メキシコ経済の弱点は「インフラの弱さ」にあった
メキシコ経済の抱える問題の一つに、インフラが行きわたっていない、もしくはきちんと機能していないというものがあります。インフラが弱いということは経済基盤が弱いということであり、海外からも国力が低いとみなされます。
昨年2015年の国際競争力ランキングでは、メキシコは140位中57位。昨年よりは順位を上げたものの、先進国としてはまだまだ低いのが現状です。(ちなみに日本は6位、中南米最上位はチリの35位)特に、当ランキングの項目の一つであるインフラの運営については59位となっており、国家の大きな課題となっています。
経済界の要人は「投資誘致のためには、インフラの強化が不可欠」と強調
これを受けて今月、メキシコ財務担当経営者協会代表のホアキン・ガンデラ氏は、「メキシコはより多くの投資を国外から誘致するために、インフラ事業に力を入れるべきだ。投資はメキシコ経済においてもっとも重要な原動力となるが、インフラの弱い国家が投資を誘致するのは非常に困難だ。」と主張し、市中銀行や出資ファンドによる、インフラ事業への資金供給を強化するためには、マクロ経済の観点から見ても今が好機であると分析しています。
政府が巨額投資!メキシコが期待を寄せる「地熱発電」の大きな可能性
そんな中、電力インフラ強化のために、政府が新しい研究機関を設立しました。ターゲットは、期待のクリーンエネルギー「地熱発電」です。実はメキシコは世界第5位の地熱保有国で、近年その開発が進められています。
5月9日、バハカルフォルニア州のエンセナーダ市で、メキシコ地熱発電イノベーションセンター(CEMIE-Geo)が新設されました。当施設は、日本の文科省にあたるメキシコ国家科学技術審議会(CONACYT)の機関として技術開発研究を行っているエンセナーダ高等教育・科学研究センター(CICESE)と協力するために、CICESEの敷地内に併設されました。バハカルフォルニア州は、メキシコでもっとも地熱発電開発が進められている州であり、セロ・プリエト(Cerro Prieto)発電所では570MWの発電が行われています。
そして当センターは、メキシコでの地熱発電に注目する国内外の企業と合同で調査委員会を立ち上げ、すでに32の技術革新・地理調査プロジェクトを進めており、今後さらなる地熱発電開発に向けて貢献していきます。
政府は2024年までに、電力供給においてクリーンエネルギーの占める割合を35%とすることを目標としており、そのための地熱発電開発に貢献する機関として期待されています。昨年末に発表された、当センター立ち上げを含むクリーンエネルギー事業に対する投資は、前代未聞の金額である26億7900万ペソ(約200億円)となっており、政府の期待の大きさがわかります。
日本も注目するメキシコでの地熱発電。技術協力に期待
日本も近年、中南米の地熱発電には関心を示しています。国際協力機構(JICA)は開発のための基礎調査を行っています。また三菱日立パワーシステムズなどのメーカーは、既に稼働中のメキシコの地熱発電所に蒸気タービンなどの設備を供給しています。
先日2016年の2月には、在メキシコ日本大使館の山田大使がエンセナーダ市のCICESEを訪問したこともあり、今後メキシコと日本のインフラ事業等における技術開発協力が、さらなる促進が期待されています。
参考元サイト(外部リンク・スペイン語)参考元サイト(外部リンク・スペイン語)