940万8,000人が参加するメキシコの総選挙。今回の総選挙の目的とは
今回の中間総選挙はメキシコ国内32州の連邦下院全議席と地方議席の改選を目的としております。具体的には15名の州知事、30州の地方自治体首長、900名の市議会議員を選定する選挙であり、およそ940万8,000人の人が投票に参加すると予測され史上最大規模の選挙になると言われています。
メキシコの議会ー二院制についてー
今回の中間総選挙は、連邦下院全議席改選が目的ですがそもそもメキシコの議会体制はどうなっているのでしょうか。
メキシコでは、二院制が取られており、議会が上院と下院の二つに分かれています。議席は上院が6年、下院が3年という任期が設けられています。下院の議席は500席あり、そのうちの300席は32州の代表からなります。300席の各州の区分けは州の総人口によって代表の人数が異なります。下院議員の3/5は一般投票で直接選出され、その他の下院議員は5つの選挙区ごとに政党の得票数に応じて選出されます。
今回の中間総選挙は、以下の15の州から州知事が改選されます。
*上院&下院の議席図
・Baja california
・Baja california Sur
・Campeche
・Chihuahua
・Colima
・Guerrero
・Michoacán
・Nayarit
・Nuevo León
・Querétaro
・San Luis Potosí
・Sonora
・Tlaxcala
・Zacatecas
参照
メキシコ大4政党
メキシコ政治政党は、以下の4つの大政党を中心に動いています。
・PRIーPartido Revolucionario Institucionalー制度的革命党
・PANーPartido Acción Nacional ー国民行動党
・PRDーPartido de la Revolución Democráticaー民主革命党
・MORENAーMovimiento Regeneración Nacionalー国民再生運動
その他
・PTーPartido del Trabajo 労働党
・PVEMーPartido Verde Ecologista de México 緑の環境党
20世紀後半までは、PRIが最も強力な政党として、実質一党独裁国家の時代もありましたが現在は、この4政党が国会の議席を多く獲得しており、国政の主導権を争っています。
また犯罪率の軽減と経済の拡大を当選時に公約した現在のメキシコ大統領ロペス・オブラドール氏が率いるのがMORENA政党(中道左派)になります。
参照
6月6日の中間総選挙の焦点
*実際の選挙活動の写真
今回の中間総選挙は2024年に大統領選挙の再選を控えている現大統領ロペス・オブラドール氏の人気が試される選挙とも言われています。約21,000のポストが争われる今回の選挙では、大統領が率いる政党MORENAが現段階でトップを走り、中政党であるPT(労働党)とPVEM(緑の環境党)とともに過半数の議席を維持するだろうと予測されています。特に下院に対しては人気の高いMORENA政党ですが、大統領を牽制したい政党がどう挑戦してくるかは未知数であり、注目されるポイントとなっています。また今回の選挙でポイントとなるのが議題に上がっている、電力産業法改正法案です。電力市場の改革や規制機関の廃止などを現在提案しているロペス・オブラドール氏ですが、その実行には現法の憲法改正が不可欠となっています。憲法改正には下院と上院の両院の2/3以上の票を集める必要があり、この票を集めるにはPRI政党やPAN政党などのコンセンサスが必要になってくるため、今回の中間総選挙は注目の的となっています。
まとめ
今回は迫りくるメキシコ中間総選挙にともない、今回の選挙の目的を中心にメキシコの政治体制についてご紹介致しました。今後もメキシコの時事問題についてご紹介していきたいと思います!
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