「グアナファト州に住む全ての日本人のために」ベティ・ヤマモト氏独占インタビュー

メキシコ合衆国内の在住日本人数は年々増加しており、自動車関連企業の進出が著しいグアナファト州やバヒオ地区では、いまや3000人近くの日本人が生活をしている。世界遺産の街 グアナファト市では、日本人観光客が年々増加傾向にあるようだ。当記事では、日本との繋がりの深い、グアナファト州で国際コミュニティ局長を務めるベティ山本氏に独占インタビューを行った。

熊本県からの移民である祖父の血を受け継ぐ、グアナファト州 国際コミュニティ局長

私はメキシコ北部のコアウイラ州で生まれました。祖父が熊本県からの日系移民でして、コアウイラ周辺の鉱山で当時働いていたんです。その後、祖父はメキシコ人である私の祖母と出会い、結婚しました。これが私の苗字が「ヤマモト」である理由です、と和かにベティ氏は語ってくれた。

ベティ・ヤマモト氏はグアナファト州知事より命を受け、グアナファト州国際コミュニティ局長を努めており、現在は21ヵ国のグアナファト州に在住する外国人コミュニティのために日々忙しなく、数多くの仕事に取り組んでいる。文化庁、治安当局、各国大使館など、日々膨大な数のコミュニケーションや執務をこなす。

ベティ氏が担当する21ヶ国の中でも「日本」に対しての思い入れは、特別なもので、彼女は「グアナファト州に在住する日本人」に対して強い使命感を感じているという。

「文化、教育、経済、健康そして治安。これらの要素は外国で生活する上で、官民のサポートが必要だと感じています。生活様式が異なるメキシコで生活する日本人の方々やコミュニティに対してどのように貢献できるかについて、常に考え続けています。どうすれば、このグアナファトという地を"自分たちの第二の故郷であり、ホームのような場所だ"と感じて頂けるかについて、いつも真摯に向き合っています」とベティ氏は語る。

「私自身、グアナファトは馴染みの無い土地だったんです」

「冒頭でもお話致しました通り、私の出身地は北部のコアウイラでした。私の親戚は殆どが、現在もコアウイラに住んでいるのですが、私は20歳の時に初めてグアナファトの地に足を運んだんです。そこでいまの旦那と出会い、結婚することを決めました。結婚を機に、家族がいるコアウイラから遠いグアナファトの地に移住することになります。

当時は、グアナファトに旦那以外の頼れる人がいなく、家族もいなければ友人もいない。周辺地域の土地勘もない。寂しい思いも、戸惑いも沢山経験しました。私自身、「知らない土地で生活すること」を経験をしてるので、日本人の皆様や外国人の方々の状況に、僭越ですが共感できる部分があるんです。外国で暮らすこと、見知らぬ土地で生活することへの不安は、語学の問題もありますし、より大きなものであると感じています」とベティ氏は話す。

現在は3人の息子と、6人の孫に囲まれながら幸せな生活を過ごしていますし、グアナファトは私の「マイホーム」だと思っています。日本人の方々にもぜひ、グアナファトが貴方の生まれた故郷ではなくとも「第二の故郷」のように、この場所が皆様に愛される土地になって欲しいと願って止みません、と優しい表情で語ってくれた。

政府機関で働くことになるとは、夢にも思っていなかった

20歳でグアナファトに身を移し、グアナファト州への移住後は、教師として自身のキャリアをはじめました。31歳の時、革産業が盛んなグアナファト州のレオン市内で革カバンなどを製造する会社を経営することになります。当時は一般的でなかった女性起業家として、会社経営に一生懸命取り組みました。その後、会社経営は息子達に任せ、女性起業家コミュニティの協会理事や、国会議員を務めることになります。2012年にはメキシコシティに在住するなどして、現職に至りました。

若い頃には教鞭をとっていた私が、政府機関で働くことになるとは夢にも思っていませんでした。そしてメキシコに住む外国人コミュニティ、そして私自身のルーツである日本の方々のための光栄な職位につくことが出来るとは、想像だにしていませんでした。

ーーその後、日本国からは「日本とメキシコの友好関係に寄与した」ということで、僭越ながら名誉ある章を頂きました、と和やかな表情でオフィスに掲げられた表彰状を一つ一つ紹介してくれるベティ氏。

オフィスには「旭日小綬章」と呼ばれる、国や公共に対して功労のある者、とりわけ顕著な功績のある者に贈られる名誉ある勲章の表彰状が飾られていた。そして笑顔でスーツの胸に刺さるロゼットに指をさして見せてくれた。

広島県とグアナファト州の姉妹都市締結を通じた、様々な出逢い

結婚生活20周年を迎えた1999年に、観光目的で日本に初めて訪れました。長い間、日本への渡航を夢見ていたので、心から感動しましたね。その後、2013年以降にはメキシコ政府の任務遂行のため、毎年日本に訪れる機会を得ました。

広島県とグアナファト州は平成26年、2014年に姉妹都市締結を行い、これまで様々な文脈で交流を図ってきました。これらの関係性も相まって、特段、広島県に訪れた際には多くの方々にお世話になりました。広島県知事である湯崎さん、マツダ自動車の相談役である金井さんなどをはじめ、多くの方々から親切な対応と温かいおもてなしを頂きました。その土地を案内して頂いたり、食事をご一緒させて頂いたりと、私にとって特別な経験となっています。

【独占インタビューあり!】グアナファト・広島友好親善交流イベント
日系企業の進出に伴い、日本人居住者が急増しているグアナファト州は、広島県と友好提携を結び親善交流を図っています。今年2019年は友好締結5周年。これを記念し、広島県知事がグアナファト州を訪れました。
出典 https://amiga-mexico.me/articles/800 /

いつかグアナファトの地で、学校を創りたい

2019年にはグアナファト州イラプアト市内に日本人学校が開校しました。この壮大で意義あるプロジェクトは日本とメキシコに関わる多くの、様々な関係者の協力があって実現しました。

私の夢は、グアナファト州にスペイン語・日本語・英語を通じ、良質な勉学に加え「日本とメキシコ」双方の文化が学べる学校を創ることです。メキシコシティ市内にある Liceo Mexicano Japonés(日本メキシコ学院・通称リセオ)のような学校を創りたいと考えています。

現在、既に約3000人が在住するグアナファト州ですが、今後より日本人の在住者数が増加していくと私は予想しています。この「学校創設プロジェクト」について、私は引き続き両国の政府機関や企業を巻き込みながら、双方で活躍する起業家や投資家も巻き込んで、実現に向けて努力していく次第です。

また日本人の方々が安心して、楽しい生活ができるような移住区やエリアの開設にも取り組みたいですね。例えば、美味しい日本食が食べれるレストランや、日本語対応が可能な病院や歯医者、日系企業が集まるオフィスエリア、そして子供たちが遊べるキッズスペースや映画館などを一箇所に集める。諸外国にはジャパンタウンがある都市もありますし、このような取り組みを通じて、日本人の方々により安心してグアナファト州に在住して頂けるような取り組みにも挑戦したいと考えています。

バヒオ地区に新たな日本人学校が開校!グアナファト日本人学校に迫る
グアナファト日本人学校では、他の日本人学校と同様に日本の教育課程に準じた小学部と中学部の教育を提供します。グアナファト日本人学校は、メキシコで3校目の日本人学校であり、この学校が設立に至った経緯には、日系企業のメキシコ進出に伴う日本人の増加があります。
出典 https://amiga-mexico.me/articles/706

これからグアナファトにお越しになられる方々へ

メキシコ人の男性、女性と結婚して移住した方々。自身の意志でグアナファトに住み、働く方々。商機を見出し、事業をグアナファトで起こすべく移住した方々。駐在員としてメキシコで責務を果たすべく在住する方々。既に多くの日本人の方々がグアナファト州で生活をしています。私たちは皆様がより快適に、安心してビジネスや生活を過ごせるような取り組みを行ってきました。州内の主要な地域では日本の看板を掲げ、数多くの文化的なイベントに加え、治安対策やセキュリティの強化に日々取り組んでいます。

また日本人の方々で、海外で事業に挑戦したい方々も大歓迎です。グアナファト州は自動車関連企業の進出や投資を受け、日本人在住者が増加していることから、この地に住むメキシコ人の方々は日本文化への興味や関心度が大きく向上しています。美味しい日本食を求める人々が増え、日本に旅行する人々が増加し、着物や日本の伝統工芸品を買い求めたい人々が増えています。ぜひ一度、このグアナファトの地にお越し頂ければと思います。様々な分野でビジネスチャンスが広がっていますよ!

最後に。私は「日本に対しての想い」が、いつも心の中にあります。日本人の血を引き継ぎ、メキシコで、そしてグアナファトで生活をする一人の人間です。グアナファトが皆様日本人にとって「ホーム」や「第二の故郷」と感じて頂けるような場所とすべく、これからも強い使命感を持って日々努力したいと思います。

ーーグアナファト州に関係する企業や人々への貢献に対する情熱。ベティ・ヤマモト氏の「壮大な夢」への挑戦は終わらない。グアナファト州やメキシコに在住する日本人にとって、このような気持ちを頂いて受け入れてくださっている人々や政府に対して、改めて感謝の意を申し上げたい。

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