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メキシコみずほ銀行社長 兼CEOがメキシコ経済を見据える。

2016年9月にメキシコシティにて設立記念式典を行った、メキシコみずほ銀行。社長 兼CEO務められる日比野 洋之さんから、メキシコ経済や金融の観点からメキシコについてお聞きしました。 最後には今後メキシコに進出予定の日系企業の方々へのアドバイスも御座います。

経歴

1990年、当時の富士銀行(みずほ銀行の前身)に入行し、カスタマーディーラーとして活躍。

1998年ロンドン支店に栄転された後、現地で日系企業の担当に着き2002年に日本に帰国。

その後ジャカルタで4年間赴任、当時日系企業のインドネシアへの進出ブームに肖り、日系企業のサポート他、インドネシア国内での消費を目線に、新たに日系企業と現地のマッチングを行う。

その後、本社の営業企画部に配属、2013年から2年間NYにて日系企業の担当を経て2015年7月にメキシコに赴任。

メキシコでの現地法人設立

{日比野さん}

メキシコみずほ銀行は2016年9月22日(木)にメキシコシティのThe St Regis Mexico Cityにて設立記念式典を行いました。

実は、過去に富士銀行(現在のみずほ銀行)はメキシコから撤退した経緯があります。

改めて、今回みずほ銀行が現地法人設立に至った目的としては、近年自動車関連会社を始めとする日系企業がメキシコに急増していることから、進出される日系企業の現地での金融面のサポート、並びに地場企業とのネットワーク作りを通じてお客様のメキシコでの事業拡大、並びに新規参入のお手伝いをさせて頂くことにあります。

メキシコ経済を見据える。

{amigaスタッフ}

1994年に起きたテキーラショックや、昨今のメキシコペソ為替状況を鑑みて、今、そしてこれからのメキシコ経済をどの様に見られていますか。

{日比野さん}

今後、テキーラショックの様にメキシコ経済が大きく崩れることはないと思います。

また、メキシコ政府及び金融当局は当時の反省を活かし、金融機関に対する規制をかなり強めています。

メキシコ経済を俯瞰的に見た際に、一つ気になる点はメキシコの”地場産業”が育ってないことです。

NAFTAやMERCOSUR、アジア各国とのEPA、グアナファト州の製造拠点誘致政策などがある為、米、欧州、日系企業からの直接投資が自動車産業を中心に行われましたが、自国産業は思うように育っておらず他国、他国企業に経済が依存していながら、国民たちはその現状に満足してしまっている状況を見れば自国経済としての成長は緩やかにならざるを得ないと思います。

成長の根源は教育にある。

{日比野さん}

自国経済が成長・発展するにあたり、経済成長著しいアジアの発展途上国を例にあげると、貧困層の方々が上昇志向を持ち、中間層が増加していく傍ら、彼らが貯蓄を始め、合わせて国内での消費活動を通じて自国内でお金が回り出すという流れがあります。

21世紀に入った当初のインドネシアにいたときは、その傾向が見られ、日系企業の工場が増えるにつれて中間層が増加し、経済も成長を辿り、国全体が大変盛り上がっていました。

また、様々な日系企業が現地で活動することで、日本人との仕事を通じて、日本の文化や人柄に触れ合い、日本風の仕事のやり方を知ることで、現地の方々が日本のことや日本文化、日本食に興味を持ち、その興味が徐々に好感に繋がり、日本の多様な商品が現地市場に浸透していくようになりました。

一方、メキシコと東南アジアを比べてみると、メキシコでは中間層と呼ばれる方々が台頭しておらず、富裕層は飛び抜けて富を築き続け、貧困層は必要最低限、もしくはそれ以下の生活水準からの脱却が出来ないループが続いているように感じます。

この状況を打開するには、メキシコに中間層の方々を増やすことで自国産業の発達、自国経済の成長を遂げていく必要があるのですが、そこで重要となるのが “教育” です。悲しいかな自分自身の人生に対して諦めに似た感情をメキシコの貧困層の方々は抱かれる方が多いのが現状です。未来に希望を持ち、その方々が自身の足で立ち上がれるような社会作りと教育が、メキシコでは必要だと思っています。

また、海外で事業を展開する日系企業としてのミッションの一つは、先ほど申し上げました日本文化の浸透、日本の働き方などを、仕事を通じて世界中の方々に伝えることだと思っております。

何より事業を通じて現地スタッフ、社員の生活レベルが向上し、国全体の中間層が増加していくことが”国”として独り立ちし、経済成長していく上では大切なことだと思います。

メキシコの人材とは。

{amigaスタッフ}

日比野さんから人材としての観点から見たメキシコ人はどのような印象ですか。

{日比野さん}

人の回転率(離職率)が速いことがこの国の特徴です。

当行で働くメキシコ人を見ると、給与だけが転職に繋がるわけではない様です。

転職を続けるジョブホッパーのような存在は日本ではネガティブに映ることがありますが、彼らの中では、“定期的に職場を移動できない人は優秀では無い”という思いが強い様で、長期的な視点で人材教育し、将来的な戦力に育て上げたい考えを持つ当社を始めとした日系企業としては、難しさがあるのも事実ですね。

ただし、想像していた以上にメキシコ人は優秀で真面目な人間が多いことには驚きました。

様々な施策を通じて、メキシコ人従業員の当行に対するロイヤリティを向上させることで優秀な人材を確保し、人材を育てていきたいですね。

{amigaスタッフ}

みずほ銀行で働くことを通じて得られるメリットをメキシコ人に伝えるとすればどのようなことがありますか?

{日比野さん}

従業員に対して当行で長期間働くメリットを伝えると共に、

「日本の銀行は、従業員に対して教育熱心である。」ということを広めたいと思っています。

例えば、みずほ銀行のグローバルネットワークを活かし、NYや日本へ転勤をさせることでメキシコ以外の国や事業所で働く経験が出来るという利点があります。メキシコのみならず、その他各国の銀行だと中々与えられないメキシコ外での就労経験を、優秀でロイヤリティの高い社員に対しては積極的にチャンスを与えていきたいと思っています。

メキシコの地場銀行は正直に申し上げると、サービスの質は高いものではありません。ホスピタリティを持ち、顧客の方々に接することの大切さや、仕事を同時並行して進める能力などは、徹底的に当行の指導、教育を通じて“ビジネスマン”として成長出来るというメリットをメキシコ人に感じ取ってもらいたいと願っています。

このような、みずほ銀行で働くことで得られる“メリット”を十分にメキシコ人従業員に理解して頂き、優秀な人材の雇用と定着化を今後図っていきたいと考えています。

みずほ銀行、メキシコでのメインサービス

{amigaスタッフ}

今後、みずほ銀行がメキシコで行っていく業務としてはどの様なものになるのでしょうか?

{日比野さん}

・日系企業に対するメキシコペソでの貸付業務、預金などの一般業務

・企業がメキシコに参入する際の進出サポート業務

・メキシコの現地企業と日系企業のマッチング業務

この上記3つの業務をメインに当行は事業を進めていこうと考えています。

今後も自動車産業を中心に日系企業のメキシコ進出は増加の一途を辿ります。メキシコという市場に新規参入する企業に対して、当行を通じてよりスムーズな進出を実現し、企業の方々には良いスタートをきって頂けるようなサービス作りをしていきます。

また、メキシコの現地企業とのマッチング業務については、今後より需要が高まると感じているので、当行としては積極的に地場企業との関わりを増やしていくことで、メキシコに進出されておられる日系企業の方々が事業拡大、新規事業創出する際に、より短期間で質の高い結果に繋がるような、有益なサービス提供を目指します。

今後進出予定の日系企業へのアドバイス

{amigaスタッフ}

今後メキシコ進出を見込んでいる日系企業へのアドバイスをお願いします。

{日比野さん}

日系企業の進出が急増していながら、新規参入する企業に対しての有益な現地情報インフラ、サポートが少ない為、信頼できる人から確実な情報を掴むこと大切です。

新興国では正しい情報を得て行動に移すことが非常に大切な一方、情報の取捨選択を間違うと手痛い事態に繋がる可能性もあります。

多数の日系企業が昨今メキシコに進出していることで魅力を感じて、すぐメキシコに進出出来るほど安易な市場ではないことは日々感じています。

また、アジアでの事業とは勝手が異なるため、情報収集や事前準備を入念に行うことが非常に大切だと思います。

簡単に進出することが可能な市場ではありませんし、交通インフラも十分に整っているとは言えない国なので、困難はつきものですが、それでも1億2000万人いる大きな国内市場。生産拠点として素晴らしい立地であるメキシコという市場は魅力的なので、ぜひ一度足を運んで頂きたいと感じています。

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