開校から3年、コロナ禍に新しい風を吹き込む先生方にインタビュー
ケレタロを中心に、バヒオ地区全体の日本人コミュニティに更なる教育の機会を提供すべく2年前に開校したケレタロ補習授業校。開校式の際にインタビューさせて頂いたときは、小学1年生から中学3年生まで総勢70名の生徒さんと伴にスタート。昨年は新型コロナウィルスの影響を受けメキシコに赴任をしている家族の帰国とともに生徒数は一時期30名まで減少しました。今年度は少しずつ人数が戻ってきており、現在は総勢45名の生徒さんが在籍しています。誰もが新型コロナウィルスの影響で困難に立ちはだかる中、安田哲雄先生、安田綾子先生、日下そらみ先生の3人の先生を中心にオンライン授業への切り替えをどこよりも早く行ったのがケレタロ補習授業校でした。同時に現在は遠方からのオンラインで授業に参加する生徒の受け入れも行い新体制をスタートさせています。正に今、新しい風を吹き込んでいるケレタロ補習授業校の先生方に再びインタビューしました!
【開校当時に取材させて頂いた際の関連記事】ケレタロ補習授業校開校式を取材!今だからこそできることをーオンラインを活用したプレゼンやディスカッションー
amiga 編集部
開校当時にインタビューさせて頂いてから早くも3年が経ちましたね。おめでとうございます!現在は、オンラインで授業を受ける生徒さんを遠方からも受け付けているとお聞きしました。従来の授業に囚われない画期的な発想ですね。遠方から授業を受けている生徒さんはは何名ほどいらっしゃるのでしょうか?
中学部担当:安田哲雄先生
現在は遠方にお住まいの生徒さんが5家庭ほど在籍しています。元々コロナウイルス流行前に遠いサンルイスポトシから通う予定の生徒さんがいたのですが、オンライン授業に切り替わったことで片道何時間もかけて来る必要がなくなり、「逆に好都合でした」という意見があったのです。そこで、たとえ登校が再開しても健康面の観点から「オンラインがいい」という生徒さんもいるのではないかということに気づきました。そこから「実際に登校せず、オンラインだけで参加する生徒がいてもいいのではないか」と考え、遠方からのオンライン生の受付を始めたのです。今は、サンルイスポトシの生徒を中心にオンライン生が少しづつ増えている段階ですね。
amiga 編集部
順調に増えていらっしゃるのですね。入学式も今年はオンラインで実施されていましたね。
中学部担当:安田哲雄先生
そうですね。去年は4月に休校になってしまい、先が見えず太刀打ちできない状況が続いていました。日下先生、そして中学部の私(安田哲雄先生)と小学部低学年担当の安田綾子先生の3人でどうにか画策できないか考えていたところ、6月という比較的早い段階でオンライン授業への切り替えの準備ができました。通常の1日の授業内容をオンラインでもカリキュラム通り進めることができるようになったのは幸いでしたね。それをきっかけにオンライン授業を継続して今年は入学式もオンラインで行いました。
amiga 編集部
判断が早かったのは生徒の皆さんや保護者の方々にとっても幸いですよね。
オンライン授業だからこそのメリットは他にありますか?
小学部高学年担当:日下先生
今までの対面の授業ではなかったパワーポイントを使ったプレゼンなどを始めたのは生徒たちにとって新しい学びですね。現地校で既にオンライン授業に慣れている子が多かったので、子供たちの方から「こんな方法あるよ」「こんな風にシェアできるよ」という風に教えてもらうことが多かったです。忘れ物がないのもメリットですね(笑)
足りない物や授業に遅れることがないのはオンラインの大きなメリットで、よりスムーズに授業が行えました。
中学部担当:安田哲雄先生
他にも、社会に出た時に必要な生き抜く力が養えているのもオンラインの良いところだと思います。現地校の授業は大体20人ぐらいで行うのでマイクをオフにしなくてはいけなかったり、受け身の授業スタイルになってしまい、「語学力が落ちた」と仰る保護者の方がいました。補習校は少人数だからこそグループワークなどを活用し、アウトプットできる機会が現地校より多いです。オンラインでのプレゼンテーションなど、社会人がするようなことをもう既に中学生がしているというのは非常に感慨深いことですね。
先生たちの想いが詰まったクリスマス会や全校学習会
amiga 編集部
オンラインでも書初めやクリスマスパーティなどの行事を行っているとお聞きしました。
中学部担当:安田哲雄先生
コロナウイルス流行直後は外で遊ぶこともできず、本当に何も楽しみがなかったのです。しかし、開校当時肌で感じた、設立準備委員会の久我さんや関係者の方々の熱量を受け継ぎ、「オンラインだから何もできないという発想は辞めよう」という気持ちに至りました。「オンラインだからこそプラスになること」「オンラインでもできる楽しいこと」を3人で話し合いを重ねて検討し、クリスマス会やクイズ大会などのイベントを行いました。そうしたら保護者の方から「今年はコロナで何もできなかったところに、心温まるイベントでした」という意見を頂きました。
小学部低学年担当:安田綾子先生
今までは小学生の低学年の子ほど泣いたり、けがをしたりなど、授業開始前のトラブルが沢山あり時間通りに進めるのが大変でした。しかし、オンラインになったことで保護者の方の協力もあり時間を有効に使えるようになりました。その余った時間を使って、外に遊びにいけない代わりに家族も一緒に楽しめるような七夕・クリスマス会などのイベントを行うことができましたね。
日本のカリキュラムに遅れを取らない、アウトプットメインの授業
amiga 編集部
オンラインだからこそ行えたイベントだったのですね。学年ごとにクラスが分かれているとお聞きしました。生徒さんによってメキシコで育ってきた子はスペイン語が得意だったり、日本から来たばかりの子は日本語が得意だったり、レベルに差が生じてしまうと思うのですが、そこはどう工夫されているのでしょうか?
中学部担当:安田哲雄先生
中学生になると、国語の授業に古典文学なども入ってきてかなり内容が高度になってきます。しかし日本のカリキュラムには決して劣らない授業内容にすべく、皆にとって面白い授業を心掛けています。授業内容についていくのが難しい生徒には土曜日の放課後などにオンラインで補習学習を実施しています。また授業時間内に作品を読み切れないときは平日にもオンラインで補習させていただきました。「補習校だから8割でいいや」といった考えはしていませんし、「日本の学校や現地校よりこっちの方が面白いぞ」といった意気込みで授業内容を企画しています。
小学部高学年担当:日下先生
小学部の高学年は、4人中3人が日本の学校にほとんど通ったことがない生徒でした。なので国語の音読の時間になると、読むのに詰まってしまう子もいたのですが、得意な生徒が苦手な生徒に率先して教えるなど、相互に教え合う環境ができています。時間は掛かってしまいますがその分、子供たちの間でのコミュニケーションが成り立っていますね。また漢字が苦手な生徒が多いのでそれを補うために、ゲーム感覚で楽しみながら学習できるように漢字クイズを行ったり、グーグルクラスを活用したりして学習しています。
ー生徒が主体の学校作りー先生方から入学検討中の方に一言
今後入学を検討中の生徒さんや保護者の方に対して先生方から一言お願いします!
中学部担当:安田哲雄先生
ケレタロ補習授業校は、生徒が主役となって動かしていく学校です。
初年度の運動会などの行事も中学生の生徒が企画をし、当日の役割分担なども決めて行いました。初年度につくった校歌も実は当校の中学生が作詞したものです。与えられたカリキュラムをただこなすだけが目的ではなく、ここに来たら一つずつ自分たちでつくっていけます。それをサポートするのが我々教師の役目ですね。ですので一人でも多くの方に来ていただき、一緒に楽しい学校を作っていきましょう。
小学部高学年担当:日下先生
補習校のいいところは、少人数だからこそ小学生も中学生のことを知っていて、中学生も小学生のことを知っているようなアットホームさがあるところですね。例えば、全校集会のときに一人ずつ話す機会を作ることができます。これは日本の学校や現地校では不可能なことです。小規模だからこそ交流が盛んですし、子供たちの将来の可能性が広がるような刺激的な環境が整っています。現地校との両立は大変かと思いますがプラスになること間違いなしなので補習授業校への入学を迷っている方は是非お越しください。
小学部低学年担当:安田綾子先生
通われている生徒さんはもちろんですが、保護者の方にも楽しんでいただけるような学校作りを目指しています。小学部で行っている七夕祭りやクリスマス会も保護者の方にも楽しんでもらえるような工夫をしてきましたし、今後もしていきます。海外での生活は子供だけでなく、保護者の方にとっても言語の問題などストレスが溜まる環境かと思います。ケレタロ補習授業校がそんな保護者の方にとって1週間に一度の憩いの場となればいいなと思っております。子供たちだけでなく、保護者の方にとっても居場所のいい場所であり続けたいですね!
まとめ
今回3年ぶりに取材させて頂きましたが、このような大変な状況下にも関わらず、時代に合わせた工夫を重ね運営をされている先生方の生徒に対する熱心な想いを強く感じました!
ケレタロ補習授業校は今後も引き続きオンライン授業を実施する予定ですので、遠方で補習校に通えない距離にお住まいの方も是非この機会に入学を検討してみてはいかがでしょうか?
温かい先生方と刺激ある環境が迎え入れてくれます!