2021/10/26

期間限定!メキシコ伝統食 パン・デ・ムエルト(死者のパン)とは?

毎年、11月1日にメキシコでは死者の日を迎えます。その前後1,2ヶ月の間、朝食からランチ、そしてデザートとしても食べられる死者の日の伝統食、パン・デ・ムエルト(死者のパン)をご紹介します。

Dia de Muertos 死者の日とは?

出典 - https://www.craftologia.com/tips/tips-de-fiestas/tips-de-halloween/ofrenda-de-dia-de-muertos

Dia de los Muertos(死者の日)は11月1日と2日に祝われるメキシコでは一年のうちで最も重要な行事の内の一つで、日本のお盆のように死後の世界から故人が家族のもとへ会いに来ると言われている大切な日です。

ディズニー映画「リメンバー・ミー」でも一躍話題になりましたよね。

出典 - https://www.fashion-press.net/news/29944

死者の日のPan de Muerto パン・デ・ムエルト 死者のパンとは?

死者の日に飾られるカラフルな祭壇には必ず故人が好んで食べていたものや飲み物が供えられ、死後の世界から訪れた故人と一緒に楽しい時間を過ごします。祭壇には沢山のものが供えられますがその中でも絶対に欠かせないのがPan de Muertos パン・デ・ムエルト(死者のパン)です。

出典 - https://saboryestilo.com.mx/voy-al-super/curiosidades-del-pan-de-muerto/

死者のパンは丸い形に独特な可愛い飾りつけがされていて、一口頬張ると、オレンジの香りと甘さが口に広がってとても美味しいです。ちなみに、筆者はこの死者のパンが大好きで、この時期は毎朝食べていました。特に朝食では熱いコーヒーに少し浸して食べるのがオススメなんです!

死者の日に食べられる伝統と歴史

メキシコにはコンチャやボリーヨなどオススメの美味しいパンが沢山あり、

また、年中行事毎に特別に食べられるパンやデザートもありますが、その中でもこの死者のパンは形も味も独特です。今回はその理由に迫ってみました。

死者のパンが生まれた背景 《起源は神に捧げた生贄?!》

死者のパンの起源は、スペイン征服前、古代メキシコの、メシカ(アステカ帝国の支配者)の儀式まで遡ります。当時、僧侶や司祭は神々に生贄から抜き取った心臓を捧げていました。メシカはその心臓にアマランサス(古代メキシコから現在にも伝わる栄養価の高い穀物)をまぶして、食べていたと云われています。その後、民衆にも食べれるようにと心臓に似せた食べ物が死者のパンとして広まった説が有名です。

また別の説では、前述のメシカがアマランサスとトウモロコシの粉を混ぜ合わせ心臓の形につくったトウモロコシマフィンを食したことが起源とも云われています。

どちらの説にしても、「生贄の心臓を食す」という古代人の儀式的背景から生まれた、古代メキシコから受け継がれた食文化の一つです。

キリスト教の布教としても利用された?!

スペインがメキシコを征服し、キリスト教の布教を始めたとき、原住民が心臓に似せトウモロコシで作られたパンを食べていることを知りました。それは、キリスト教の聖体、パンをイエス・キリストの肉体の一部として受け取る行為に通じると考えたスペインのキリスト教司教は、原住民の理解を深め新しい宗教としてのキリスト教を受け入れやすくする為に死者の日には神に捧げる体の一部を食べるという共通点を作ることで原住民の文化を尊重し、逆に原住民にキリスト教を布教することに成功したと云われています。

可愛い見た目に込められた意味は?

死者のパンは最近では色々な形がありますが、伝統的なものは、丸い形のパンのてっぺんに円形の飾り、そしてそれをクロスするように細長い飾りが施されています。これは、丸いパンは心臓、中央の円形の飾りは頭蓋骨、側面に飾られた4本の細長い部分は故人の骨を象徴しています。オレンジの風味は、死者の日に街中に飾られるマリーゴールドの色と香りを表し、故人との思い出をこのパンを食べることで思い出し、訪れた故人と繋がるという意味があります。

また、十字架の形に配置されたパンの骨を象徴する部分は、ケツァルコアトル、トラロック、シペトテック、テスカトリポカという神々を意味し、古代メキシコ人が持っていた神々への信仰や死生観をスペイン人が受け継いだものだとも言われています。

そのように生まれた死者のパンは改良に改良を重ね、今の形になって広く伝わりました。

全体が砂糖で覆われていて、一口かじるとオレンジの風味とほんのりシナモンが香り、メキシコのパンらしく甘い!けれどどこか懐かしい美味しさがある死者のパン、故人を偲んで、思い出を語りながら食べるのも良いですね。

メキシコシティでオススメの死者のパン 3選

そんな死者のパン、最近ではちょっとお洒落にアレンジしたものが作られ、SNSなどで映えるアイテムとしても紹介されています。

最後にメキシコシティでオススメの死者のパン3選をご紹介します!

1. Concha y Nata (コンチャ イ ナタ)

出典 - https://ciudadtrendy.mx/concha-muerto-fusion-deliciosa-pan-tradicional/

Concha y Nata(コンチャ イ ナタ)はローマノルテ地区にあるレストランで、美味しい朝食に加えて、死者のパンとこちらもメキシコの代表的パンであるコンチャを組み合わせたオリジナルな「コンチャムエルタ」を販売しています。コンチャはメキシコの朝食には欠かせないパンで日本でいうメロンパンのように外側がサクサクの定番菓子パンで、それが死者のパンの形になっているのは魅力的ですね。

Concha y Nata

Colima 268 Roma Norte, CDMX

https://conchaynata.com/

2. Rosetta(ロゼッタ)

今やセレブシェフとなったエレナ・レイガダスのロゼッタでは、トウモロコシの皮葉を焼いた灰を全体にまぶした黒い死者のパンが話題です!また、オレンジとローズマリー、色々なハーブを組みあせた死者のパン、スパイシーな要素やフルーティーな味わいを加えたオリジナルの死者のパンも楽しめます。

伝統的な死者のパンにも彼女らしく遊び心を散りばめたこれらのパンはどんな味がするのでしょう??

Rosetta

Colima 179, Roma; Havre 73, Juárez (Café Nin) y Puebla 242, Roma Norte

https://www.instagram.com/p/CGpfgicBHml/

3. CITY MARKET(シティマーケット)

出典 - https://mbmarcobeteta.com/donde-comprar-el-mejor-pan-de-muerto-en-cdmx-2021/

最後はメキシコシティ以外にもメキシコ全国に展開しているスーパーマーケットのCITY MARKET。こちらはコメルシアルメヒカーナ系列の輸入食材も豊富なワンランク上のスーパーで併設のパン屋さんがとてもオススメです!

もちろんこの時期になると売り出される死者のパンも絶品です!

まとめ

今回は毎年11月1日に迎える死者の日に欠かせない死者のパンをご紹介しました。

祭壇に供えるだけでなく、朝食からデザートとしても美味しく食べれる死者のパン。メキシコでは死者の日が終わっても年末年始頃まで色々なお店で販売されていますので、是非お気に入りを見つけてみてはいかがですか?

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