メキシコの最低賃金

メキシコの国家最低賃金委員会(CONASAMI)は、2021年1月1日付けで、最低賃金を1日あたり前年度の123.22ペソ(6.20ドル）から141.7ペソ(7.13ドル）に引き上げを定めました。これは前年度と比較すると15%の引き上げで、労働者にとって非常に重要なニュースでした。2019年から進められてきた最低賃金の引き上げについてメキシコのロペス・オブラドール大統領は記者会見で、「1年目は16％、2年目は20％、そして今回は15％を引き上げというように、2年間にわたって国民との合意の上で増額を実現してきた」と述べました。

また国家最低賃金委員会は、2021年度の引き上げによりメキシコの最低賃金は135カ国中76位となり、以前から8つ順位を上げたことを発表しました。更にメキシコ連邦政府は賃金の高い上位60か国に入ることを目標に計画を立てているとのことです。

https://mexico.as.com/mexico/2021/01/09/actualidad/1610159097_265454.html

また、ロペス・オブラドール大統領によりアメリカ国境付近のエリアでは「国境最低賃金」が定められています。これは、アメリカとの賃金差によってアメリカへの労働者流入を防ぐために、設けられたものです。この北部国境ラインの地域は前年度の185.56ペソから213.19ペソに引き上げられました。

世界の最低賃金

日本を含む38か国が加盟している経済協力開発機構（OECD）の2020年版の発表によると、メキシコの最低賃金（時給）は、38か国中、32番目。他の中南米諸国である、ブラジルが31番目、チリが29番目、コロンビア28番目という順番になっています。

一方でSTATISTAという中南米の統計会社の調べによると、中南米ではチリの最低賃金が最も高く、月額441ドルとなっています。またチリ以外にも比較的高いレベルの最低所得を保障している国としては、ウルグアイが月額423ドル、エクアドルが月額400ドルであることも発表しています。メキシコの月額最低賃金215ドルが他国と比較すると低い位置付けであることが分かります。

一方で、政治経済危機に陥っているベネズエラは他国の近隣地域との極端な差が目立ちます。ベネズエラの月額最低賃金は、米国ドルで1ドル以下であることが報道されました。

ちなみに日本の最低賃金はアジアでは最も高額ながら、先進国の中だと上位から14番目といった結果になっています。

https://www.digima-japan.com/knowhow/world/8314.php

https://es.statista.com/grafico/16576/ajuste-de-los-salarios-minimos-en-latinoamerica/

＊全て米ドルで表示しています。

職種別最低賃金の比較　

今年も大幅な引き上げがあったメキシコの最低賃金ですが、職種別に見るとどうでしょうか。今回は、専門的な職種からウェイターまで比べてみましょう！

https://idconline.mx/laboral/2020/01/07/salarios-minimos-generales-y-profesionales-2020

専門職の最低賃金

家具製造、大工、ブルドーザーなどの建設機械オペレーター、薬局でのアシスタント、レンガ職人の日給は北部国境ラインだと、185.56ペソ、その他の地域だと125.64ペソから148.90ペソが平均的な最低賃金となっています。特に建設機械などの特定の免許が必要になるものほど、賃金が高い傾向にあります。

気になるウェイターから左官職人まで時給

ウェイターやレストランの調理人、モノの製造から修理、左官職人、靴などの工房職人などの仕事は、北部国境ラインは185.56ペソ、それ以外地域ですと129.18ペソから149.34ペソです。中でもウェイターやシェフの時給が他の職業より高い印象です。

メキシコにおける高日給職業

次に比較的高時給である職業は以下になります。

・日刊紙メディア記者・フォトグラファー　275.90ペソ

・IT技術者　158.71ペソ

・自動車・トラックメカ二シャン　146.80ペソ

・秘書アシスタント　146.50ペソ

上記のような特定の技術が必要となる職種がメキシコ国内で高時給とされています。

特に、メキシコでもITやメカニックエンジニアは賃金が上昇している職業の一つです。

最後に

今回は2021年版メキシコの最低賃金などの給与事情をご紹介しました。メキシコはブラジルに次ぐ中南米第2位の大国との呼び声が高いにも関わらず、ラテンアメリカの中でも低い最低賃金の国に位置づけられていることが分かりました。しかし、2050年には日本のGDPを抜くとも言われていて、メキシコの今後の成長に注目です！