直径110メートルの巨大な穴の出現*6月10日時点
2021年5月29日、メキシコ中部にあるプエブラ州、サンタ・マリア・サカテペックで巨大なシンクホールが出現しました。このシンクホールと呼ばれる穴は、出現当初は直径8メートル、深さ20メートルだったものも、のちに10メートル、60メートルと拡大していき、現在は深さ20メートル、直径110メートルまでに増大しています。NY Post紙の調査によるとシンクホールの中には地下水が溜まっており、中でその水が波を作りうごめている状況です。今回のこの事件で被害者はでておらず、農園の真ん中に突如出現したシルクホールの様子がCNNニュースで報道されています。一方でシンクホールが発生した場所のすぐ近くに引っ越してきたばかりの家族は、苦労して家を建てたにも関わらず災害が起きてしまい途方にくれているとIndian Express のインタビューで述べています。
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参照リンク:CNN<br>
突如出現したシンクホールの原因とは
今回起きたシンクホールは、実は過去に中国やアメリカなどの国々でも多くみられてきた現象です。アメリカ地質調査書(USGS)によると多くの場合、地面が陸表面を支えきれなくなった時に起きる現象だと言われています。具体的には地下水の循環サイクルが地面下の石を溶かすことで地面がバランスを崩しシンクホールを発生させます。つまり、シンクホールの要因の90%は「水」にあります。
シンクホールが発生した過去の場所には「水」という共通点が存在します。例えばサンタ・マリア・サカテペックで今回シンクホールが発生したのは耕作が行われていた土地でした。農業が行われる場所は元々貯水池や池などといった土地で行われることが一般的な為、地盤である下層土が弱体化していた可能性があります。耕作で使う水を地下水から抽出することで、それまでより地下水の水圧が下がり、その影響で今まで支えていた石の数々が地面を支えきれなくなり崩壊するというのがシンクホール発生のロジックになります。
身近に迫るシンクホールの危険性
2020年8月24日 中国 四川省宜賓市で起きた事件
シンクホールが起きる場所は、必ずしも耕作が行われている農園や農業といった土地だけではありません。シンクホールは普段私たちが暮らす場所でも起こりうる災害なのです。
2020年8月24日に中国の四川省宜賓市では、停めてあった車や樹木などが突如出現したシンクホールに飲み込まれるといった惨事が起こりました。この発生現場は多くの人が行きかうショッピングモールの前だったため、そこに住む市民にとって衝撃的な出来事でした。この事件の原因は降り続いた豪雨による地下水の水循環の変化にあるのではないかとエキサイトニュースで述べられています。
また、豪雨などによる自然災害だけでなく道路工事などの人工的な行動によってもシンクホールは引き起こされます。例えばイギリスでは水道設備の故障により水が地下水に侵入してしまい、水圧の乱れによって引き起こされたというケースがあります。
このように土壌の乱れや地下水の勾配の変化により、シンクホールは普段我々が生活する範囲でも十分発生しうることなのです。
参照リンク:エキサイトニュース<br>
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シンクホール発生を見分ける方法
では、「事前に発生する可能性がある現場に住むことを避けることはできないのか」
と思われる方も多いのではないでしょうか。
実は、シンクホールが発生する可能性が高い現場にはサインがあり、通常シンクホールは特定の地域や地形に集中する傾向があります。ヒントとなるサインは道路に窪みがある箇所や亀裂が入っている場所は発生する可能性が高いと30年間シンクホールについて研究している地盤工学の専門家ドクターエドモンズ氏は述べています。更に、シンクホールが繰り返し発生している地域は更なるシンクホールが発生する可能性が高いため住宅や土地の購入を検討する際に十分に考慮するとよいでしょう。
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まとめ
今回は先日メキシコで発生したシンクホール災害の概要とその原因について解説致しました。今後もメキシコ生活に役立つ情報をお届け致します!