【メキシコシティ 新空港開業】アクセスや運航便、今後の課題などを徹底解説

2022年3月21日メキシコに新空港フェリペ・アンヘレス国際空港が開業しました。現政権の4大インフラプロジェクトの中で初めて建設が完了したプロジェクトです。 新空港の場所やアクセスなどの基本情報から新空港の開業に至った背景、メキシコに在住する日本人が今後知っておくべき情報をお届けします!

基本情報

出典 - https://www.elsoldemexico.com.mx/finanzas/aifa-aeropuerto-de-santa-lucia-abrira-con-cuatro-accesos-para-pasajeros-y-trabajadores-7997129.html

新空港の名称はフェリペ・アンヘレス国際空港(Aeropuerto Internacional Felipe Ángeles)通称AIFAです。空港コードはNLUと表されます(メキシコシティ国際空港はMEX)。

メキシコ州のスンパンゴにあります。サンタルシア空軍基地を拡張して建設されました。

新空港はメキシコシティの中心地から約50キロ離れた場所にあり、車では2時間近くかかると言われています。メキシコシティ国際空港はメキシコシティ内にあり中心部からも6.5キロしか離れていないため新空港はメキシコシティ中心地からのアクセスでは劣ります。

現在新空港へのアクセスは乗用車かバスが一般的です。政府は道路の拡張工事を行うなどして渋滞の解消・アクセスの改善に努めています。ケレタロ、プエブラ、パチューカなどの周辺都市からは高速バスも運行しています。

メキシコシティからは路線バスのメキシブス(Mexibús)で新空港まで行くことができます。メキシブスの1号線がオホ・デ・アグア(Ojo De Agua)駅から新空港駅まで延伸しました。

またメキシコシティの様々なバスターミナルやバス乗り場から新空港への直行バスが出ています。TAPO(東部バスターミナル)などの各バスターミナルやメキシコシティ国際空港から新空港への運賃は125ペソ、一番遠いペリスール発は150ペソとなっています。

出典 - https://www.gob.mx/presidencia/prensa/aifa-alista-red-de-conexiones-y-rutas-de-acceso

さらにメキシコシティとメキシコ州を結ぶ列車トレン・スブルバノ(Tren suburbano)も今後は新空港まで路線を延伸していく予定です。

メキシコシティのブエナビスタから始まる列車トレン・スブルバノは現在レチェリア駅から新空港まで路線延伸工事を行っています。完成は2023年下半期を予定していますが、完成後はブエナビスタ(Buenavista)駅から新空港駅まで39分で移動できるようになると言われています。

2022年4月時点で新空港で運航しているのはアエロメヒコ航空、格安航空会社LCCのボラリスとビバアエロブス、ベネズエラのコンビアサの4社です。

国際線はベネズエラのカラカス行きのみ、国内線はメリダ、ビジャエルモサ、カンクン、ティファナ、グアダラハラ、モンテレイ行きがあります。

今後はデルタ航空、コパ航空が参入しアメリカ行きも運航する予定です。カタール航空も新空港での運航を交渉しているようです。

3月21日の開港式時点では空港内の商業施設は空き店舗が多くオープンしている店舗は僅かでした。スターバックスコーヒー、クリスピークリームドーナツ、本屋、コンビニなどはオープンしている模様です。

開業の背景

出典 - https://www.gob.mx/aifa/articulos/proyecto-198120

まず新空港が必要になった背景はメキシコシティにあるベニート・フアレス・メキシコシティ国際空港(通称AICM)に原因があります。現在メキシコシティ国際空港は乗客数、航空便数で見るとメキシコ国内とラテンアメリカの空港で最も混雑する空港です。2021年には3600万人、コロナ禍前の2019年には5000万人以上の乗客が利用しました。航空会社や運航する路線も多くラテンアメリカで最も接続のいいハブ空港です。

しかしこの空港の稼働能力はすでに限界を超えており、今後も需要は増えると予想されています。特に運航便数が多いため離着陸のために飛行機の渋滞がおき、出発時刻・到着時刻の遅れの原因になっています。

第2ターミナルまで建設されましたが、大都市メキシコシティでこれ以上空港を拡大することは困難でありこの飽和状態を解消するため、新空港の建設が必要になりました。

2014年ペニャ・ニエト前大統領はメキシコシティ国際空港の飽和状態を解消し、サービス

を移転するために新・メキシコシティ空港を建設すると発表しました。6本の滑走路をもつ巨大ハブ空港をメキシコ州テスココに建設し半分以上の工事が完了していました。

しかし2018年ロペス・オブラドール現大統領は国民から新空港建設を中止する意見公募の結果を受けてテスココでの新空港の建設を中止し、現メキシコシティ国際空港の利用継続とサンタルシア空軍基地を拡張し新空港を建設すると発表しました。

建設中だったテスココの新空港を中断し、メキシコシティからさらに遠い場所にゼロから新しい空港を建設をすることへの批判、首都圏からの利便性や空軍基地を拡張して作ることへの安全性の観点からの反対意見、建設を進めていくうちに現場からマンモスの骨が大量に出土するなど困難もありましたが、2022年3月21日に開港式が行われロペス・オブラドール大統領や大富豪のカルロス・スリム氏などメキシコ経済界の著名人が出席しました。

まだまだ課題がたくさん

出典 - https://politica.expansion.mx/mexico/2022/03/16/%20precios-rutas-para-llegar-aifa-santa-lucia

3月21日の開港式でロペス・オブラドール大統領は「100%完成した」と演説しましたが、まだ未完成だと思われる箇所もありました。

開港日には、空港内の一部のトイレや入口等の施設が完成していないなどの問題がありました。

またメキシコシティから50km離れた場所にあるためアクセスの改善が急がれています。

メキシブスの路線延伸には間に合ったものの、トレン・スブルバノは空港の開業には間に合いませんでした。

またメキシコシティ国際空港とも45km離れているため、これから国際線の就航が開始した際に、乗り継ぎが新空港内でできるのか、またメキシコシティ国際空港まで移動が必要になる場合より速い交通機関ができるのかなど疑問が残ります。

より多くの航空会社への誘致も必須です。今の新空港から就航している行先はメキシコシティ国際空港からも行くことができ、わざわざ首都圏から遠い新空港まで移動して利用する乗客は少ないと思われます。

新空港の利用客が増えない限り本来の目的であるメキシコシティ国際空港の飽和状態を緩和することは不可能でしょう。利用できる航空会社や就航都市が増えない限り利用客も増えず、結果的に問題解決にはまだまだ時間がかかることが予想されます。

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まとめ

今回は新しく開業したばかりのフェリペ・アンヘレス国際空港についてお伝えしました。アクセスの改善や発着便の増加などまだまだ改善点はありますが、この空港が発展することによってメキシコシティ国際空港の混雑の緩和が期待されます。今のところ日本行きの便が就航する予定はないですが、今後アメリカ行きが就航したらメキシコ在住の日本人の方も利用する機会があるかもしれませんね。また今後のメキシコシティ国際空港との棲み分けにも注目です。

Amigaではこれからもメキシコのニュースを発信していきます!

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