ポサダの起源
ポサダはスペイン人による植民地時代から行われていました。
しかしポサダの元になった儀式はアステカ文明までさかのぼります。アステカ文明は1428年から1521年まで今のメキシコシティを中心に栄えた文明です。メキシコにあった文明の中では新しい文明でエルナン・コルテスの到着後、スペイン人の征服により滅亡しました。
アステカ文明では12月にウィツィロポチトリ神の生誕を祝う伝統的な儀式がありました。ウィツィロポチトリは太陽神でありアステカの部族神として最も信仰された神様の1つです。
その儀式をスペイン人はキリスト教の布教のためにキリストの誕生と結びつけて「アギナルドのミサ」として祝い、メキシコで広まっていきました。メキシコの独立後、ミサとしての習慣は廃れていきましたが、人々はポサダを各地域の要素を追加しながら祝い続けました。
いつポサダをやるの?
伝統的なポサダはクリスマス前の9日間、12月16日から12月24日に毎日行われます。ナザレからベツレヘムに向かう父ヨセフと母マリアが宿泊場所を探しキリストの誕生を待った期間です。
9日間にはそれぞれ意味があります。謙虚、強さ、慈善、分離、信頼、正義、純粋、喜び、寛大というテーマを祝います。
しかし、今は一般的にクリスマスパーティーとしてポサダが行われる事が多いです。12月16日から12月24日の間の金曜日、土曜日、日曜日はみんなが集まりやすいのでポサダが行われることが多いです。
何をするの?
伝統的なポサダは近所の人と行うものでした。
家の外と中、2つのグループに別れてヨセフとマリアが「宿泊を頼む歌」(peregrinos巡礼者)と「それに答える歌」をキャンドルを持ちながら交互に歌います。歌の歌詞はほとんどの人が覚えてないので歌詞カードが配られます。
ポサダ用の星型のピニャータを割ります。中身はお菓子が多いですが、伝統的なポサダのピニャータはみかんなどのフルーツやサトウキビでした。
子供はルス・デ・ベンガラという手持ち花火で遊びます。
ピニャータや花火など外でのアクティビティが多いのでポサダは庭やパティオなど屋外で行われることが多いです。
食べものや飲みものは参加者が持ち寄ります。冬に屋外で行われるのでアトレ(トウモロコシ粉を使ったドロっとした甘い飲みもの)やポンチェ(たくさんのフルーツとサトウキビなどを煮た飲みもの)など、温かい飲みものが欠かせません。
食べ物はクリスマスシーズンのメキシコでよく食べられるブニュエロ(甘い揚げ菓子)や作るのが簡単でパーティーでよく見かけるパンバソなどです。
最後にアギナルドというお菓子の袋詰をお土産としてもらいます。今は市販のお菓子が多いですが伝統的なアギナルドはフルーツや落花生が入っています。
現在の一般的なポサダには宗教的な要素はありません。普通のパーティーのように友達や
家族・親戚と集まりご飯を食べたり、お酒を飲んで楽しみます。しかし今でもポサダでピニャータを割ることが多いです。
学校や会社でもポサダを行います。会社のポサダは日本の忘年会のような役割もあり、1年間仕事を頑張った社員のためのパーティーでもあります。ビンゴ大会が行われ豪華な賞品がもらえることもあります。
ポサダの時期のメキシコの様子
ポサダの時期はクリスマスムードが高まっていて街はクリスマスの装飾でいっぱいです。家や学校、会社、ショッピングモールもクリスマスの飾り付けがされ、イルミネーションを飾る家も日本よりとても多いです。
スーパーやショッピングモールには多くのクリスマスグッズが販売されます。クリスマスツリーの大きさやクリスマスの人形や装飾の規模は日本より大きいです。
またソカロやセントロにもクリスマスのオブジェが置かれたり、建物や外灯にもイルミネーションが施され夜はとてもきれいです。
メキシコ人のポサダの思い
ポサダは祝日ではありませんがメキシコ人が楽しみにしている行事です。
メキシコではクリスマスや年末年始は家族と過ごすことが多いので、ポサダは1年が終わる最後に友達同士で集まるパーティーになることもあります。ポサダをすると「今年ももうすぐ終わるなぁ」と感じるようです。
会社のポサダでは豪華景品が当たることもあるので、普段は職場の飲み会がないところでもポサダは行われることが多いです。
ポサダを象徴するアイテムや料理
・ピニャータ
子供の誕生日会でおなじみのピニャータはキャラクターや数字のものが多いですが、ポサダでは星型のピニャータを使います。
そのピニャータは7つの棘がありキリスト教における7つの大罪を割る・壊す意味合いがあります。今でもポサダの季節には多くの星型のピニャータが売られています。またクリスマスのシンボルとして飾りに使われることも多いです。
・ポンチェ
ポンチェはメキシコのクリスマスシーズンには欠かせない温かい飲みものです。サトウキビ、りんご、テホコテ、グァバ、ピロンシージョ(ブラウンシュガー)などが入っています。材料は家庭により違い、ハイビスカスやシナモン、タマリンドなどが加わることもあります。ビタミンCが多く身体が温まるので風邪予防にもなります。
ポンチェはポサダ以外でもクリスマスシーズンならばよく飲まれる飲みものです。大人はロンなどお酒を入れて飲むこともあります。
・ルス・デ・ベンガラ
ルス・デ・ベンガラは手持ち花火です。日本よりも長くて重い花火で一本ずつバラ売りされています。日本では花火は夏にすることが多いですが、メキシコでは冬に花火をします。
ヨセフとマリアの道中を照らし、道しるべとなった星を表しています。
まとめ
今回はメキシコのクリスマスパーティー「ポサダ」について紹介しました。キリスト教と深く関わりがあり日本ではあまり知られていませんが、パーティーなので楽しむことができれば大丈夫です。
今年初めてポサダに参加される方はぜひこの記事を参考にしてみてください。
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