カンティーナとは

カンティーナの由来はイタリア語の「ワインセラー」から派生しており、簡単に言うとずばり「メキシコ版大衆酒場」のことです。著名人や労働者であっても労働階級は関係なく、一緒に乾杯し、皆で楽しむ場所として昔からメキシコ人に親しまれています。

カンティーナは基本的にはお酒を頼んだら無料でおつまみがついてくる仕組みになっています。お酒１杯につきおつまみ１個のところもあれば、お酒数杯につき、おつまみがついてくるところもあります。中には飲み物と食事は別々に注文できるところもありますが、酒場なだけあってお酒の種類は豊富です。

酒場というと夜に行くイメージですが、昼間からオープンしているところも多く、週末は昼間から満席のカンティーナも。もちろん昼間からお酒片手に友人や家族とお喋りしています。

お酒を飲みながらボードゲームをして楽しんだりする為、テーブルの脚にはビール置きがついていたり。

また、メキシコの音楽隊の「マリアッチ」がいるカンティーナもあり、メキシコ音楽を生演奏で聴くことができます。

陽気な音楽を聴きながら、労働階級関係なく、みんなでお酒を飲んでワイワイ賑やかに楽しく過ごす場所がそう、カンティーナなのです。

カンティーナの歴史

カンティーナの前身はテキサスを巡るアメリカとの戦争によって1846年にもたらされたと言われています。当時は戦争で疲れた兵士の心身の癒しの場としてカンティーナが存在していました。

当初は男性が飲み食いする場所だったため、犬、ホームレス、制服を着た労働者、そして女性までも立ち入り禁止だったそうです。1982年に当時の大統領が法律を改正し、やっと女性も足を踏み入れることができたのです。

メキシコシティで最も古いカンティーナはメトロポリタン大聖堂の近くにある「El Nivel」で、なんと151年間も営業していました。残念ながら2008年に閉店し、建物はUNAM(メキシコ国立自治大学)の博物館の一部となっています。151年間もメキシコ市民の憩いの場として存在していたなんて驚きですよね。

現在も営業しているカンティーナで一番古いお店は「Cantina La Peninsular」で、創業年はなんと1872年。メキシコの歴史が詰まったカンティーナです。

どんな食事やお酒があるの？

お酒はとっても豊富で、メキシコ発祥のお酒であるテキーラだけでも何十種類も。カクテルやもちろんソフトドリンクもあります。

カンティーナの魅力は食事にもあります。お酒だけでなく、食事メニューも豊富なのです。食事のレベルも高く、お酒に合うおつまみはもちろんのこと、普通の食事としてもとってもおいしいので、お酒が飲めない人でも楽しむことができます。

おかずはbotana(ボタナ)と呼ばれます。曜日限定や日替わりのボタナがあったり、お店によって料理のコンセプトが違ったりするので、料理だけでも興味をそそります。人気のボタナは昼間に売り切れてしまうことも。

ここでどのようなボタナがあるか紹介していきます。カンティーナによってオススメが違うので、店員さんにオススメや人気メニューを聞いてみてください。

・Tacos

下の写真は左側がユカタン名物の「Panucho」というタコスに似たもので、右側は「cochinita pibil(コチニータピビル)」(豚をバナナの皮に包んで蒸し焼きにした料理)のタコスです。

・Sopa

メキシコはスープの種類が豊富で尚且つ美味しい！

下の写真はこのカンティーナオリジナルのスープでコンソメ味のスープにご飯、鶏肉、熱帯アメリカが原産で、西洋梨みたいな見た目のはやと瓜、卵、チーズが入っています。

・Carne/Mariscos

お肉か魚料理がメインで、料理方法は焼き、煮込み、揚げなど様々です。

下の写真はエビをチポトレ(ハラペーニョを燻製にしたメキシコの香辛料)ソースで調理したもの。

下の写真は牛タンをトマトベースで煮込んだものでベラクルス地方の料理です。

・Postre

デザートのことです。

下の写真は「ate con queso(アテ・コン・ケソ)」というメキシコのデザートで、狐色のものがメキシコ版羊羹のようなものです。チーズとの組み合わせがとても合います。

下の写真はCajeta(カヘタ)という山羊の乳でできたキャラメルソースがかかったクレープです。ちなみにとっても甘い！

ここで紹介した料理はほんの一部です。他にも様々な種類のボタナがあるので、是非色々なボタナを注文してみてください。

まとめ

メキシコの大衆文化に触れることができる「カンティーナ」。お店ごとに内装や料理に特徴があり、どのお店も個性が光っているので、色々なお店を訪れてみたいです。

是非みなさんもこの機会にお気に入りのカンティーナを見つけてみてください。

メキシコシティで有名なカンティーナはソカロ周辺にあることが多く、あまり治安がよくない場所もあるので、訪れる際は充分注意してください！