【メキシコ経済の今後は?】
メキシコ政府、そしてメキシコの主要な経済調査機関によると、共通して「このインフレはコロナパンデミックからの回復にはまだ到達していないメキシコ経済において更に追い打ちをかけるような悪条件だ」との見方をしています。
メキシコ経済は実質四半期で0.9%、年間で1.6%の成長水準で、2022年の第1四半期でも、メキシコではまだパンデミック前のレベルに戻っておらず、経済規模は2016年のレベルで物価上昇率が昨年の7.8%と厳しい状況にあることは否めません。
コロナパンデミックが始まった2020年にGDPの8.2%が低下し、収束を迎えた2022年当初、メキシコ政府は迅速な回復を期待していました。しかし、国際的にみても予想に反して時間がかかっているようです。
ロヘリオ・ラミレス財務長官は、メキシコ経済は「理想的な状況ではない」と発表しました。「2020年の急激な落ち込みと、回復段階でのGDPの落ち込みに最も早く対応する業界のサプライチェーンの欠如により、パンデミック前のレベルに到達することは困難でした。 」とBBVA会議(メキシコ・バンコメール銀行のカンファレンス)で述べています。また、最近のcovid-19症例の再増加に伴い、当局は「パンデミックは依然として問題を引き起こしている」と付け加えました。
メキシコ経済の今後の展望については、2022年は現在の輸出業績の好調から1.8%の成長率で終えると見られています。2020年からのコロナパンデミックでは経済成長率は8.5%下落したと言われていますので、今後の行方には期待が出来そうです。
【円安ペソ高】
メキシコ経済について語るうえで、物価上昇と同様に在住日本人の関心は円安ではないでしょうか?対ドルで語られることの多いこの円安ですが、もちろん対メキシコペソでも影響が出ています。
2022年7月2週目現在のレートは1メキシコペソ=6.74円となっています。
これは、実に約5年振りのペソ高で、2020年4月にコロナ禍の影響で記録した最安値4.87円から比べると約2円近い上昇となります。
ただ、この円に対するペソ高は前述にもあるようにメキシコ経済がコロナパンデミックの痛手からまだ抜け出せていないことや、急激な物価上昇率への懸念もあることから、メキシコ経済に期待して起こっているというよりも、アメリカ経済や金融政策の影響を強く受けるメキシコと、それとは逆を行く形になっている影響で対全通貨で円売り傾向に動いている結果とみられています。
つまり、メキシコペソが強くなったというよりは円が弱くなっているということのようです。
実際にドルに対しての円安は実に24年ぶり!それと比較すると5年ぶりのペソ高とはいえ、未だペソに対しては円は強いという印象があります。
2008年時点の1メキシコペソ=10円という今では想像できない時代から、世界金融危機を経て下がり続けたペソが再びその数字に近づくのは夢の話ではないのかもしれません。
【円安の影響は?】
円安ペソ高が日本人の生活に及ぼす影響はどうでしょうか?
筆者のリサーチによると、日本円で収入を得ているか、メキシコペソで収入を得ているかによって感じ方は様々なようです。メキシコに在住する日本人にとって円安ペソ高の影響は「日本に渡航する」際に考慮されるかもしれません。 2022年1月には$1000ペソは約5500円でしたが、6月の時点で$1000ペソは約6700円と半年で実に1200円の差になっています。
2022年6月から燃油サーチャージが高騰しました。燃料サーチャージは原油と為替の影響を強くうけるので今回の円安によって航空券も上昇しました。
JALの燃油サーチャージの推移を見てみると、2022年1月には11600円でしたが、7月には36800円まで上がり、9月までに47000円になる見込みです。その影響で、日本からメキシコまでの航空券は以前は約150000円〜200000円でしたが、現在は約200000〜250000円まで上昇しました。航空券にはこの燃料サーチャージが含まれるので必然的に航空券の価格が上がるのは避けられないようです。
また、メキシコ在住の日本人にとって影響があるのも「ペソ高」よりも「ドル高」ではないでしょうか?
メキシコで手に入る日本食材のほとんどがアメリカからの輸入でドルの価値が対円、対ペソに関わらず高くなるということはメキシコで手に入る日本食材の価格も高くなります。
日本食材を購入する際や日本食レストランでの食事は今後もこの為替の影響が強く現れるので注目してみてください。
【日本からメキシコへの渡航は?】
世界各地のコロナ規制も大幅に緩和され、また世界中を人々が旅行するようになってきています。
ペソに対して円が安くなり、メキシコ全土の物価が上昇しているとはいえ、日本からメキシコを訪れる点でいえばまだまだメキシコは物価の安い魅力的な国というイメージは引き続き持てるといえます。
特に対ドル、対ユーロではかなりの円安に加え、欧米諸国の異常な物価上昇をみると、日本から欧米へ行くよりはメキシコに来る方が魅力的ではないでしょうか?
【まとめ】
いかがでしょうか? 物価上昇と円安によって私達が抱いていた「メキシコは物価が安い」という印象は少し変わって見えるかもしれません。しかしながら、経済成長と物価上昇は比例すると言われている通り、この10年間をみるとメキシコでの生活は驚く程に快適になりました。今後も段階的に物価上昇は続くと言われていますが、それと同時に経済成長を進めるメキシコは私達日本人にとっても更に魅力的な国になっていくでしょう。まだまだ伸びしろが沢山あるメキシコから今後も目が話せません!
今後もamigaではメキシコ経済の動向をレポートしていきます。お楽しみください。