古代メキシコ展の概要
特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」は2023年6月16日から9月3日まで東京国立博物館で開催中の展覧会です。また10月3日から12月10日までは福岡、2024年2月6日から5月6日までは大阪へ巡回します。
メキシコ各地の主要博物館から約140件の展示品が集められ、近年の発掘調査の成果を交えて紹介されます。展示方法も映像や臨場感溢れる再現展示を使いメキシコの世界遺産の魅力を体験できるものとなっています。
メキシコにはいくつかの古代文明がありますが、今回の古代メキシコ展では「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」という3つの代表的な文明に焦点が当てられます。
厳しい自然環境の中で古代メキシコの人々は様々な神を信仰し、ときに畏れました。このような歴史のなかで造られた独自の世界観と造形美を古代メキシコ展では感じることができます。
古代メキシコの歴史
メキシコ最古の文明は紀元前15世紀からベラクルス州やタバスコ州などのメキシコ湾岸に栄えたオルメカ文明です。有名な巨石人頭像などユニークな遺物が残っています。
紀元前1200年ごろからマヤ文明が誕生しました。メキシコのユカタン半島からグアテマラ、ベリーズ、ホンデュラスまで栄えた文明で、紀元後16世紀のスペイン人による征服まで続いていました。メキシコにある代表的な遺跡はパレンケ、チチェン・イツァ、トゥルム、ウシュマルなどです。
紀元前3世紀ごろからオアハカにモンテ・アルバン、中央高原にはテオティワカンが栄えました。テオティワカン文明は紀元後6世紀あたりでは人口20万人を擁するラテンアメリカ最大の都市でしたがその後滅亡しました。太陽のピラミッドや月のピラミッドなどメキシコを代表する建造物があります。
その後、中央高原にはトルテカ文明、そして14世紀頃からテノチティトラン(現在のメキシコシティ)を都とするアステカ文明が栄えました。メキシコ各地に影響力を持ち、テンプロ・マヨールなど多くの神殿を建設しました。1521年にエルナン・コルテス率いるスペイン軍にアステカ文明は滅ぼされました。
特別展「古代メキシコ」に関連する遺跡や観光地
メキシコ国立人類学博物館(Museo Nacional de Antropología)
メキシコシティにある世界でも有数の規模と内容を誇る博物館で、今回の特別展「古代メキシコ」でも多くの展示物がこの博物館から来ています。
1階は全12室に分かれた考古学資料、展示コーナーがあり、2階は民族学コーナーになっています。中庭にテオティワカンの模型があったり、優れた壁画も数多くとても広い博物館なのでじっくりと見るには1日あっても足りないくらいです。フロアは各文明ごとに区切られているので旅行やツアーなどで時間に限りがある方はテオティワカン、アステカ(メシーカ)、マヤなどの代表的な文明のフロアのみを見学するのもオススメです。
メキシコ全土から集められた展示品を見ることができるので、他の地域に行く時間がない場合でもいろいろな地域の文明を知ることができます。
見どころは太陽の石「アステカ・カレンダー」です。メキシコの硬貨にもデザインされているアステカ・カレンダーはこの博物館の中央部の広いメシーカフロアの真ん中に配置されています。直径3.6mの円盤には太陽神の周りに複雑なモチーフが重なっていてアステカの暦が彫りこまれています。実物を見るとかなり大きく迫力があります。
メキシコ国立人類学博物館ホームページテンプロ・マヨール(Templo Mayor)
メキシコシティにあるアステカ帝国の遺跡です。中心部ソカロにあるメトロポリタン・カテドラルの裏側にあり、メキシコシティ観光には外せない場所です。
テンプロ・マヨールはアステカ帝国の都テノチティトランの中央神殿でした。見学用の通路が敷かれていて遺跡を歩きながら石像群を見ることができます。残念ながらこの遺跡はスペイン人による破壊により他の遺跡に比べ形があまり残っていません。ピラミッドの基盤や石造、壁などを見ることができます。
しかし敷地内に博物館があり、発掘されたものが展示されています。ドクロの彫刻が並ぶツォンパントリの祭壇や鷲の姿をした戦士の像などアステカ文明に関する展示品がたくさん見られます。
テンプロ・マヨール ホームページメキシコ国立人類学博物館とテンプロ・マヨールについてはこちらの記事もどうぞ
【昔は湖だった!?】現代のメキシコシティから見るアステカ王国の名残【amiga turista】接待にも最適!メキシコシティをもっと知るための決定版ツアーテオティワカン(Teotihuacán)
メキシコシティから車で45分ほどの場所にある遺跡です。広大な敷地の遺跡で南北に3316m、幅40〜60mの大通り「死者の道」沿いに遺跡が並んでいます。太陽のピラミッドは高さ64mで、テオティワカン遺跡の中で最大の建物です。通常太陽のピラミッドと月のピラミッドの階段に登ることができますが、かなり段に高さがある所もあるので歩きやすい靴で行くことが大切です。月のピラミッドは死者の道の北端にあり、このピラミッドの上から、遺跡全体を眺めることができます。
また気球に乗って上から遺跡全体を見ることができるアクティビティも人気です。
テオティワカン ホームページ関連記事 【テオティワカン遺跡】ガイドツアーを比較してみた!!@メキシコシティ発パレンケ(Palenque)
チアパス州にあるパレンケはマヤ古典期後期を代表する遺跡です。ジャングルの中にありリゾート地のカンクンから遠いため他のマヤ文明の遺跡であるチチェン・ツァやトゥルムに比べると知名度は低いです。しかし今回の古代メキシコ展の見どころの1つでもある「赤の女王」が出土したのがこのパレンケです。ここの13号神殿という建物の墓室から発見されました。
遺跡の中心にある最も立派な建物、宮殿には天体観測所として使われていたと思われる塔があります。壁面は東西南北を指していて、この塔から見ると、冬至には太陽がちょうど碑文の神殿に沈むことから高度な天体観測技術や正確な暦を持っていたことがわかります。
またマヤ文明の遺跡でよく見られる「マヤアーチ」という疑似アーチを持った建物もあります。
少し離れたところに博物館があり、パカル王の墓の再現模型やレリーフなどを見ることができます。
パレンケ ホームページまとめ
今回は古代メキシコの歴史と関連する観光スポットについて解説しました。いかがでしたか?
特別展「古代メキシコ」にはここには紹介できなかった他の文明や遺跡がまだまだあります。そして今回紹介した文明もまだまだ奥が深く興味深い歴史がたくさんあるので、また記事にできたらと思っています。
古代メキシコ展に行った方、メキシコに在住で歴史に興味を持っている方はぜひ実際に遺跡や博物館に訪れてみてはいかがでしょうか?
Amigaではこれからもメキシコに関する記事を発信していきます!
◆公式サイト特別展「古代メキシコ」開催概要
◆展覧会名:特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」
◆会期:2023年6月16日(金)~9月3日(日)
◆会場:東京国立博物館 平成館
◆休館日:月曜日、7月18日(火) ※ただし、7月17日(月・祝)、8月14日(月)は開館