ケレタロ補習授業校設立
ケレタロ州に進出する日系企業の数は近年増加傾向にあり、2018年には100社を超えました。これに伴い在ケレタロ邦人数は急増し、日本人コミュニティに対しての教育機会提供の必要性が高まったことで、2017年末にはケレタロ補習授業校設立準備委員会が発足されました。開校まで約1年半というとても限られた期間の中でしたが、日系企業が協力しながら準備を進めてきたことで、晴れてケレタロ補習授業校が開校の日を迎えた2019年4月6日、私たちamigaは開校式に潜入取材を敢行しましたのでその様子をお伝えします!
ワクワクとドキドキの開校式直前
当日は小学部・中学部合わせて、62名の生徒とその保護者が参加し、ケレタロインターナショナルスクールで開校式が行われました。
開校式1時間前、各教室をのぞくと、子ども達の期待に満ち溢れた姿や隣の席の子と楽しそうに話している姿、また少し不安そうに両親を見つめる姿など、子ども達がそれぞれ新しい門出にワクワクドキドキしているのを感じました。開校式の参列及び、授業参観のために来ていらした保護者の方々も、子ども達の成長を感じると共に子ども達と同じように大きな期待と少しの不安が入り混じった、そんな表情を浮かべられていました。
オリジナリティ満載の開校式
プログラム
一、開式の言葉
一、国歌斉唱
一、理事長式辞
一、来賓紹介
一、テープカット
一、エストゥディアンティーナ演奏
一、閉式の言葉
開校式は終始、日本語とスペイン語の2言語で進行され、「君が代」だけでなく、メキシコの国歌も斉唱されるなど、日本人とメキシコ人の双方に配慮が施された式典でした。
式にはメキシコ州政府や、在レオン日本国総領事館、ケレタロインターナショナルスクールの関係者などが多方面から来賓として駆けつけられ、開校に際して生徒・保護者・関係者の方々へお祝いの言葉を述べられました。
ケレタロ州政府からは「日本とケレタロは固い絆に結ばれており、私たちの絆は今後更に深まっていくでしょう」と、在レオン日本国総領事伯耆田様からは、「補習校の開校はゴールではなく、あくまでスタート。将来更に人数が増えれば日本人学校を開校することもあり得る。」というお言葉が述べられました。
日本・ケレタロ州政府・ケレタロ地域代表・日本企業にはすでに強い信頼関係があり、今後この補習授業校を起点として、ケレタロにメキシコ人と日本人が本当の意味で共存した土地が築かれていく様子が目に浮かびました!
ついに式は後半にさしかかり、テープカットの瞬間を迎えました!
テープカットが行われると、会場から自然と拍手が巻き起こりました。そんな最中、体育館入口からメキシコ伝統楽団エストゥディアンティーナが登場し、華やかで心踊る音楽が奏でられました!彼らの登場により、会場は私達日本人がよく知る式典の厳かな雰囲気から、一気にメキシコらしい楽しい雰囲気に変化しました。ラテンのノリを備えた音楽が流れ込むと、会場は温かい拍手と優しい笑顔に包まれ、私達が今、メキシコにいるということを再確認させてくれました!
そして式終了後には、今回参列された来賓の方々にインタビューをさせて頂きました!
在レオン日本国総領事 伯耆田様
ーケレタロ補習授業校が本日晴れて開校されましたが、領事館として今後はどのように学校関わってていけたらとお考えですか?ー
外務省が補習授業校として認定をした場合、その学校は設立と同時に様々な財政援助を受けることができるわけです。
例えば、校舎を借りるための費用の50%、現地採用の先生のお給料の50%、また警備が必要な場合は、規模によりますが約90%の財政援助をすることができることから、財政援助というかたちで、今後とも領事館とケレタロ補習授業校は継続的に繋がりを持っていくつもりです。
また、私共は世界中の補習校とのコネクションもあり、世界中の事例も知っているので、そのような知識や経験を生かして可能な限り支援を行なっていきたいと考えております。
ーメキシコは、まだまだネガティブなイメージを持たれてしまうことが多いですが、今後メキシコに来られる、またその可能性がある方に向けて、日本国総領事として伯耆田様から何かメッセージを頂けるでしょうか?ー
メキシコには世界一美しい海と謳われるカリブ海もありますし、文化的にも歴史的にも、とてもみる価値のある国です。また、メキシコ人はとても家族や友人を大事にし、一度受けた恩をとても大切にする国民です。私は3度目のメキシコになりますが、メキシコが大好きですし、とても過ごしやすいと思っています。
殺人事件の件数はたしかに多いですが、それはあくまで麻薬カルテルやマフィア同士のものであり、日本人をターゲットにしたものではありません。ある程度の行動規範を守れば、問題なく快適に過ごせれると思います。ですので、皆さんメキシコに安心してきてください。
ケレタロ補習授業校理事長 竹村様
ー今回、ケレタロという土地に新しく補習授業校が開校された訳ですが、
竹村様は、この学校がどういった学校になっていって欲しいとお考えですか?ー
ただの学校で終わらないでほしいなと思っています。学校があれば、自然と人がそこに集まって来ます。そうすると、そこが交流の場となり、学校という「場」のおかげで新しい人とも出会えたりします。
実際、僕がイギリスにいる時もそうでした。このケレタロ補習授業校も、関係される方々にとって、そういう場所になってくれることを願っています。現場のことは先生方にお願いして、子ども達が元気にやってくれればそれでいいですね。
ここが子ども達のためだけでなく、様々な人にとっての「核となる場所」になればいいなと思っています。
ー竹村様のご息女も、イギリスの補習授業校に通っていたという話を開校式ではされていましたが、その経験は今回の学校設立に繋がることがありましたでしょうか?ー
はい!日本語で思い切り遊んで、日本語で思い切り勉強して、日本語で喧嘩して、といった時間が持てることは、娘にとってすごくいい時間だったようで、娘が補習授業校を休みたいといったことは一度もありませんでした。この補習授業校も日本人が日本人としての時間を持てる場所になったらいいなと、私もone of themとして思っています。
ケレタロ設立準備委員会 久我様
ー今回の開校式をに参加し、”メキシコにある” 日本人のための学校という印象を受けたのですが、今後もエストゥディアンティーナの演奏のような、メキシコと日本の文化交流というのは考えておられますか?ー
この学校は皆さんで作っていく学校ですが、方向としてはメキシコにいながらも、子どもたちが「日本人である」ことを意識できる機会を多く提供しようと考えています。そのためには、まず「ここにある文化ってなんなんだろう」ということが分からないと、意識できません。
今回エストゥディアンティーナの方々に来ていただいた様に、文化交流・文化理解のために、今後とも積極的に地域とコラボしていきたいと考えています。以前、この地域で議員をされていた方に地域代表として来て頂き、現在具体的な話を進めているところです。
ー今回はケレタロに全く新しい学校が開校したわけですが、今後どのような雰囲気・文化をもつ学校になって欲しいとお考えですか?ー
型に囚われないでいて欲しいですね。せっかくこういった恵まれた場があるので、月曜日から金曜日はインターナショナルやローカルの学校で学び、ここでは日本語を学びつつ、色々な文化に触れて、地域の人々と交流して、一人一人が型に囚われない、フレキシブルな文化がこの学校に根付けばいいなと思っています。
また、学校として成り立つための絶対軸として、多くの皆様に補習校の運営に参加して頂かないといけません。何故なら運営するメンバーは駐在員の人が主です。時間が経てば人が入れ替わることになります。
そのため、「この学校があるからもう大丈夫」ではなく、皆さんで「この学校をどうしていこう」ということをベースに持っていて頂きたいと考えています。教育の機会が守られるように、このコミュニティの場が守られるように、父兄の方々も含め関係者のみんなが主体的に参加する文化を持った学校にしたいと考えています。
ーお子様を持つ方々は、メキシコでの教育サービスに関して不安に思っている部分もあるかと思います。そういった方々に向けて何かメッセージを頂けますか?ー
学校もありますし、こういった形でコミュニティーを介する場所もあります。例え補習校に通ってない方も、補習校でイベントがある時にはぜひ参加して頂いて、地域や文化を知って頂ける、新しい繋がりを持ってもらえる場として、この学校を活用して頂けばと思っています。知っている人がいなくても、心配しなくて大丈夫です。ケレタロに安心してきて下さい。
まとめ
開校式と生徒・保護者の方々の雰囲気、伯耆田様・竹村様・久我様のインタビューを通して、このケレタロ補習授業校は単なる教育機関ではなく、色々な人の思いが詰まった学校であることが分かりました!今後は文化交流・ローカルステークホルダーとの交流にも力を入れられるということで、多方面で架け橋のような役割を果たす、そんな場所になっていくのではないでしょうか。
メキシコの教育現場の雰囲気、またそれに関わる方々の思いが少しでも伝わればと思います!お子様をもつ皆さまも、ケレタロ州へ安心してお越しください!
ケレタロ補習授業校詳細
名称:ケレタロ補習授業校(登記名称:ESCUELA JAPONESA DE QUERÉTARO, A.C.)
住所:Paseo del Mesón 77, Manzanares, 76100 Santiago de Querétaro, Qro.
※International School of Querétaro(ISQ)より校舎を借用
教員:校長1名、教頭1名、教員9名、事務職員2名