広告業界が、中南米の広告市場拡大に目を向けています。電通子会社Carat(カラ)の調査による「世界の広告費成長率予測」では、2015年の中南米の広告費は前年比で11.0%増。2016年と2017年もそれぞれ10.5%増、12.1%増と、世界平均の4~5%を大きく上回る成長が続くと予測されています。(2016年3月発表)
メキシコは、中南米でブラジルに次ぎ第2位の広告市場を有しています。さらなる市場拡大を見越して、日本の広告業界の雄・電通の海外本社「電通イージス・ネットワーク」が5月16日、メキシコの総合広告会社「Arrechedera y Claverol」(AC社)を買収することが決定しました。(当社ニュースリリースより)
AC社はメキシコの広告代理店大手で、2007年に設立され、広告戦略の策定や、一般的なコマーシャルの形を取らずにブランドを宣伝するためのコンテンツ「ブランデッドコンテンツ」の作成など、様々なサービスを提供しています。
2015年には、フォルクスワーゲン50周年を記念して製作されたブランデッドコンテンツ「あなたのフォルクスワーゲン(El Volkswagen de tu vida)」が、アメリカのオンライン広告の業界団体IABが主宰する広告祭で最優秀作品賞、年間最優秀企業賞を受賞するなど、デジタルテクノロジーを駆使したサービスが国内外で評価されています。
電通は今後、AC社をグループ会社であるmcgarrybowen(マクギャリーボウエン)のネットワークに組み入れ、連携を図る予定です。
ちなみに電通イージス・ネットワークは、既に今年3月、メキシコのデジタルエージェンシー大手「Flock社」を買収しています。さらにブラジルでは2015年7月までに広告代理店大手のNBSやmcgarrybowen(マクギャリーボウエン)、デジタルエージェンシー会社「Redirect Digital Marketing Ltda.」(リダイレクト・デジタル・マーケティング社)の6社を買収済みです。
これを踏まえると、メキシコの広告代理店・デジタルエージェンシーの子会社化が今後さらに起こる可能性もあります。また今回の買収によりスペイン語圏へのハブができたことで、今後広告業界が他の中南米各国へ進出していくことも見込まれます。