【密着取材】移民難民保護施設「カフェミン」~移民女性と少年少女の自立に挑む~

治安の悪化による暴力や貧困から逃れるため、中米各国から多くの移民や難民がメキシコやアメリカを目指しています。メキシコシティにある「カフェミン」は祖国から逃げてきた女性や少年少女を受け入れ、自立を促す施設です。今回は移民や難民を人道上の問題からサポートする「カフェミン」の施設とメキシコにおける移民の現状をご紹介します。

治安の悪化による暴力や貧困から逃れるため、ホンジュラスやエルサルバドルなど中米各国から多くの移民や難民がメキシコやアメリカを目指しています。時には移民集団「キャラバン」に加わり、メキシコに到着している。メキシコシティにある「カフェミン」は祖国から逃げてきた女性や少年少女を受け入れ、自立を促す施設です。今回は移民や難民を人道上の問題からサポートする「カフェミン」の施設とメキシコにおける移民の現状をご紹介します。

*カフェミンには「移民」や「難民申請者」、「難民」など様々な法的身分を持った人々が滞在しています。本記事内では、カフェミンに滞在している人々を「移民」と呼称します。

移民女性の成長とエンパワーメントを促す

メキシコシティの一角にある移民の保護と自立を促す施設「カフェミン」。「移民女性の成長とエンパワーメント」という考えのもと移民を受け入れ、滞在中に様々なスキルを学ぶことができるような体制を整えた施設です。カフェミンが保護している移民の多くは、子連れ女性と同伴者のいない10代の少年少女たち。カフェミンは彼らに社会的、精神的側面から今後の人生を生きていくためのサポートを行っています。

カフェミンは①ホスピタリティ②包括的ケア③ローカル統合という3つの仕組みのもと支援を行っています。

一つ目はホスピタリティ。カフェミンの定員は100人。施設内に宿泊所があり、受け入れている移民一人一人にベッドが割り当てられます。様々な国籍の移民がいるため、共同生活するためのルールや掃除などの役割が与えられます。

二つ目は包括的ケア。カフェミンに到着する移民のバックグランドは様々。到着時に身体的・心理的なケアが行われます。また今後の人生計画に着目した支援が行われるます。ワークシップなどを行い、仕事に必要なスキルを学ぶ事ができます。例えばカフェミンに併設されているカフェテリアでは、滞在している移民の女性が働いており、売り上げの一部は原材料費に当てられ、残りはカフェテリアで働く人の報酬や給料として与えられます。この様にカフェミンを去った後でも、ワークシップで学んだこと活かし、自立して生きていくためのトレーニングが行われています。

(写真:カフェミン併設のカフェテリア。手作りケーキやビスケットなどを販売している。)

三つ目はローカル統合。カフェミンで学んだことを活かし、自身の力で生きていくことをサポートすることです。メキシコでの就労や学校への入学をサポートします。カフェミンのワークショップでホテルサービスを学び、現在メキシコシティのホテルで働いているエルサルバドル出身の青年がいます。

Omar Ortega(オマール・オルテガ)さんにインタビュー

カフェミンで働き移民の支援を行うオマールさんに「移民の状況」と「メキシコにおける支援の実態」について伺いました。

現在メキシコシティには4つの移民保護施設があり、お互いに協力して施設を運営しています。メキシコシティは移民にとって「聖域都市(メキシコシティのみ)」として知られているため、メキシコシティの移民保護施設に入ることを希望する移民が多くいます。メキシコシティを通過する移民は、逮捕や拘束、強制送還されることはありません。そのためメキシコシティに滞在している移民の多くは難民保護を求めています。カフェミンはメキシコに滞在できる様に法的な手続きも行っています。

写真:Omar Ortega(オマール・オルテガ) 役職:Coordinador de Integración Local y Enlace institucional(ローカル統合コーディネーター兼施設窓口)

カフェミンには1ヶ月に150~200人の移民が到着します。大半の移民がホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラ出身です。彼らが国を去る理由は様々ですが、マラス(中央アメリカのギャング集団)による暴力や命の危険から逃れてくる人々が多いです。マラスは彼らにみかじめ料を請求し、払わなければ殺します。国に居続けると命の危険があるため、やむを得ず生まれ故郷を去る決意をしなければならない現状があります。

そのため彼らは一人もしくは家族でバスや鉄道などを乗り継いでメキシコやアメリカを目指して北上します。また「キャラバン」となって、大人数で国を移動することもあります。道中はギャングやカルテルに襲われることも多々あり、危険を伴います。たとえ彼らがアメリカとメキシコの国境に辿り着いたとしても、アメリカに入国できるとは限りません。そのため私たちカフェミンの役目は、彼らを支えメキシコでの滞在を助けることです。カフェミンには精神的なダメージを抱え、うつ病を発症したり、自傷行為を行う移民がいます。私たちは彼ら一人一人が抱える問題を理解し、カウンセリングや治療を通して改善を目指しています。また長期的な視点で彼らの将来を考え、彼らが自立して生きていくことが出来るように職業訓練を通してサポートしています。

編集後記

アメリカを目指す中米移民の団体キャラバンの問題については、2018年から2019年の上旬にかけて頻繁にニュースで報道されていたので、印象に残っている方が多くいらっしゃると思います。2019年中旬から現在までニュースで目にすることは少なくなりましたが、未だにキャラバンや中南米から移民難民がアメリカやメキシコを目指して国を移動しています。私たちが出来ることは多くないですが、一人一人がこの問題を知り考えることが重要だと思いました。

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紹介文: Encounterでamigaを運営しています。好きなことは、旅行とサッカー、ビール! 様々なメキシコの魅力を提供していきます!

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