メキシコの環境問題
現在問題となっているメキシコの環境汚染。メキシコには様々な固有種が存在しますが、多くの動物が環境汚染などにより住処を失い、絶滅危惧種に指定されている種も多いです。
今回の記事でメキシコの環境汚染により、人間だけではなく、多くの動物が危ない状況にあるという事を知って頂けると嬉しく思います。
メキシコサンショウウオ
メキシコサンショウウオはウーパールーパーの事で、正式名称はメキシコサンショウウオの方で、多くの人に知られているウーパールーパーという名前は流通名です。
日本でもブームがあって以降、ペットとして人気が高いこのメキシコサンショウウオは、アステカ時代からメキシコシティのソチミルコ付近にしか生息していないメキシコ固有種で、魚類、昆虫、甲殻類、ミミズなどを主食としています。
現在、湖の埋め立てや、湖に街の排水が流れこんできた事による環境破壊で数が激減してきています。絶滅が心配されている事で、現在国際的な商取引が規制されています。メキシコ国立自治大学(UNAM)は英ケント大学(University of Kent)の協力を得て保護に力を注いでいます。
メキシコウサギ
メキシコウサギはメキシコシティ付近の標高2,800~4,250メートルの火山(イースタークシーワートル山、ティアロク山、ペラド山、ポポカテペトル山)に生息しています。
体長は27~31.5cm、体重がおよそ380~600gで2~5羽ほどの群れを成し、草の根元に巣穴を作ります。
都市開発や野焼き、狩猟、また牧草地として牛や羊がメキシコウサギの餌となる草を大量に食べた事で、餌だけではなく巣穴を隠すことが出来なくなり、生息数が減少してきています。
その為、国の保護対象動物として認定されましたが、未だに他のウサギと間違われて狩猟されたり、農民が害獣として駆除したりする事があるため、まだまだしっかりとした保護対策が必要です。
ロンドン動物学会は、メキシコウサギが絶滅する可能性が高い哺乳類100種の1種として発表しています。
そこで、メキシコの動物園や保護センターでは、飼育でメキシコウサギの生息数を増やす取り組みをしています。
メキシコオオカミ
メキシコオオカミはオオカミの亜種の1つで、アメリカ合衆国南部およびメキシコに生息していましたが、ほとんどの地域で絶滅状態にあるオオカミです。
メキシコオオカミは北アメリカにいる3種のオオカミの亜種の中では最も小さく体長は約167㎝で、中型犬と同じくらいの大きさをしています。
かつてはメキシコ、アリゾナ州、ニューメキシコ州、テキサス州に生息していましたが家畜を襲う為、駆除の対象として扱われ1970年代にはほぼ絶滅状態となりました。
アメリカでは1973年に絶滅危惧種法が制定され、メキシコオオカミは1976年に絶滅危惧種に指定されました。現在では保護施設での繁殖と野生復帰にむけたプログラムが実行され、1998年から、アリゾナ州とニューメキシコ州の国有林にて同プログラムが実施されています。
コガラシネズミイルカ
コガラシネズミイルカはネズミイルカ科に属する哺乳類で、最大全長148cmとクジラ目の最小種の1つです。
コガラシネズミイルカは、主にカリフォルニア湾の北部沿岸の浅い海域に生息していますが、最近はその数の減少が激しいことで有名です。
生息数減少の理由は、トトアバという絶滅危惧種の魚を捕る為に行われている刺し網漁による混獲で、1997年に567頭いたコガラシネズミイルカは、2000年には150~300頭まで減少。
更に、2016年には30頭までになり、年間18.5%の割合で生息数が減っているそうです。
そこで2015年4月16日にメキシコのエンリケ・ペーニャ・ニエト大統領はコガラシネズミイルカとトトアバの保護プログラムを発表しました。
しかし、それでも刺し網漁は行われ絶滅の危機に瀕しています。
特に、このコガラシネズミイルカは生息地が限られている為、より絶滅の可能性を含んでいるそうです。
対策
現在、メキシコだけではなく様々な地域に絶滅危惧種の動物がいます。
そんな動物を保護する為に存在する公的な対策で「ワシントン条約」という条約があります。
この条約の正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」であり、国際取引を規制することで野生生物の保護を目指しています。
メキシコも1991年に加盟しており、野生動物の保護に努めています。
メキシコには様々な固有種が存在しますが、その動物の多くは存続が危ぶまれています。
環境汚染や人間による乱獲。絶滅に瀕している原因は人間によるものがほとんどです。
この現状を少しでも良くする為にも、まずこういう状況の動物がいるという事を知って頂けると嬉しく思います。