カンクンでの移動が便利に?壮大な高速鉄道計画。マヤ鉄道(トレン・マヤ)とは!?

メキシコのリゾート地カンクンが位置するユカタン半島に高速鉄道を作るプロジェクトが進められていることを知っていましたか? 近年人気のトゥルムを始めとしたカンクン近郊の町やマヤ文明の遺跡へのアクセスも簡単で速くなるので、カンクンに旅行をされる予定のある方にも朗報なのです! 2018年に本格的開始されてこのプロジェクトの気になる進捗状況を含めマヤ鉄道について解説していきます!

マヤ鉄道プロジェクトとは?

メキシコの現大統領ロペス・オブラドールの政権の選挙公約であり、これまでなかなか実現されなかったユカタン半島での高速鉄道の建設を実現させるべく2018年12月に本格的に開始されたプロジェクトです。

この鉄道では地元の人々、観光客、貨物輸送を行う予定です。

人気の都市や遺跡を鉄道で結び、その地域の観光経済を活用することにより現在カンクン、リビエラ・マヤ地域に集中してしまっている旅行者を内陸部のコロニアル都市やマヤの村、遺跡などに呼び込むことで、ユカタン地方の観光と経済の発展を目指しています。

観光業に地域差があるのには様々な要因がありますが、そのうちの1つが交通インフラが整っていないことにありました。タバスコ、カンペチェ、チアパス、ユカタン、キンタナローの5つの州では730万人の人々が貧困に苦しんでおり、これらの州に住む人々からの期待も高まっています。

計画通りに進めば、2023年からマヤ鉄道でユカタン半島を移動できるようになります。メキシコ政府は年間300万人以上の観光客、1日あたり約8,000人の乗客を輸送すると見込んでいます。

今までなかなか実現できなかったこともあって完成が遅れることを心配する声もあるようですが、現地ニュースの報道によるとすでに線路の敷かれる高速道路での作業が始まっている区間もあり、その他の区間でも物理探査を中心に計画が進められているそうです。

マヤ鉄道でどこに行けるの?

出典 - https://www.gob.mx/inafed/documentos/folleto-curso-virtual-tren-maya-planeacion-territorial-y-urbana-en-el-sureste

この鉄道の総走行距離は約1,500kmになり、メキシコ南東部のチアパス州、タバスコ州、カンペチェ州、ユカタン州、カンクンのあるキンタナ・ロー州の5つの州を通過します。この区間に19の新駅、12の停留所が設置され主要な観光地から農村まで、ユカタン半島の主要地域を結ぶことになり、カンクンと並んで人気のプラヤ・デル・カルメンやトゥルムの町、世界遺産に登録されているチチェン・イッツァを始めとしたマヤ文明の主要遺跡も経由されます。

カンクンでは空港に乗り入れる計画になっているようです。

空港への乗り入れが実現すれば、各地へのアクセスが便利になるので、今までなかなか行くことができなかった様々な遺跡にも行きたいなとワクワクします!

気になるお値段は?

出典 - https://eltiempomonclova.mx/noticia/2021/sobrevuela-amlo-obras-de-tren-maya.html

マヤ鉄道の観光用の車両には食堂車もあり、この地域で人気のメキシコ人シェフ達がトレン・マヤが通過する州の伝統的な料理を作り美食体験を提供します。別の車両は長期滞在の乗客のために特別に設計されていて、完全なキャビンとプライベートシャワーが付いています。

そしてこの2つの車両とは別に、地元民の移動手段のための車両があります。

カンクンから隣町のプラヤ・デル・カルメンまでの区間で地元民用の料金が片道50ペソ程度(約250円)になるとされていますが、食事などの追加サービスのある観光客用の料金は、同じ区間で800〜1000ペソ程度(約4,000円~5,000円)になると言われています。

節約しつつ便利に移動したい観光客もサービスの付かない地元民用の車両を使えるようになるのか、それとも完全に区別されるのかか気になるところですが、まだそのあたりの詳細情報は発表されていないようです。

この計画が地元の人たちにもたらすベネフィットは?

環境保護や地元の住民の権利を保護する団体などから批判的な声もあったとされているこの計画ですが、2018年12月に約92万人に対し行った意識調査によると約89%が賛成しました。

また、マヤ鉄道側も「住民の権利を損なうことなく土地を守り、社会的平等を実現し地域のニーズに応え、すべての人に利益をもたらす条件を保証することができこの地域の片隅で暮らしてきたコミュニティに幸福をもたらすプロジェクトである」と表明しています。

賛成が大多数となった背景には観光業の発展による経済の活性化や多くの雇用創出への期待が高まっているという事にあります。

マヤ鉄道の車両はほとんどが国内で製造・組み立てられるので、建設に伴い工事期間中に約50万人の雇用が創出されます。

またその後も鉄道の運行によって多様な雇用機会をもたらします。

ウーマンエンパワーメントにも尽力

マヤ鉄道は先住民族との協議プロセスを含むプロジェクトのすべての段階で女性の参加を奨励することにより、「メキシコ市民としての権利を行使する先住民女性のエンパワーメントのためのツールを提供し、より大きな男女平等を実現するための適切な条件を提供します。」と表明しています。(公式ウェブサイトから引用)

また女性のコミュニティへの参加を強化し、自分たちでグループを組織し、コミュニティで声を上げるためのリーダーシップトレーニングプログラムが実施されます。

そして高速な交通機関を利用できるようになれば女性は移動時間を短縮でき生活や仕事の選選択肢も増え、また安全な交通機関があることで、女性に対する暴力を減らすことができます。

世界中で男女平等やウーマンエンパワーメントのための取り組みが増えている今日ですが、まだまだ遅れてしまっているメキシコ。

残念なことにここ数年フェミサイド(女性や少女を標的とした殺人)も急増しており大規模な抗議活動が繰り返し行われているにも関わらず年々その件数が増加してしまっています。

そんな中この大きなプロジェクトでこのような取り組みがあることはメキシコにとって、メキシコに住む女性にとって、すごく大きな一歩になるのではないでしょうか。

私自身もマヤ鉄道がウーマンエンパワーメントを表明していることを知り感銘を受けました。

まとめ

地元の人にとっても、観光客にとっても様々な恩恵をもたらしてくれることになるであろうマヤ鉄道、2023年までまだ少し時間はありますが完成がとても楽しみです。

皆さんもこの記事を読んでユカタン半島でのアクティビティの選択肢が以前より広がることを楽しみにしていただけたのではないでしょうか?

でも、最後にお伝えしておきたいことがあります!鉄道が開通するとさらに便利にはなりますが今現在も他の町へ行けるバスもありますし様々な旅行会社が遺跡へのツアーも行っています。なので今すぐカンクンやユカタン半島を旅行したい!という方も心配しないでくださいね!

(Written by 田村咲子)

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