24人の死亡者と70人の負傷者 (5月12日現在)
5月3日の午後10時、首都の南東を走るOlivos駅とTezonco駅の間で起きた地下鉄12番線の車両事故を市内の監視カメラが捉えました。列車は高さ20m近くから落下し、高架線下を通っていた自動車も巻き込まれ下敷きとなりました。世界で最も混雑している地下鉄の1つと呼ばれているメキシコシティ地下鉄、その中でもゴールデンラインと呼ばれる事故が起きた12番線は、毎日550万人以上の人が交通手段として利用しています。メキシコシティ市長のクラウディア・シェインバウム氏は事故現場を訪れ、死亡者23人、負傷者70人以上が搬送されたことを発表しました。その中には、未成年も含まれている可能性を示唆しており、V字型に落下した2車両がその悲惨さを物語っています。
救助隊員がすぐに駆けつけ、救出のため閉ざされた車両のドアをこじ開けましたが、未だ救助は難航しています。
「私の兄はすぐそこに閉じ込められて、押しつぶされています。今すぐに私たちは彼を救出しなければなりません。どなたかどれくらい掛かるのか知りませんか?」
と事故に巻きこまれてしまった被害者の親族が記者に問いかけている場面をBBCニュースは報じました。
事故が発生した場所
建設ミスに疑問の声をあげる市民
事故の責任に関して、現在市民は地下鉄を発足させた当時のメキシコシティ市長、現外相のマルセロ・エブラルド氏を非難し始めています。2012年の10月、建設当時から地下鉄工事の質について市民から疑問の声が寄せられ、開業当初にも様々な操業ミスをきっかけに、わずか1年半で一部の路線が閉鎖されています。
また当初の建設工事の診断を行った会社によると、設計ミスが原因で線路を支える高架線に過大な負荷が掛かっていたため、高架線自体が時期尚早に劣化していたとのことです。その為当時から構造の一部の修正と数千個の部品の交換が必要であると指摘していました。加えて地震が起きた2017年、当時のメキシコシティメトロ代表のホエル・オルテガ氏も次のように発言しています。
「この路線はその生涯で決して解決されることのない問題を抱えて生まれた。そのため、この路線は永続的な整備が必要となる」
また今回崩壊した高架線近辺に住む市民は、2017年に地震が発生した後、建物に数々の亀裂が入ったことから、「いつかインフラが崩れるのではないか」と恐れていたと述べています。
現在ツイッターで批判の声が多数寄せられている前メキシコシティ市長のマルセロ・エブラルド氏は、今回の事故に関して次のように自身のアカウントでツイートしています。
「今日地下鉄で起こったことは悲劇です。無論、事故の原因について調査し、責任を明確にする必要があります。当局ができることは全面的に協力し、事故原因究明に全力を尽くします」
参考文献<br>