第一の変化は、貿易に関する緊張が高まったことで国際的な関係推進の速度が落ちていることである。多くの国が金融制度の条件などの先行きが不透明であり、これによって投資計画が力を失っている。
第二の変化は、メキシコの主な商売相手との国際関係が不確かなことである。これは新しい規則が明確性を欠いているためで、両サイドの経済に打撃を与えている。
そして第三に、政権が変わったことにより経済政策の決定システムや優先順位などに変化が生じていることである。(OECD,2019)
メキシコは国際的に開けた国である。1994年にはたった1つしか自由貿易条約に署名していなかったが、今日では46の国との12の自由貿易協約、33の国との32の投資のための相互的な保護・促進協約、およびラテンアメリカ統合連合(ALADI)の枠組み内での9の経済補完協定(ACE)と部分的到達協定(AAP)などを手にしている。
さらに、メキシコは世界貿易機関(WTO)、アジア太平洋経済協力(APEC)、経済協力開発機構(OECD)、ラテンアメリカ統合連合(ALADI)などの多国間の、あるいは地域的な枠組みや機関に精力的に参加している。
メキシコからの輸出品のうち、1980年代には70%が石油関係の製品であったが、現在は全輸出のうち88%を製造業が占めている。(Coparmex, 2019) 現在、輸出される製品の範囲は小さくなっている。特に輸入部品と、組み立てられて輸出される武器の減少が目立つ。
メキシコの輸出部門はGDPの70%を占める。輸出のうち80%は米国に向かう。この割合は近年一貫傾向にあり、主にカナダ、ドイツ、中国が続く。(WB,2019)
経済局によるとメキシコから米国への輸出品のうち主要10品目は自動車産業と関係がある。ただし、それら品目の中には電気製品も含まれる。(Milenio, 2019)
メキシコの輸出主要品目には以下のような品も含まれる。自動車、原油、液晶テレビ、データ出力機器、出力および入力メモリー機器、トラクター、自動車部品、スマートフォン などの電子機器、医療機器、飛行機の組み立ておよび製造機器、冷蔵庫、トマト、アボカド、テキーラ、サトウキビ、ベリー類。
輸出における強みがあるにも関わらず、専門家はメキシコの商業バランスの減退を予測している。米国がメキシコへ突然関税を課すという脅しをかけたことで、市場へ流れる製品を多様化するさらなる努力が必要となった。
国家統計地理研究所によると、メキシコには400万以上の中小企業が存在していて、国内雇用の72%、雇用全体の42%とGDPの52%を形成している。これらの企業が投入する資源のうち10%が国産で、これらの企業のうちたった9%の企業しか輸出していない。
中小企業にとって、規模を大きくする、新しい市場を開拓する、製品を改良する、オペレーションの増加を確約するなどできる輸出は一つの選択肢である。中小企業の成長や統合は様々な要素に依拠しており、輸出はその最も重要な要素の一つとなっている。
現在、中小企業はバリューチェーンへの参加を増やす、雇用を生み出す、適性で質の高い労働力を雇う(ドイツ式の工業学校のモデルを採用した大学プログラムなどを生かして見出される人材)、といった試練に直面している。メキシコはこの新しい世界交易の時代に、製品やプロセスを刷新しながら農業部門、工業 部門、サービス部門のそれぞれを多様化し始めるべきである。