メキシコシティ中心部にたたずむ郵政宮殿
ソカロに近い、メキシコシティ中心部にある郵便局、El Palacio Postal (郵政宮殿)。メキシコシティに現存する建築の宝庫とも呼ばれるこの郵便局は、時代背景とその当時の流行の建築方法が反映された建築物であり、1987年には「国の芸術的記念建築物」に選定されました。こちらの郵便局は、毎年何千人もの人が訪れています。
建物内部には郵便局だけでなく、郵便文化を知ることのできる常設展示から歴史的な資料を展示した博物館、1580年から1900年までの8,500冊の蔵書と240点の歴史資料を有した図書館なども併設されています。
以下が詳細住所と入館可能な時間になります。
【住所】
Tacuba 1, esquina con Eje Central Lázaro Cárdenas, Col. Centro (Área 1), C.P. 6000, México, Ciudad de México
【時間帯】
月曜日~金曜日 8時~20時
土曜日 9時~15時
日曜日 休館
参照
今回はこちらの郵便局にお邪魔し、その内部の様子を歴史とともにご紹介していきたいと思います。
時代背景が反映された美しき郵便局
この郵政宮殿が設立された背景は2つあります。
まず一つ目は、1876年から1911年の間大統領であったポルフィリオ・ディアス氏がフランスで当時起こっていた芸術運動に魅了され、このパラシオ・ポスタルにプラテレクス様式とエリザベス朝様式を取り入れたそうです。
二つ目は、当時の時代背景にあります。19世紀末から20世紀末初頭に掛けて手紙によるコミュニケーションが増え、それに伴い郵便局も十分なスペースを確保し配達する必要性が出てきました。その郵便業務の新たなニーズに応えるために新しいスペースが必要だと考えたポルフィリオ・ディアス大統領は、「機能的」かつ「近代的で美しい」建築建設依頼をメキシコのエンジニア、ゴンサロ・ガリタ・イ・フロンテラとイタリアの建築家アダモ・ボアリに命令しました。1902年9月に着工されたこの建物は、その建設の為に、300万ペソと5年間の建設期間を費やしたと言われています。建物には機能性をアピールする為に、電気が通っておらず、室内が暗いという問題を解決する為に、当時では珍しかったムーア風のモニュメントドームを取り入れることで中庭に光を通していました。
ここに注目!建物内部に隠された二人の建築家の拘り
ヴェネツィアのドージェ宮殿を彷彿させるこの建物は、様々な様式が取り入れられ折衷的なスタイルが特徴的です。建物には国内外の材料が用いられ、メキシコ産のポルトロ大理石から石膏で加工された琥珀色の柱、フィレンツェのフォンデリア・デル・ピニョーネ社製のブロンズ製鉄工など、当時の最先端が取り入れられています。建築だけでなくインテリアや装飾にまで拘り抜かれたパラシオ・ポスタルは、大理石で埋め尽くされた階段やガーゴイル、ポーチなどの細部にまで二人の建築家の拘りが現れています。
また装飾だけでなく、インテリアも注目すべきポイントで、エントランス上部に立てかけられているドイツ製、ラペルラ社の高価な時計などお宝が多く隠されています。更に建物中心部には、メキシコシティで一番最初に設置されたエレベーター3台のうち、1台が設置されており、いまだに使用可能なそのエレベーターはタイムスリップさせてくれるような雰囲気を醸し出しています。
また今でもこちらの扉の下のポストが郵便受けとなっており、内部に繋がっています。
まとめ
今回は、メキシコシティ中心部にあるパラシオ・ポスタルを取材しました。
郵便物や手紙を出す際は、是非こちらの風情ある郵便局に立ち寄ってみて下さい!
きっと建築とその雰囲気に魅せられるはずです。
参照①
参照②