【ボクシングの国 メキシコ】
メキシコのスポーツといえばサッカーや野球を思い浮かべますよね。でも、実はメキシコは世界でも有数のボクシング大国だということをご存知ですか?
メキシコで最初に公式のボクシングの試合が行われたのは1895年、市民同士の紛争が起こった際に武器を使わないで争う方法として、イダルゴ州の知事がボクシングの試合での決着を認めたのが始まりと記録されています。その後、1900年代初頭にはタンピコやベラクルス州などの港湾作業員がお金を稼ぐために拳を交え試合を行っていったことでメキシコのボクシングは盛んになっていったそうです。
1932年のロサンゼルスオリンピックでフランシスコ・カバニャス(Francisco Cabañas) がボクシングで初めてメキシコにメダルをもたらして以降、独自のボクシングスタイルを確立していきながら、メキシコは米国と肩を並べるボクシング大国として成長していきました。
1980年代にはフリオ・セサール・チャベス(Julio Cesar Chavez)が世界タイトル3階級制覇を成し遂げ、デビュー戦以来90戦無敗(1引き分けを含む)、史上歴代3位となる89連勝、1試合に於ける観客動員数13万人!など世界のボクシング史における数々の記録をうちたてたボクシング界のスーパースターとして活躍し2005年の引退後、世界ボクシング殿堂入りを果たしました。
なんと!2018年までにメキシコから世界最多の200人以上の世界チャンピオンが誕生していることからメキシコは「史上最高のボクシング国」と謳われています。
先述のフリオ・セサール・チャベスを含めメキシコ人のボクサーはタフで強靭な肉体を駆使し、スピーディでアグレッシブな特有の「メキシカンスタイル」を創りあげ、世界のボクシング界を魅了してきました。 正にメキシコはボクシングの本場と言えます。
【ボクシングの本場メキシコで戦う京口選手】
WBAライトフライ級スーパー王者京口紘人選手とは?
京口紘人選手は大阪出身、12歳で名門大阪帝拳ボクシングジムでボクシングを始めました。大学でのアマチュア時代には国体で優勝を飾るなど活躍、2016年にワタナベボクシングジムに入門しプロに転向します。以来、8戦目でIBF(世界ボクシング連盟)世界ミニマム級王者となり、2018年にはライトフライ級に挑戦し王座を獲得、2階級制覇を成し遂げています。
昨年はラスベガスでの試合でアメリカ初挑戦、初勝利を挙げました。プロ15戦15勝、無敗の王者として今回のWBA王座統一戦に挑みます。
【あの浪速のジョーの愛弟子!?】
大阪帝拳時代には「浪速のジョー」こと元WBC世界バンダム級王者の辰吉丈一郎に2年間直接指導を受けました。京口選手は辰吉氏から伝授された必殺左ボディーブローを強力な武器として王者まで上り詰めてきました。
【「聖地で戦えて光栄」】
京口選手は会見で「メキシコのリングで、メキシコ人選手と戦えることを光栄に思っています」
と語り、メキシコでの戦いに
「ここをクリアすれば、いろんな景色が見えてくる。緊張するが、楽しみな気持ちが大きい」
と意気込みを表しました。ボクシング大国メキシコで勝利し世界へ名前を売るチャンスに、京口選手は好ファイトを誓います。
当初はメキシコシティでの開催が予定されていて、京口選手は標高2200mでの試合にむけて日本で低酸素トレーニングで調整するなど対策を取り組み、試合3週間前にあたる5月第3週にもメキシコに入り、標高3400メートルの町でキャンプを行うプランを明かしていましたが、開催地が標高1800mのグアダラハラに変更されたことを受け、出発を1週間スライドさせ高地対策を緩めて日本国内で調整を進めることにしたそうです。
京口選手は自身のSNSで「Vamos」と投稿し、昨年3月以来、1年3ヶ月振りの試合に臨みます。
【Youtubeチャンネル】
京口選手は自身のYoutubeチャンネルも開設していてボクシング普及の為にその魅力を発信しています。
今回のメキシコ戦に備え、標高の高いメキシコでの試合に向けた日本での高地トレーニングの模様をYoutubeで紹介しています。
【メキシコでの世界戦に向けて高地トレーニング】
【対戦相手のエステバン・ベルムデス選手とは?】
今回、京口選手の対戦相手となるエステバン・ベルムデス選手はメキシコ州ネサワルコヨトル出身です。プロ19戦14勝3敗2分、現WBA世界ライトフライ級王者として今回の王座統一戦に挑みます。
ベルムデス選手がボクシングを始めたのは近所の子供達のいじめから自分を守る為だそうです。プロ転向後もアルバニル(albañil)として建設現場で働きながらキャリアアップを続け、ついにチャンピオンベルトを手にしました。実力では京口選手が実績も含め上と見られています。京口選手は過去にメキシコ人選手と対戦して2戦2勝とそのファイティングスタイルへの対策も十分といえるでしょう。しかしながら、ハングリー精神では誰にも負けない強さがあるエステバン選手にとっては地元メキシコでの開催!国中の期待を背負っての一戦となります。
【まとめ】
ボクシング大国メキシコには日本人ボクサーも多く武者修行に訪れていて、在住日本人の間でもボクシングファンが多いということでこの試合は日本だけでなくメキシコでも盛り上がりそうですね!
ボクシングの聖地で日本人とメキシコ人がベルトを賭けて戦う今回の王者統一戦、実力は上ながら完全アウェイでの戦いとなる京口選手か、それとも地元メキシコでビックチャンスに挑むエステバン選手かどちらを応援するか本当に悩ましい贅沢な対戦ですね。
この機会にメキシコでのスポーツ観戦にボクシングを加えてみてはいかがでしょうか?
まずは、6月10日に行われるWBAライトフライ級王座統一戦に注目です!!