンですが、ともにレオンにちなみ、「ライオン」がシンボルになっています。(スペイン語でLeónはライオンという意味を持ちます。)現在では、スペインとメキシコのレオン同士で姉妹都市協定が結ばれています。
サラマンカ・Salamanca
2つ目の都市は、サラマンカ。サラマンカと聞くと、1218年に設立され、ヨーロッパ最古の大学の1つとされている「サラマンカ大学」のあるスペインのサラマンカの方が有名かもしれません。そんなスペインのサラマンカは、1つ目のレオンと同じくカスティーリャ・イ・レオン州に位置します。大学を含む旧市街は、世界遺産にも指定されている素敵な街です。
そんなサラマンカはメキシコのグアナファト州にもあります。1603年1月1日に「ビジャ・デ・サラマンカ(Villa de Salamanca)」サラマンカ村として誕生したこの地は、スペインのサラマンカにちなんで名付けられました。現在のメキシコのサラマンカには、レオンと同様に日系企業が数多く進出しています。特に自動車メーカーのMAZDAが工場を構えているため、自動車に関連する企業を中心に栄えています。
サラゴサ.・Zaragoza
3つ目は、サラゴサです。スペインでは北西部のアラゴン州に州都として位置するサラゴサ。バルセロナから電車で2時間ほどの場所に位置するこの都市は、かつてのアラゴン王国の首都の名残、ヨーロッパ的な建築とイスラム建築の融合を目にすることができます。
そして、メキシコにはその「サラゴサ」を名の一部として持つ街が2つあります。
1つ目は、メキシコ州アティサパン・デ・サラゴサ。もう1つは、プエブラ州のプエブラ・デ・サラゴサです。どちらの都市もサラゴサの部分は省略されることも多いですが、いずれの都市も、ナポレオン軍を撃破したプエブラ会戦を率いた「イグナシオ・サラゴサ(Ignacio Zaragoza)」を称えてその名が付けられています。写真はプエブラ・デ・サラゴサのものです。プエブラ・デ・サラゴサにはコロニアル建築のカラフルな建物が広がる旧市街があり、その街は世界遺産にも登録されています。
またスペインのサラゴサとメキシコのサラゴサは、アティサパンは姉妹都市を、プエブラは友好都市を提携し、交友関係を築いています。
メリダ・Mérida
4つ目の都市は、メリダです。スペインのメリダは、エストゥレマドゥーラ州の州都です。古代ローマの遺跡が残るその街は、スペインのローマと呼ばれることもあります。一方メキシコのメリダは、人気リゾート地カンクンからもほど近いユカタン州に位置します。こちらのメリダも、スペインのメリダと同じく州都に指定されています。メキシコで最も治安が良いと言われ、メキシコ人の選ぶ住みたい街ランキングで1位に選ばれるほどの人気を誇ります。その名前は、スペインのメリダにちなみ付けられています。実はスペインのメリダを由来とし、その名を持つ都市はメキシコの他にもいくつかあります。なかでもベネズエラのメリダは、スペインとメキシコのメリダ同様に州都でもあることから、スペインにはその3都市を記念するモニュメントが建てられています。
まとめ
以上、スペインとメキシコに共通する地名をお伝えしました。独立したとはいえ、やはりスペインの名残はさまざまなところにあるということに気づかされます。メキシコとスペイン両方に存在する地名は今回取り上げた4都市のほかにも存在し、コンポステーラやモンテレイなどが挙げられます。またメキシコのみならず、スペイン語圏の地域やフィリピンなどスペインとの関係が深い場所には、共通する地名などその影響の名残があるようです。そこからは、歴史的な背景などを垣間見ることもでき、面白いですよ♪