日本産精米解禁ワークショップを開催
2023年5月30日、メキシコシティにて日本産精米輸出解禁のワークショップが開催されました。在メキシコ日本国大使館、日本国農林水産省、JETROメキシコ事務所の主催で行われた今回のイベント。メキシコ国内のレストラン関係者や食品卸、小売業者等約80名に向けて、日本産精米の品質、食味を紹介する取り組みが実施されました。
ワークショップにはメキシコ政府から農業地方開発省の大臣Victor Villalobos氏も参加。過去にJICAのプログラムで、日本に研究者として滞在経験のある同氏は「私にとって日本での経験は大きな糧になっています。今回の日本産精米の輸入解禁について大変嬉しく思います。」とコメントしました。
日本産のお米がメキシコでも食べられる?解禁の背景や日本産精米の特徴
2023年3月16日(メキシコ現地時間)、日本の農林水産省とメキシコ植物検疫当局との間でメキシコ向け日本産精米の植物検疫条件が合意され、日本産精米の輸出が解禁されました。
メキシコ、日本産精米の輸入を解禁これまでメキシコでは自国への侵入を警戒する病害虫が日本で発生していることを理由に、日本産精米の輸入を禁止していました。しかし、メキシコは米の消費をアメリカなどからの輸入に頼っている背景もあり、日本の農林水産品の積極的な輸出を推進する農林水産省はメキシコ政府と技術的協議を重ね、日本産精米のメキシコへの輸入解禁を実現させました。
ワークショップ内で行われた農林水産省の発表では、日本産精米は保湿力が高く、冷めてもおいしいこと、噛めば噛むほど甘みが感じられるといった特徴が紹介されました。
本当に違う?カリフォルニア米と日本産精米の食べ比べ
ワークショップ内では、カリフォルニア米と日本産精米の違いを実際に参加者に体験してもらえるよう、おにぎりの食べ比べが実施されました。
今回の試食用おにぎりは、メキシコで日本食普及の親善大使として活躍される、九本和氏、浅井康雄氏、エド・コバヤシ氏によって提供されました。
日本食普及の親善大使とは?まず始めに、カリフォルニア米で作られたおにぎりの試食。メキシコ在住である筆者は、普段からメキシコでよく口にするカリフォルニア米で作られたこのおにぎりも、十分美味しいと感じました。
そして次に提供されたのが、日本から初めて輸入された日本産精米で作られたおにぎり。
実際に試食すると、、、格段に違う!まず、食感が全然違います。
そして特筆すべきはその甘さ。米の甘さが、じんわりと口の中に広がります。
筆者にとっては、この日本産精米は日本でこれまで食べてきた懐かしい味。
ですが、果たしてこの違い、初めて日本産精米を食べたメキシコ人にも分かるのでしょうか?
メキシコ人参加者に食べ比べの感想を聞くと
・格段に甘い
・食感が全然違う
・日本産精米のほうが、新鮮で美味しい
といったコメントが多く、カリフォルニア米と日本産精米との違いを確実に認識しているようでした。
ワークショップに参加した、日本食を提供するレストランやメキシコで日本酒の生産を行うメーカーなども、今後の日本産精米の使用に前向きな様子を示しています。
メキシコ市場での日本産精米輸入解禁の影響は?
気になるのが、今後実際にメキシコ国内にて日本産精米はどれだけ浸透するのかという点。
ワークショップに出席した農林水産省、輸出・国際局審議官の谷村栄二氏は
「日本の輸出業者の間でもメキシコ市場は注目を集めています。まずは現地の日本人や日本食レストランを通じてメキシコ現地でも日本産精米を広めていきたい。また日本産精米が広がれば、それに伴い他の農林水産物のメキシコへの輸入に繋がったり、お米と一緒に食べられる日本食産品の需要が高まることが期待されます。」と話しました。
実際に今回のイベントでは、和牛や明太子、ふりかけなどご飯と一緒に食べられる日本食産品のデモンストレーションも行われました。
また、メキシコ在住の日本人にとっては、日本産精米がメキシコ国内の日本食材スーパーマーケットなどで購入できるのか、メキシコ国内の日本食レストランで食べれるのか、という点も気になります。
今回イベントに参加した、メキシコで日本食材の卸売や小売りを行うTOYO FOODSの担当者に話を伺ったところ、今年の7月ごろから店頭での販売や飲食店への卸売りを予定しているとのこと。
また日本側の輸出業者の努力やCPTPPにより関税が引き下げられることもあり、長期的にメキシコ市場においても競争力のある価格で日本産精米が販売されることが期待されます。
まとめ
メキシコへの日本産精米の輸入が解禁され、現地での販売や提供に向けての取り組みが各所で進んでいます。メキシコで日本産のお米を実際に目にしたり、食べられる日も遠くないでしょう。今後もメキシコにおける日本食の広がりに注目が集まります。